後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

秋(穐) 霜降

2011年10月24日 | Weblog
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白の秀明菊(別名 貴船菊)が咲き乱れている

本日は二十四節気のひとつ「霜降(そうこう)」
不思議おじさんの故郷の集落(堀川)のすぐ隣に
「霜降「しもふり)」という小さな集落がある
いや「あった」と言うべきなのだろう
高島郡新旭町から市になったときに
「霜降」は大字「旭」または「針江」に吸収されたようだ
なぜ二十四節気の名前が集落名になったかは知らない


ホトトギスが咲き始めた

「秋」は「穐」の簡略体である
「禾」は穀物の収穫を表す
では「火」は何か。まさに「火を燃やすことである」。
では「亀」は何か。カメのことではないと白川先生は言う。
「亀」はイナゴのことであるらしい。
つまり「秋」とはイナゴを火で焼き殺して穀物を守る季節であるらしい。
稲の紀元と言われる江南地域では、
今でもイナゴの害に苦しんでいるのだろうか


桔梗の鉢植え
自生株は絶滅危惧種になってしまったらしい
不思議おじさんのフィールド・信太山にはまだある
しかし自衛隊のネット張り巡らし作戦で今は入れない
ネットの中で訓練と称した自然破壊が進んでいる
お隣韓国では桔梗はトラジと称され
太った根はキムチ、ナムル、ビビンパなどに使われる
おじさんも頂いたことがある

人生の秋を迎えているが
イナゴを燃やすという気分とは少し異なる
終わりに向かう気分に支配されそうになるが
害虫イナゴから収穫を護るために
必死に立ち向かうというまでの気力はない

「秋」と言う字を見ながら思う
ここはひとつイナゴの気持ちになって
お尻に火を当てアッチッチと叫びながらもうひと走り

不思議おじさんの後ろ歩きは続くのである






非日常

2011年10月12日 | Weblog
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不思議おじさんの街も秋祭りの喧騒に包まれていた

弥生文化博物館のある古い地域なので
小さな集落単位で地車を保有し祭り組織がある
この地域の祭りは「地車(だんじり」まつり
(だんじり)とは韓国語の古語で踏み固めるということらしい

瀬戸内海気候で米を作るには溜池による水確保が絶対条件となる
溜池文化は中国から朝鮮半島を通って日本に伝来している
溜池を作るには堰と樋をつくる高度な土木工事が必要だ
大阪狭山市の狭山池は、行基が作ったといわれる日本最古の人工池
安藤忠雄設計の見事な博物館に詳しく説明されている


エンジンオイル、ミッションオイル、エレメント
気が付いたらとっくに交換時期を過ぎていた
ディーラーに車を預けて1時間あまり近所を散歩しただけで
3地区の地車が道に繰り出していた

若者たちは8月ころから毎夜練習に励む
笛、太鼓、地車の遣り回し、総力と持久力を鍛えるための走り
毎夜毎夜、煩くないといったら嘘になる

祭りが近づくと、土・日には「試験曳き」がある
道路は遮断され、たちまち交通渋滞である


道路を占拠し、公共空間を支配する一種の高揚感
解放区の中にいる若者の貌には、普段見られない眼の輝きがある

しかし団地やミニ開発の新住民にとっては
8月から毎夜毎夜遅くまで続く笛と太鼓のせわしない音
血気にはやる若者の掛け声に安静を乱され
祭り(不思議おじさんの街では4日間にも及ぶ)当日は
車の大渋滞が出現するという具合ではある

