みみかほう

こころの耳をすませて すてきな果報にであいたいとおもいます。

✿クリーピー

2016年06月21日 | ✿映画
原作とは、全く内容が違うのですね。
あとで、原作のあらすじを知っておどろきました。

これではもう、前川裕の小説「クリーピー」の映画化。とは、いえない
のではないでしょうか。





解説・・『アカルイミライ』などの黒沢清監督がメガホンを取り、第15回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕の小説を映画化。隣人に抱いた疑念をきっかけに、とある夫婦の平穏な日常が悪夢になっていく恐怖を描く。黒沢監督とは『LOFT ロフト』に続いて4度目のタッグとなる西島秀俊が主演を務め、彼の妻を竹内結子が好演。そのほか川口春奈、東出昌大、香川照之ら豪華キャストが集結している。

あらすじ・・刑事から犯罪心理学者に転身した高倉(西島秀俊)は、前の同僚・野上(東出昌大)から6年前の一家失踪事件の分析を頼まれる。だが、ただ一人の生存者である長女の早紀(川口春奈)の記憶の糸をたぐって調査を進めても、事件の核心にはたどりつけずにいた。一方、高倉が妻・康子(竹内結子)と共に引っ越してきた新居の隣家の住人、人が好さそうなのにつかみどころのない主人の西野、病弱な妻、中学生の娘・澪の3人は、どこか奇妙な一家だった。ある日、その澪が高倉に 「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」 と突然告げ、高倉はその言葉に衝撃を受ける。未解決の失踪事件と隣人一家の不可解なつながりが、やがて高倉と妻を恐ろしい事件に巻き込んでいく…。





狂気的隣人が、すぐそばにいるかもしれない。
これは昨今、けっして空事ではない現実です。


「マインドコントロール」や「洗脳」なんて
もう、お馴染みの用語になっています。


タイトルのクリーピーとは、気味が悪い、ぞっと身の毛がよだつような、という意味なのだそうです。
映画は、そのエッセンスを十分に映像化しています。
それはもう、役者さんたちの迫真の演技力にあると思います。
香川照之さんの“クリーピー”な演技は上手すぎて、
もう、悪魔にしか見えませんでした。


ネタばれは、しませんよ。ご安心を~


精神的に他者を支配する悪意と、それに翻弄される人間たち。
映画では、なんだか得体のしれない薬物が出てきます。

ここらへんは、どうしても首をひねりたい。なんか、違う。

原作は、あくまで精神的抑圧による犯罪らしい。


過去の一家失踪事件と奇妙な隣人の西野家とのつながりは、じわり、じわり
と、わかってきます。
原作と大きく違うのは、高倉の妻さんだそうです。
原作では高倉をサポートする役割だそうですが、映画では西野に取り込まれ憔悴し常軌を逸していく役どころになっているのです。

ここらへんも、どうしても首をひねりたい。なんか、違う。

竹内結子さん、マインドコントロールされるほど、弱い奥さんには、見えなかったし。
おいおい。なぜ?と、叫びたくなりました。


この映画の登場人物は、ですから みな弱く、心に深い闇を抱えている。設定となっているのです。
けどです。
弱いなら弱いなりに
ここまでは善で、ここからは悪、
それが理解できてこその人間です。

普通の生活の中に、じわり交差する善悪。
西野家の内部のおどろおどろした空間。あのあまりにも
現実離れしたあの空間。

ここらへんは、どうしても首をひねりたい。なんか、違う。


ネット画像
クリックすると原作のあらすじがわかります。

精神的に他者を支配する悪意と、それに翻弄される人間たち。
その翻弄は、どこにあるのか。
「洗脳」・・拷問や監禁など物理的な暴力を用いて、本人の意思に関係なく主義や主張を変える手法です。 ロープで縛り付けたり、電気ショックなどを与えるなどして、主義・主張を変えようとする手法です。
「マインドコントロール」・・洗脳とは異なり、物理的な暴力を使わず、巧みに会話で誘導し、その知識を刷り込ませる事で相手の主義主張を変える手法です。物事を明確には示さず、手がかりを与えてそれとなく知らせる事で、その人の考えを一定の方向に導こうとする手法です。自分の意思で結論を下したよう仕向けます。
大きな違いは、
強制されている=洗脳
強制されていない=マインドコントロール


