代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

まだ参院がある

2005年07月07日 | 郵政民営化問題
 ブログの更新が滞っており、申し訳ございません。一昨日の郵政民営化法案の衆院可決は大変に残念な事態でした。でも、自民党造反議員たちの毅然とした行動には感動しました。自民造反派・民主・共産・社民が「国民の生活を守るために」と足並みをそろえて反対する姿は感動的だったと思います。市場原理主義の猛威から庶民生活の安定を守るための闘いには、保守も革新もないのだと思います。

 まだ参院が残っています。否決の可能性が少しでも残っている限り、最後まで諦めずに希望をもっていきたいと思います。
 参院でも可決されたら・・・・。そのときはもう仕方ありません。日本人がよほど痛い目に合って目を覚ますのを待つしかないでしょう。

 何せ、350兆円の資金の中のかなりの部分が路頭に迷って日本に投資されなくなるでしょう。そして日本は金詰り状態になってデフレが悪化するでしょう。それで犠牲になるのは、医療・教育・環境・社会資本などの整備であり、私達の生活の安定なのです。先端科学技術分野などへの投資も犠牲になるでしょう。竹中の主張とは逆に、それは日本の競争力の源泉を奪うことにもつながるのです。
 そして日本に投資されなくなった資金は、ただ米国に流れていくという事態になるのでしょう。ハゲタカ・ファンドは郵貯の資金を使って世界中で敵対的買収を仕掛け、ヘッジファンドも世界各地で為替・株・土地・石油などなどに投機攻撃を仕掛けることができるというわけです。このように日本の郵政民営化は、日本のみならず世界中にはた迷惑な災厄をもたらすと、私は思います。
 それは一時的にドル暴落のXデーを先延ばしするかも知れないですが、いずれはカジノ金融は行き詰まり、ドルは暴落して、日本がアメリカに貢いだお金は返ってこないという事態になると私は予想します。郵政民営化支持者は、「郵貯の資金が不良債権化している」と、事あるごとに根拠もなく主張しますが、郵貯の資金を米国に投資することほど不良債権化のリスクの高いものは存在しないのです。

 さて、以上のシナリオが現実化したとき、郵政民営化を支持し続けた日本のマスコミ各社はどう対応するのでしょうか? どうせ自己批判もせずに日和見でとっとと論調を変えるに違いないのです。これまでと同様に。
 ろくに考えもせずノーテンキに「民営化支持」を叫ぶ新聞各社の幼稚な社説は、「満蒙は日本の生命線である」などと大本営発表を繰り返し叫んでいた1930年代初頭の頃から、精神的に何も進歩していないのではないかと思います。そして、「満蒙が日本の生命線」だったはずなのに、いつのまにか時流にあわせて「南進論」に主張を変化させるのです。
 そういえば、バブルの崩壊直後は、日本のマスコミは「公共事業前倒し実施」を支持していましたっけ。米国で日本の公共事業批判が活発化するや、日本のマスコミは公共事業バッシングに狂奔するようになったのです。
  
 東南アジア諸国はアジア通貨危機という災厄を経て、市場原理主義の恐ろしさを身をもって体感しました。日本でも、あの規模の災厄が発生しないと目が覚めないのかも知れません。
 年間1万人近い経済苦による自殺者という冷酷な事実だけで、もうアングロサクソン型資本主義の恐ろしさは明らかだと思うのです。既にこれだけの被害をこうむっているのに、まだ目が覚めないのでしょうか? 

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