代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

ヤギからラクダへ

2008年02月19日 | 中国山村報告
 前の記事の続きです。先ほどのガチャでは、砂漠化防止・梭梭林保護のために山羊の飼育頭数を半減させまることを決めました。それで代替案は何かということなのですが、ラクダは一つの選択肢です。このガチャではラクダの所有頭数を増やしています。
 山羊は、草や灌木を文字通り「根こそぎ」に食べつくしてしまうので、山羊の過放牧は、砂漠化の大きな要因となっています。もちろんカシミヤを喜んで買う、私たち消費者にも大きな責任があるのですが……。

 で、ラクダはというと、草の地上の柔らかい部分しか食べないので、山羊のように破壊的ではないのだそうです(私はこの辺はシロートですので伝聞調でしか言えないのですが)。でも、ラクダの毛の値段は安いので、山羊に比べて1頭あたりの収益は半分にもならないとのことでした。

 今回の調査で非常にうれしかったのは、地元住民たちが、山羊の放牧制限による大きな生活の打撃を受けながらも、次世代のために、そして黄砂の被害を受けている他地域の人々のためにも、砂漠化対策に真剣に取り組まねばならないという決意を固めている、その真剣な様子が分かったことでした。

 中央官庁の机上で政策を立案していく政府のやり方はじつに問題が多く、住民との対立を引き起こすことが多いのが実情です。これは日本も中国も変わりません。
 住民とともに暮らしながら、生態保護のみならず貧困緩和・生活改善に十二分に配慮し、民主的かつ状況適応的にプロジェクトを立案していくNGOのやり方は非常に効果的です。
 今回紹介したプロジェクトは主に、「阿拉善SEE生態協会」というNGOによるものです(出資者は中国・香港・台湾の企業家たち)。詳しくは同協会のホームページをご覧ください。
 この協会のボトムアアップ式、民主的な意志決定方式に影響を受けて、地元政府も従来のトップダウン式を反省し、プロジェクトの実施手法を変えるようになってきています。中国式民主主義の発展ためにも、胡錦濤・温家宝の目指す「和諧社会」「社会主義新農村」の実現のためにも、明るい話題だといえるでしょう。

 以上。内モンゴルの報告を終わります。
 

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