この説明からすると、
原作の方は、マインドコントロール
映画は、洗脳として、描かれているように思います。

洗脳の場合、強制されている環境から離れるとその力は弱まるとされ、
一方、マインドコントロールは、解除するのが難しいとされている。そうで・・・。


映画を見ながら、首をひねるほど感じた違和感は
これだったのだと、思います。

映像化には、マインドコントロールより、洗脳の方が、描きやすい。
のですよ。
きっと。


観客を一生懸命説得しているように感じた、クリーピーでした。



クリーピー6月19日鑑賞





・・・






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12 コメント

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Unknown (fukurou0731)
2016-06-21 11:53:07
おはようございます。
先日、殿利息でござる
を見てきました。その時予告編ヤっていましたので、興味はあるのですが、次は「6 4」と決めています。前後編やめてほしいなと思いますが・・・。
返信する
おはようございます (asakawayuki)
2016-06-21 11:59:07
はなこころさんのブログはいつも奥が深くて惹かれます。
そして、まとめかたがお上手です。
とても分かりやすいです。
文才に長けていらっしゃいます。
お世辞じゃ有りませんよ。

そちらの大雨、大変ですね。
お出掛けの時はお気をつけ下さいませね。
返信する
そうなんですよね ()
2016-06-21 13:36:41
マインドコントロールを薬で片付けちゃうんですね
受け手を思っての解りやすいシンボライズなのでしょうか?

原作からの脚本の書き方
と言う本が出ていたら読んでみたい
と、毎回思います( -_-)

行間とか感情の細かいヒダのようなものを、二時間では表現できない
そこをきちんとしようとしたら、作風がとてつもなく重くなる
難解になる→興業収入が上がらない
そんな
諦めのようなものが関係してるのではないかと思います。

新人作家さん
色んな物を引き替えにしてエッセンスを渡した感じなのでしょうか。
それもプロなんでしょうね。
返信する
クリーピー^^; (北天使)
2016-06-21 20:55:10
そう言う意味だったんですね^^;
なんか意味を知ってしまうと苦手かも^^;

それにしても最近映画を見ておりません^^;

返信する
おはようございます (うらら)
2016-06-22 06:21:46
ロクヨンを見に行ってこの映画の予告を。
ちょっと怖そうで見るのよそうと思ったのですが、はなこころさんの惹きこまれる文章で見たくなりました。
原作を読んでいると違和感は感じますよね。
私は原作を読んでいないのでいいのかしら?
最近は視力が悪くて本が読めなくなりました。
集中力の問題ですね。
返信する
Unknown (hirugao)
2016-06-22 09:52:46
私はこの映画の事知りませんでしたが
なんでもないことの様なのに見知らぬ人が殺人までする・・・
今朝の新聞で知りました。

怖いことですね~

返信する
こんにちは (こりす工房)
2016-06-22 10:31:34
先日テレビでこの映画のことを知りました。
原作もあるのですね。

ちょっと怖そう~~~
いやいやかなり怖そうです。
目に見えない恐怖が襲ってきそうです。
目に見えないというのが、心理的に一番怖いです。
返信する
こんにちは (小父さん)
2016-06-22 14:54:49
キャストは好きな人ばかりですね~。

洗脳とマインドコントロールですか!?

日本語では同じ意味に使われることもありますね。

>「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」

効果的な台詞に思えます!
どんでんがえしが始まるような・・・。

原作と映画の違いを私も経験したことがあります。

題名を忘れましたが、大映画監督さんが(黒澤明?)が何気ない短編をもとに大胆に創作してましたね。
本を買って来て読んで驚いたものです。
返信する
Unknown (Neko★)
2016-06-22 15:07:54
なんだか怖そうですね。。。

洗脳と、マインドコントロールの違いも
よくわかりました

サスペンスは、嫌いではないけど
クルーピーは・・・好きではないかな?
返信する
こんにちは、はなこころさん。 (田舎親爺)
2016-06-22 16:40:56
最近、身の毛もよだつ思いしたことがないんです。
見たいな~~~、あらすじを教えてもらって、尚更。

マインドコントロール、最近そんな呪縛から
やっとこ逃れ出したところです。

おもしろそうですね。
返信する

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