ヘッジファンドがサブプライムによる巨額損失を取り返そうとすれば、穀物投機と原油投機で、世界中の貧困層を飢餓に追いやってでも、そんなことおかまいなしで貧困層から金をむしり取るしか手段がないという状況です。穀物価格の高騰は、内戦や国家間の戦争にまで至る可能性を十分に持ちます。金融恐慌から戦争へというのはまさに1930年代の悪夢の再現に他なりません。
もっとも恐ろしいのは、「米国の金融業界が穀物投機で儲け、裏では米国の諜報機関が絶望的状況に追い込まれた貧困層を扇動しながら戦争に駆り立てて戦争を起こし、米国の軍事産業が武器輸出でさらに儲ける」、このシナリオを巧妙に工作しながら実行してしまうことです。
この悪夢のシナリオを防ぐにはどうすればよいのでしょうか? . . . 本文を読む
中国政府は今こそ毛沢東の金言を厳粛な気持ちで思い出すべきでしょう。「造反有理」と。
中国政府からしてみれば、「あれだけ他の地方に比べてチベットを優遇して、中央からの補助金・公共事業予算を潤沢に流しまくっているのに恩知らずだ」などと思うのかもしれません。しかし、その考えこそ傲慢というものです。
精神世界の住人であるチベット仏教の僧侶たちからしてみれば、金や公共事業などのバラマキは、かえって漢族による経済侵略・文化侵略と映るでしょう。「チベットにまで腐敗した拝金主義思想を持ち込むな」と思っているかも知れません。造反有理。もう一度、なぜ僧侶たちがこれだけ大規模な造反行動に出たのか、その理由を厳粛に調査すべきです。そしてチベット亡命政府との対話を行うべきです。
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習近平氏の方は、上海閥の江沢民人脈ではないか、親の七光りの太子党ではないかと評判が悪いようだ。しかし経歴を見ていたら驚いた。下放された先が陝西省の延川県だという。じつは私は2003年8月に、陝西省延川県のとある村の植林事業の調査をしたことがあった。その際、村の農家のおじいさんと植林現場の山道を散策していて、以下のような話を聞いたのを思い出した。おじいさんは廃屋になったヤオトン(黄土高原に一般的な横穴式の住居)を指して次のように語った。「文革の頃、あのヤオトンに下放されてきた知識人青年が住んでいたんだ。最初のころは村の生活に適応できなくて大変に苦しんでいたものだった。しかし、大変な努力家で、見事に困難を乗り切った。村人から農作業を熱心に学び、ついには村内の青年たちが見習うべき模範的な農村青年になった。文革が終わって彼は北京に戻ったが、その後連絡がない。今頃どうしているのだろう」。私はそれを聞いて、「それだけの人物なら今頃、党幹部に出世しているんじゃないですか」と答えたものだった。
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その方法とは米国政府が、過去に行った全ての軍事介入と国家犯罪について、その全貌を明らかにし、全ての犠牲者たちに誠意をこめて謝罪し、賠償を行うことです。さらに世界に向けた謝罪とともに次のように宣言することです。「米国に従わせることを目的として、他国を侵略したり、要人を暗殺したり、クーデターで政権を転覆したり、他国の民主的選挙に干渉をしたり、不正な世論操作を行うといった軍事的・政治的介入は二度といたしません」と。そして、米軍は専守防衛目的に特化し、国外の軍事基地はすべて撤収すべきです。世界の治安維持機能は国連に委ねることです。
さらに過去に米国が行った国家犯罪・戦争犯罪の責任者に対して法の裁きを下すことです。ブッシュやチェイニーやラムズフェルドも当然のことながら戦争犯罪者として裁かねばなりません。
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安倍首相が、テロ対策特措法の延長、ないし新法を成立させて「対テロ戦争」に協力することができなければ退陣するという決意表明をしたそうです。おおすばらしい! 早々に退陣してもらいましょう。
テロ対策特措法に変わる民主党のアフガン民生支援の代替案ですが、すばらしく良いプランだと思います。是非、民主党をはじめとする野党の皆様は、憎悪と報復の連鎖を生むだけのブッシュの「反テロ戦争」に加担するという泥 . . . 本文を読む
フィリピン国軍内外の暗殺団というのは、巨額の報酬に目がくらみ、金儲けのために実行しているだけなのでしょう。私の目には、一連の暗殺事件は、米国からの軍事援助の「予算消化活動」の一貫としか思えません。「何でもいいから対テロ戦争の成果を上げろ」と米国に要求されて巨額の軍事援助を受け取ったノータリンなフィリピン国軍が、とりあえずもっとも簡単に「成果」を出せる方法として考えそうなことといったら、イスラム・ゲリラの討伐などではなく、非武装で合法活動を行う左派政党指導者たちの暗殺なのです。さらに暗殺は左派政党の活動家に留まらず、ジャーナリストや聖職者にまで及んでいるのですからメチャクチャです。あの財政難のフィリピン政府ですから、米国からフィリピン国軍への軍事援助がなくなれば、もう暗殺者に支払う資金など独自には拠出できなくなるのです。 . . . 本文を読む
