代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

軍産複合体の植民地恫喝9項目

2013年12月29日 | 政治経済(国際)
 辺野古の埋め立てを沖縄の仲井真県知事が承認した背景として、『琉球新報』が以下のようなスクープを報道していた。元CIA上級分析官で現在ヘリテージ財団の研究員のクリングナー氏が、「沖縄知事が、辺野古の埋め立てを認めないなら沖縄振興予算を凍結すると恫喝すべきだ」と日本政府に指南していたというのだ。このスクープ、本土のマスコミは無視だから引用させていただきます。

***琉球新報のサイトより引用*****
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-217009-storytopic-53.html

 米政府の政策決定に大きな影響力を持つワシントンの保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」が17日に発表した評論で、仲井真弘多県知事の埋め立て承認の判断を控える米軍普天間飛行場移設問題について、「知事が承認しないなら、東京(日本政府)は2014年度予算で沖縄への交付金を取り消すべきだ。そうすれば沖縄は経済的苦境に陥るだろう」と日本政府に“指南”している。
 本紙の取材に対し、著者の同財団上席研究員で、元中央情報局(CIA)上席分析官のブルース・クリングナー氏は「日本政府高官も私の提言に感謝し、普天間問題の行き詰まりを解決するために活用することを望んでいた」と述べ、日本政府の沖縄対策に反映されているとの見方を示した。
      (中略)
 さらに「日本政府は仲井真知事に対して非公式に14年度(沖縄振興)予算が承認の条件だと強調すべきだ。不承認は補助金凍結の引き金になり、沖縄は経済的苦境に直面するだろう」とし、沖縄を事実上“恫喝(どうかつ)”するよう要求している。
 

***引用終わり****

 このニュース、一週間前のものなのに本日知りました。沖縄の皆様すいません。m(_ _)m

 それにしてもクリングナーさん、よりによって『琉球新報』の記者に、自慢気にこの事実を堂々と語っているのだからすごいと思った。「CIA職員だったら、絶対にこんなこと口外しないよなー」と思うのだが・・・。今はヘリテージ財団研究員だから、少しでも名を売って「私の力でこんなに日本を変えました!」と業績をアピールすることの方が、財団内での昇給や出世にプラス査定されるのかも知れない。

 日中関係がここまで悪化する原因をつくったところの石原慎太郎の尖閣購入計画の発表もアメリカのヘリテージ財団のシンポジウムの場だった。日本と中国の緊張が高まれば高まるほど、一番儲かるのはヘリテージ財団に出資している軍産複合体なのだろう。彼らも儲けるためには必死なのだ。下記記事参照。

 http://www.asyura2.com/12/senkyo138/msg/600.html

  IWJが、クリングナー氏が2012年11月にヘリテージ財団のレポートに掲載した論文を翻訳している(下に一部引用する)。クリングナー氏は日本を恫喝すべき重点9項目として以下の諸点をあげている。
 これを見ると、すごい。最後の9番目以外はすべてこのシナリオ通りに動いている。しかし、今回9番目のシナリオが崩れたことにより、5・6・7番目のシナリオにも悪影響が生じそうである。
 以下、宗主国から植民地への行政指導9項目である。

 
****IWJの下記サイトよりクリングナー論文を一部引用******
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/118349
 
●米国政府の行動指針

 日本が安全保障分野で新たに採用したプラグマティズムの効果を高めるため、米国は以下のような行動をとるべきである。

1.他国に頼るばかりでは、日本が自国の海外利権を守り続けることは不可能であるということを明確にすること。日本政府は、国際的安全保障上の責任の負担を、大国としての地位に見合った水準まで引き上げるべきである。例えば、日本はシー・レーン(海上交通路)防衛の取り組みを強化することが可能である。

2.自国および同盟国の安全保障上の要求を十分に満たせるように、防衛費の増額を日本政府に促すこと。

3.日本が緊急時において同盟国を防衛することができるよう、集団的自衛権の解釈を緩和することを勧告すること。日本の自衛隊海外派遣隊が同盟国の資源をいたずらに消費するのではなく、効果的な貢献を行うことができるよう、日本政府は海外派遣についてもより現実的な法規を採択するべきである。

4.沖縄の普天間飛行場代替施設の建設について具体的な進展を見られるように日本政府に圧力をかけること。次期首相は支援を約束するだけでなく、日本政府の公約の履行に取りかかるべきである。

5.日韓の軍事・外交分野での協力拡大を奨励すること。例えば、情報共有に関する二国間協定である軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結すれば、共通の脅威に対する同盟国の抑止力および防衛能力を強化することができる。

6.日米韓三国間の軍事協力を拡大すること。三国は平和維持作戦、テロ対策、核兵器拡散防止対策、麻薬対策、対潜水艦軍事行動、地雷除去、サイバースペース防衛、ならびに人道的支援および災害対応作戦について合同遂行の可能性を模索するべきである。

7.西太平洋地域において米軍の強力な前方展開兵力を維持すること。当該兵力は日本および韓国の軍事組織と緊密に統合するべきである。それによって同盟国共同の防衛力が調うだけではなく、日本の軍国主義の復活に歯止めがきかなくなるのではないかという韓国の懸念も和らげられる。

8.太平洋において米国の同盟国を確実に支援することを表明すること。米国政府は、引き続き相互防衛条約の不可侵性を確認するだけではなく、中国の不安を取り除こうとする取り組みを強調することをやめ、その代わり、米国が行動を起こすのは、中国の脅迫の試みが度を増すことに不安を覚えるアジア諸国から要請があった場合であることを中国側に明確に伝えるべきである。

9.安倍氏に、自身の修正主義的歴史観を押し通そうとしないよう非公式に助言を行うこと。安倍氏が提言するように、日本の戦中行動に関する過去の政府声明を撤回するようなことがあれば、東アジア地域に長きにわたってくすぶっている反感を不必要に刺激する事態になるだろう。むしろ日本政府は、韓国人の感情を満足させ、戦略地政学的な利益のためにこの地域にくすぶる憤りを利用しようとする中国の活動を終息に向かわせるような内容に、その償いと謝罪の声明を見直すべきである。

 
***引用終わり***

 
 さて、宗主国は、9項目中の1項目を拒否した植民地の行政長官を許すだろうか?
 植民地行政長官も、ここまで要求通りに唯々諾々と従うだけなのが悔しくて、せめて9点目だけでも宗主国の意向に逆らおうと、長州神社に参拝して一矢報いようとしたのかも知れない。

 辺野古移設を拒否して独立国になろうと努力した鳩山元首相は早々にお払い箱になった。

 安倍さんの参拝に関しても、宗主国は確実に怒っている。しかし辺野古で頑張ってくれたし、集団的自衛権の解釈改憲も早くしてほしいから、きつくお灸をすえるが当面の命はつないであげよう……といったところだろうか。

 いちばん怖いのは、政権を延命させてあげるから、代わりに他の要求も全部吞め・・・・とTPPでの日米並行協議であらゆる要求を吞まされていくことだ。共済の廃止、薬価の値上げ、遺伝子組み換えの規制緩和、軽自動車の規格廃止、農産関税のみならず、私たちの健康と生活を破壊するあらゆる要求を全部・・・・。
  

 

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