幸いにも、祭りの最終日は東京に避難していたので
多少は難を逃れることができた

東日本大震災では 何気ない平々凡々たる日常生活の幸せが多く語られた

ほとんど変化のない生活の繰り返しの中では
祭りのような解放区に身を置きたくなるものだが
野次馬根性の不思議おじさんでも
最近はちょっとしんどくなってきたのかなぁ

2011年10月08日 | Weblog

不思議おじさんの庭は彼岸花には
赤、白に続いて黄色の曼珠沙華
この花の命も短く 萎れた花は物悲しい
枯れれば間もなく青々した葉が茂る

入院中に山本周五郎の本を読み始めた
「樅の木は残った」「赤ひげ診療譚」などの
作家であることは知っていたが
本を読んだことはなかった

ところでなぜ作家に「周」の名が多いのか
遠藤周作、藤沢周平、馳星周
西周も本を著しているらしい、そして山本周五郎

「周」の語源はやはり古代中国の国、宗にライすると白川氏は言う
周の上部は周族の盾、下部は神器で
周の威光ガ強大であったことから「あまねく」との意を得た会意文字
会意文字とは、「休む」という文字が人が木の陰で休むように
二つの文字を組み合わせて作った漢字のこと。

しかし「周」は「まわる」「めぐる「繰り返す」という意味がある
円周率、周囲、周遊券、一周忌、周波数…などがそうだ
これは仮借文字だと白川氏は説明する
仮借文字とは、その語を表す字がないため
既存の同音あるいは類似音をもつ字を借りて表記すること らしい

山本周五郎は、『戦前に書いた小説は
「日本婦道記」以外はすべて焼き捨ててくれ」と言ったらしい

たまたま入院前に買った3冊の文庫本のうち
2冊は戦前の短編集だった
やはり人間は誰だって時代の子
戦争を良しとする小説ではないものの
時代を反映するものが少なくない

そのことはまた触れるとして
「菊屋敷」という小説の核心に触れる『靖献遺言』という書は
不思議おじさんの故郷が生んだ陽明学の学者・浅見絅斎の著
といっても、小説の中から浅見絅斎(あさみけいさい)を思いつくのは
やはり中学校で歴史部に少しだけ身を置いていたからだろう

また「鉢の木」という小説の舞台は
不思議おじさんの母の郷、今津町の旧中庄村であった

まぁそれだけのことではあるが
入院中の無聊を慰めてくれたものである



玄関近くの萩は
秋空の下、紅白で目出度い
秋の侘しさはここには無い

世間は3連休だが
不思議おじさんは日曜日だけのお休み
孫のお守で時を過ごそう




はじらい(含羞)

2011年10月05日 | Weblog
「文化」に振り仮名を振るとすれば
太宰治は「はじらい」だと書いたそうだ
「文化人」とははじらいを秘めた人間ということになる

川柳誌「番傘」元編集長 岩井三窓氏が
9月25日に逝去されたことを知った
「大阪弁による、ユーモアと人情味のある作風で知られた」と
新聞の「おくやみ」欄にあった
彼は、含羞の川柳作家として知られていたそうだ



謙虚、誠実、正直…
そんな人の心の中心には、
はじらう心根が息衝いている

厚顔という言葉を百倍してもまだ足りないくらい
そんな大学人の多くの特徴は、
「恥を知らない」ということだろうか

「早よ舌噛んで死んだらどうや」
藤田まこと流に言えば
「耳から手ぇ入れて脳味噌搔き回したろか」
とでも毒づきたくなる

はじらい(含羞)の姿勢に乏しい
情けない不思議おじさんである
お恥ずかしい次第である

秋色

2011年10月03日 | Weblog
桂花とは金木犀のこと

江戸時代に日本に入ってきたので日本の古典文学には登場しない
また雄株しか日本に入ってこなかったので、日本人は実を知らない。
因みに金木犀は銀木犀の変種
不思議おじさんのフィールドである信太丘陵に
曹洞宗の名刹 蔭涼寺があり
その境内に樹齢350年の銀木犀の巨木がある
日本人には強すぎる芳香ではある


