代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

次期大統領選で日本の学生は誰を支持する?

2016年01月13日 | 政治経済(国際)
 運動部の大学生向けに開講している「外書講読」という授業で「次期アメリカ大統領選の各候補者の中で誰の政策がもっとも支持できるか? またその理由は何故か?」という課題を出してみた。各自それぞれが各候補の主張を調べ、いちばん共感できる候補を探すという課題。結果は以下のようだった。母集団が、ふつうの学生に比べると威勢のいい体育会系学生なので、ちょっと偏りがあるかも知れない。

 クリントン支持 ・・・・24人
 トランプ支持  ・・・・23人
 サンダース支持 ・・・・ 9人
 ブッシュ支持  ・・・・ 2人

 
 日本だと、ある程度報道の量が多い候補者というとトランプかクリントンの二人なので、どうしてもこの二人に注目がいってしまうようだ。この二人を比べてどちらを選ぶかという選択になってしまっていたレポートが多かった。

 学生たちが支持理由として挙げていた理由の主なものを、抜粋して紹介しておく。 

☆クリントン支持の理由
 「1~2年の短期的なキャピタルゲインには増税し、6年超のキャピタルゲインには逆に減税するという政策がよい。アメリカ経済の長期的な視点での成長を可能にする。」  
 「クリントン氏は銃所有者の身元調査をすると言っている。これでどの程度、銃犯罪が防げるのかは分からないが、銃犯罪により年間3万3千人もの死者が発生しているのは批判されるべき」
 「地球温暖化問題は早急に対応しなければならない課題。クリントン氏は、地球温暖化対策として、再生可能エネルギーに税制優遇し、2020年までの太陽光パネルを5億枚設置し、2027年までに二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーでアメリカの全家庭に電力を供給すると公約している」
 「労働者、同性愛者、黒人などマイノリティのための政策を掲げているので、弱きを助ける大統領になってくれる」 

☆トランプ支持の理由
 「イスラム教徒は入国禁止などの暴言を発しているが支持は増えている。それらの発言が支持者の本音に近いからだ。トランプの支持者は自由貿易がもたらした雇用の喪失、社会変化、文化の変化に怯えており、トランプだけが彼らの代弁者になっている」 
 「国民の不満を率直に代弁し、所得税・相続税減税など税制改革プランも具体的」
 「中国、メキシコ、日本に奪われたアメリカの雇用を取り戻す。そのために対メキシコで35%、対中国で25%の関税を課すと言っている。」
 「社会保障に積極的でリベラルな側面がある。医療保険の充実を訴え、カナダの単一支払いシステムを模範としてユニバーサルヘルスケアを整備するのが理想とする。退役軍人のPTDSなど見えない傷への治療にも力を入れると公約している。妊娠中絶も肯定的で、他の共和党候補との違いが明白。主流派共和党に挑戦している」
 「今のアメリカは強い大統領を必要としており、トランプの愛国心がアメリカ国民から支持されているのだろう。しかし、悪い方に転べば世界中を巻き込む戦争を起こす火種にもなり得る」

☆サンダース支持の理由
 「他の候補者に対してネガティブなことをいわない人格者。彼なら平和に少しづつ近づいていける」 
 「社会主義者として長い政治キャリアの中で、一貫して所得格差の拡大や大企業と富裕層の優遇に反対してきた」
 「サンダースの公約の最低賃金15ドルや公立大学の授業料の無料化などは夢のような政策で実現は困難だと思うが、アメリカ国民にとっては良い方向だ。リベラルの言いたいことそのものズバリを政策として出している」
 
☆ブッシュ支持の理由 
 「トランプは一度も政治経験がないのに対し、ブッシュはフロリダ知事で実績がある。フロリダ知事時代に190億ドルの減税に成功、教育改革でも実績を上げている。」

 以上です。日本でこれだけトランプ候補にネガティブな報道がなされながら、この結果は意外でした。サンダース候補に関しては、主張はよいが実現はムリだろうという意見が多かった。この点はアメリカ人でも同様のようです。

 


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