市場原理主義は、IMFという極めて閉鎖的で不透明で非民主的で官僚主義的な体質を持つ国際機関によって、軍事力も動員しながら、民意を無視して、まず中南米諸国に押し付けられ、それが世界に拡散していったのです。ロシアではしばらくしてIMFのことは「自由市場経済のボリシェビキ」と呼ばれるようになりました。つまりとてつもない官僚主義的な方法で、議会や民意も無視して、強圧的に国営企業の民営化や急激な関税の撤廃など、ロシアの工業基盤を根こそぎ破壊するような暴挙を行ったのです。 . . . 本文を読む
私もこのブログでたびたび批判してきたマネタリズム(=市場原理主義)の教祖ミルトン・フリードマンが11月16日に94歳で亡くなりました。もっとも日本においては、「フリードマン死すとも、その影響力は死せず」という状況です。「フリードマンの遺産」に今も世界中で多くの人々が苦しめられ、場合によっては命も失っているのです。
私の子供の通う公立保育園と学童クラブも、行政が父母達と話し合うことなく一方的に民 . . . 本文を読む
10月28日の本ブログの記事「北朝鮮問題のブレークスルー」についての続報です。まず「るむもまんく」さん、「メンフィスからの声」さん、反応して下さいまして、まことにありがとうございました。それから大変にうれしいことに、日中友好のために多年にわたって活躍されている経済学者の凌星光先生(元中国社会科学院世界経済政治研究所研究室主任、福井県立大学名誉教授、日中関係研究所所長)が、「逃散政策」についての感 . . . 本文を読む
北朝鮮問題について一言。中国は北朝鮮への経済制裁を強めていますが、その効果はそれほど期待できません。国連によるイラクへの経済制裁が、イラク国民のフセイン依存度を強めてしまい、かえって体制強化につながったのと同じことが起こる可能性もあります。中国が北朝鮮に対する経済的締め付けを強めれば、北朝鮮国民の怒りの矛先は金正日ではなく、中国に向かうことでしょう。経済制裁は、独裁政治の下で飢えに苦しむ人々をさ . . . 本文を読む
すぐれた才能をもち、するどい社会正義の感覚をもっていた経済学の学生の多くがヴェトナム反戦運動に関わって、姿を消してしまったのですが、かれらが残っていたら、アメリカの経済学はまったく違ったものになっていたにちがいありません。それよりも心残りなのは、これらの人間的魅力にあふれた多くの学生たちが、ヴェトナム戦争の奔流に巻き込まれて、悲惨な人生をおくり、なかには、若くして、この世を去ってしまった人も少なくないということです。私はその責任の一端を負いながら、かれらの苦難を救うために、何もすることができなかったことに対して、つよい心の呵責を感じざるを得ません。
宇沢弘文『日本の教育を考える』(岩波新書、1998年、129-130頁)より。
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>「非同盟国=非アメリカ」と考えるのは短絡的です.
そのお考えこそ短絡的です。世界は臨界状態に近づいています。米国はあまりにも多くの南の人々を殺しすぎましたし、南の人々の生活を破壊しすぎました。パキスタンのような従米国家がもはや米国に見切りをつけつつあるのを見ても、もはや彼らは耐えられないのです。あとは雪崩を待つだけです。米国が、脅迫による外交路線から、親愛と道義に基づいた外交へと修正しない限り・・・・。 . . . 本文を読む
前のエントリーの続きです。今月開かれた非同盟運動首脳会議の成果はいくつもありますが、インドのシン首相とパキスタンのムシャラフ大統領がキューバの仲介で会談し、和平プロセス再開の合意に達したなんていうのは画期的なことだと思います。この記事。日本のマスコミはなぜかほとんど報道していませんでしたが・・・。もし、この和平プロセスを仲介したのが米国であったら、一面トップの扱いだったことでしょう。しかし現実は . . . 本文を読む
先日の7月13日の記事で、最近のフィリピンで多発する暗殺事件について述べました。その関連なのですが、アムネスティ・インターナショナルが7月25日にフィリピン政府に対し、「これ以上の政治的殺害を防がねばならない」と呼びかける声明を発表しました。この声明の日本語訳版を紹介させていただきます。アムネスティ・インターナショナルはフィリピンにおける政治的殺害(political killings)を防ぐた . . . 本文を読む
昨晩、本来の予定より2週遅れで放送されたNHKスペシャル「ラテンアメリカの挑戦①」の感想など書いてみたいと思います。感想を一言でいえば、「NHKえらい!よくやった!」に尽きます。製作スタッフの皆様に心より敬意を表します。今週見逃した皆さん、来週も第二回がありますから是非見ましょう。番組の放送が本来の放送予定より2週間遅れたので「また自民党から検閲が入ったのか?」と思っていたのですが、とりあえず妨 . . . 本文を読む