山上憶良
萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志(をみなへし)
また藤袴 朝貌の花( 万葉集・巻八 1538)
萩は万葉集で最も多く詠まれた花だ
不思議おじさんの庭には白花が2本
因みに信太丘陵にはまだ姫部志(をみなへし)が残っている
野生の桔梗(朝貌・あさがほ)も咲く場所を知っているが
近年、自衛隊の金網が張り巡らされて分け入れない
藤袴は探し回ったが、残念ながら野生種を見たことが無い


今年もハナオクラが見事に咲いた
実ではなく、花を食べる
直径15~20センチに及ぶ大きな花である

さて話は変わるが 
学位の最高位である「博士」の読み方は 
「はかせ」?「はくし」?
人文学部の読み方は
「じんもん」?「じんぶん」?

ある人を紹介するのにちょっと困って改めて調べた
どちらも正解だと思うのは思い込みである

学位としての博士は「はくし」
学部としての読み方は「じんぶん」である

 




春日の局

2011年10月02日 | Weblog
不思議おじさんの家ではNHKの大河ドラマは見ない
いろいろ理由があるが 視聴料を払わなかったら
料金徴収人に小妻が「非国民」と言われたことが事をややこしくした
NHK様が国民ではないと断定した人間に
国民の義務である受信料を払えという矛盾
どうにかしてもらわんとカナワンナぁ という気持ちだが
以来30年 NHK殿は説明に来ていない

たまたまチャンネルを回す途中にお江の出産に立ち会った
その時乳母がしゃしゃり出で竹千代を浚うように奪って行った乳母
それが、その後に大奥に君臨した春日の局

たまたまは重なるもので
入院12日間の憂さ晴らしに朝早くから足を延ばした
家を出で90分日間で兵庫県は有機農業の郷「市島町」に着く
舞鶴道の春日インターを降りたが、
そこは春日の局「お福」の出生の地である。

贔屓にしている山名酒造に立ち寄ったが http://www.okutamba.co.jp/
ご主人は来週に迫る街のイベントの準備に出たっきり
この地の酒米「野条穂」を使った「奥丹波」などを求めて
仕方なく空腹を満たすために篠山へ

生協の生産者交流会でお世話になった「一会庵」を探しに行く

11時過ぎにたどり着いたが、もう満員状態
聞けば、8月にテレビ報道されたらしい

わさびもネギも、もちろんテンプラなど全く無い
ただひたすら蕎麦である。
蕎麦つゆは頂けるが、あまり浸けるなと書いてある
蕎麦に気圧された秋の昼下がりであった


入院している間に季節は移ろった
白い彼岸花も満開である
キンモクセイの香りが鼻腔を満たすに庭には
城の萩も満開が近い


職場では入院に際して「別世界に行ってきます」と言ったら
「新世界」の間違いではおまへんかと言われてしまった
中央左が新世界 右の緑は天王寺公園である

15年前に挿入した眼内レンズが
衝撃によって水晶体から遊離し、
硝子体の中に落ちかけていた
もちろんこうなると眼は見えない

眼内レンズを毛様体に縫い付ける予定だったが
白眼に3か所の穴をあけて器具類を入れ
黒目を切ってレンズを取り出しただけだった
硝子体の一部、水晶体、毛様体を切除した

尋常な人の目の奥行きは18ミリ程度らしいが
不思議おじさんは強度の近視であるため
角膜から網膜まで23ミリ以上あるらしい
そのため、水晶体無しで
角膜からの光を直接網膜に届けると
ちょうど像が結ぶとかで、新しいレンズを入れなかったらしい
珍しい例であるとか

と言われても、細胞が落ち着くまで数カ月必要
遠近の調節をする水晶体が無いので
眼鏡で矯正するしかない

それにしても
西洋医学の進歩には(水晶体の無い)目を見張る
現在の眼内レンズはより負担の無いものになっている

不思議おじさんの右目には
15年前のアクリルの球と
S字のバネが球の両側についていて
水晶体の内側から支えている

白内障になっても
簡単な手術で視力回復が可能
近視に悩む皆さん
先は明るいよ!