後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

衰退産業

2009年07月20日 | Weblog
不思議おじさんがとある私立大学に勤めたと聞いて
なんでまたそんな「衰退産業に?!」といった人が居る
大学自体は、少子化の影響で15年くらいは入学生が減少し続ける
「生き残り」がテーマとなっている

日本に568校の私立大学があるが(H18.5現在)
今朝の日経新聞よれば
大手私立21校の受験者数が
残り550校前後の受験者数を上回っているとか
寡占化状態といって過言ではない

「生き残り」をかけて
日曜も祝日も出勤である

ところでようやく源氏物語を読み終えた
瀬戸内寂聴さんの訳を選んだには理由がある
源氏物語はつまり出家物語という氏の言葉
出家した瀬戸内さんだからこそ
言葉の端々まで神経が行き届いているだろうとの期待

あの源氏ですら若くして出家を望んでいた
書かれていないが、晩年の3年ほどは出家したことになっている
無常の世を生き抜く術が出家という方法だった
現実からの逃避には違いないが、
この世に生き続けるという選択肢でもあった

宇治十帖の最後の部分は
浮舟の自殺未遂と
その後の出家にいたる心模様を書いて閉じる

「男とは、所詮は浅はかな者よ」
紫式部の確信を持った呟きが聞こえてくる

ところで
以前にも書いたが
今生きている人で
原文の源氏物語を読みとおした人は
千人に満たないとの説がある

では訳本を読み通した人は何人くらい居るのだろうか?

平安時代に、室町、安土桃山、江戸時代に
どんな人たちが
何人くらいが
この物語を読んだのだろうか

なとどと下らぬことを考えるより
旨い酒でも飲んで寝ることにする

季節が過ぎたが
何種類もの百合が
濃密な芳香を放ちながら
語勢に咲いて、そして散った




無常

2009年07月11日 | Weblog
あと少しである
実に8ヶ月になるかもしれない
まさかこれほどの時間を要するとは思っていなかった
新たな職場に就いたことと
その中での自分の位置づけに手間取っているせいかもしれない

8ヶ月のうちにたくさんの人が亡くなった
栄華を誇った人も、そうでなかった人も
立場に関わらず、それぞれの心に重荷を背負い
苦しみと悩みとほんの少しの幸せの暮らしを感じながら
時間という大きなうねりの藻屑となって流れていった

最近では八の宮が亡くなり
大君が衰弱死し
ついには浮舟も宇治川に身投げした
10冊目もあと半分量まで来た
明日にでも読了することになるだろう

宇治10帖は丹念に書き込まれた心理小説
とても1000年前に書かれたものとは思えない
人間の遺伝子構造は、多分3万年前から何も変わっていないのだろう
変わっているのは、時が作り出す「時代」という社会だけ

大学時代の友人でもあり
今も中国語勉強会のメンバーの一人が
某大学某クラブの部長だったために
新聞を賑わす騒ぎの渦中で苦労している
お慰めするしかない

大学生が授業以外でどのような生活を送ろうと
それはその大学生・個人の責任の問題である
なんて時代はとうの昔に過ぎ去った
大学生が起こしたトラブルは
その大学の管理監督の問題となり
社会的な“事件”として扱われる

大学は社会常識を教える場所として機能しているわけではない
そのような授業も無ければそのような関係性も作っていない
文科省も、大学に求めているのは“学士力”養成

どうやら社会が大学に求めているのは
せめて社会規範を備えた一人前の大人にしてくれ
ということなのかもしれない

大学と学生の保護者との関係なんて
昔は学費納入程度のものだった
いつからのことだろう
今や大学は保護者との関係を重視する時代となった
まるで小中学高並である

いやはや大学の教職員もたまったものではないが
大学もまたこのような”時代”のなかで
変わらざるを得ないのだろう
…良かれ悪しかれ