後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

幻影の書 the book of illusion

2009年03月10日 | Weblog
小説のの中身や物語とは別に
この本を通して
アメリカを吹きわたる風が感じられた
アメリカの風土
アメリカの社会
アメリカ国民の心象

まさか現代のアメリカ小説を読む羽目になるとは!!
きっかけはエジプト旅行
といっても、エジプトとは縁もゆかりも無い

カイロのホテルで観たNHKの国際衛星放送
読書案内の番組が面白く思わず引き込まれた

著者はポール・オースター
知る人ぞ知る人気の現代作家で映画人
この小説は3重構造になっていて
構成力や描写力、物語の展開の巧みさ
小説の面白さという意味では第1級

久しぶり買ったハードカバー
2500円の投資は無駄ではなかった

しかし読後に残ったものは多くは無い
メッセージ性が無いといえば無い
もともと著者はそんなものを
残そうとはしていないのかもしれない
ただし箴言のようなものは散りばめられている

全体として感じたのは
分かっているようでわからない
「アメリカ」を肌で味わえたこと
著者の意図とはまったく関係のないことだが…

さて今夜からは
もう3か月もお休みしていた
瀬戸内さん訳の源氏物語に戻ろう
これから栄華を誇った光源氏の凋落が始まり
人生のはかなさが展開されるはず




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