後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

向き合う 全力で

2011年06月27日 | Weblog

この花が咲いたからには 
もう夏では無くてどうするのだ
「銅の文化史」を著された藤野先生
某大学の元原子力研究所所長
そのお庭からお裾分けいただいたものだ
単衣のノウゼンカズラだ


斑入りのギボウシ(擬宝珠)も満開だ
この花の由来は橋の欄干などにつけられた擬宝珠に
若い葉の形が似ることによる
山間地では若葉はウルイの名称で天ぷらにされる


腰痛である
もともとヘルニアの古傷があって
左足はいつも痺れている
無理してはいけないのは分かっているが
ついつい… 疲労が溜まってしまった

お馴染みの金井整骨院へ
全力で痛みと向き合う


あっという間に 百合の季節が通り過ぎた

透かし百合である
何ともいえない優しい色合いで
もう二十年ほど咲いてくれている

この時期は 学生との面談に明け暮れている
高校生から大学生への巣立ちは
誰かが引っ張っていてくれたグライダーから
自ら燃料を入れエンジンのキーをスタートさせて
操縦桿を握る飛行機に乗り換えるのに似る

少なくない学生がその変化に気づかない

入学前教育なるものがいまでは盛んで
高校生から大学生への変化に備えることを始め
大学生活へのソフトランディングを目指して
あの手この手のサービスを行う
何を言おうこれも不思議おじさんの仕事である
入学後に、ランディング仕損ねた学生についても
不思議おじさんは大きな責任を持たねばならない

いろんな仕掛けで問題を抱えた学生に来てもらう
何せ、普段は大学に来ていない新入生が相手だ
彼らの心に寄り添い知恵を絞り汗をかく

大袈裟に言えば
六十数年の人生の
情けなくて、恥ずかしくて
惨めで、砂を噛むような経験を背景に
そんなそぶりは露一つ見せず
学生と向き合い、心を開く
学生の気持ちを引き出す
傷つき、あからさまに自己否定を繰り返したり
強がって、やがてしんみり語りだす学生たち

ある意味で全力勝負である


お陰で 息を抜く暇もない
夏休みまでの二か月近く
日々、2~3人の学生との
静かな格闘が続いている
自分を試す格闘かもしれないと思いつつ…

公平 平等

2011年06月16日 | Weblog
義援金を被災者にお届けすることができていない
その理由は「公平を期する」というお役所を支配する考え方に従い
「公平な分配」を行うことに行き詰っているからだ。
被災の程度、行方不明者の扱い等々、調査を済ませ区分できなければ
「公平な分配」を行ったと第3者に説明ができない
「平等に配分する」ことが何にも勝る彼らの規範である

そして、義捐金は金庫に眠ったまま
被災者は少なくとも義捐金に救われることは無い

お役所の限界である
お役所ができることとできないことは
阪神淡路大震災で経験し、議論され、実証されてきたことだ
同じ愚をまたも繰り返している


枝垂桜の中に埋もれてしまっている

そもそも人間社会に「平等」というものはない
「法の下の平等」は、日本においては憲法で保障されているが
これも各種選挙の実態を見ればすでに破綻している


玄関脇の紫陽花が通行の邪魔をする

花の数は少ないが、色で存在をアピールしている

ガクアジサイは野性味を秘めている

紫のガクアジサイは食卓から見えるところに

雨が放射能を海に流し続けている

俳句の凄味

2011年06月07日 | Weblog
俳句と短歌
皆様はどちらをお好みだろか

不思議おじさんは断然短歌である
朝日新聞の月曜日は短歌しか見ない

「俺はさぁ ツツジは嫌いだね
 あの押しつけがまさがさぁ」
石川桂郎が言うと
もう皆がその美意識に圧倒されたという

そのような感覚を分かってしまうところが恐ろしい
俳句 恐るべし

しかし俳人長谷川櫂は、今回の震災の心象を
俳句では表せないと短歌を詠んだ

みちのくは
けなげなる国
いくたびも
打ちのめされて
立ち上がり氏国

つつましき
みちのくの人
哀しけれ
苦しきときも
みずからを責む


しだれ桜が大きくなって埋もれたように咲く百合

ちょっと自己主張が過ぎた色合い

ドクダミとの色合いが絶妙である

つゆ草である 白色は庭に繁茂して雑草化している

土曜日は狭山池に注ぐ2つの川の一つ
三津屋川の清掃活動である
狭山池は日本最古の人工池
行基が造ったと歴史書にはある
堤を作る工法は中国から朝鮮を経て伝えられた
狭山池博物館は安藤忠雄の設計による
日本の諸文化の礎が、
東アジアから伝えられたものであることは明白である
民族主義、軽薄な保守主義がいかに滑稽であるか

見捨てられ 2面コンクリート張りの川に
土砂が堆積して雑草が生い茂る
親水性を全く失った川に
ほとんどの人が見向きもせず関心を寄せない

毎日通るこの小さな川を
28人もの学生が参加して清掃してくれる
もう6回目となる
雨天中止にならないことを願う

恥ずべき真実は…

2011年06月06日 | Weblog
天網恢恢 疎にして漏らさず
なんて言ったのは老子さんとか

これはそうあってほしいという願望であり
世の中はそうあらねばならないという理想論であり
必ずそうなると言い聞かせる政治術であり
人の心を落ち着けさせる宗教家の言葉であろう

真実は必ずしもそうではない
神様は、どうしてこうも
ボロボロに破れた網を世の中の底に張っているのか
これでは網を張っている意味もないのではないか
そう思いたくなるような毎日だ

朝日新聞日曜日の読書欄
ユダヤ人大虐殺を扱った2冊の書物
そのうちの一冊は証人ヤン・カルスキーを扱っている
彼ははゲットーに潜入し
おぞましい虐殺の真実をチャーチルやルーズベルトに伝えた
しかし対応への要請は全て無視された
理由は
ユダヤ人を救済しても誰の利益にもならなかったから…
そして「恥ずべき真実はいつでも
遅ればせにしか現れてこないのだ」と著者は言っている


ドクダミ、別名「十薬」
30年くらい前に香川の川辺で採ったものが
庭中に繁茂している 猛烈な生命力
効能はいろいろあるが
穴の開いていないデキモノに効く

火に炙ってしんなりしたドクダミの葉を
何枚か重ねて患部に貼り付ける
毎日取り替えて貼り続けていると
患部に穴が開き、膿が出てくる
袋も一緒に取れてしまうので、跡形が残らない
高校時代のお尻を含めて何度か世話になった


薔薇や紫陽花は10本ずつくらいあるが
百合類も10種類くらい咲く
写真を撮る暇がない

梅雨が駆け抜け
一気に夏がくる気配である

夏は来ぬ

2011年06月01日 | Weblog
鬱陶しい 実にうっとおしい
己の正しさをこれほどまで前提にして物を考え
他者を罵倒し足蹴にする人間の集団を見たことが無い
この人たちは「正しさ」を信じるが故に
謙虚、誠実、感謝、自省などとの無縁の空気を吸っている
およそ世の中に普遍の「正しさ」などあるであろうか?

自らの至らなさの認識こそが 前に進める原動力
地面に這い蹲り、悔し涙を流し、
ザラザラとした砂を噛み
自らの情けなさに身を捩りながら
そして多くの周りの人に迷惑を掛けながら
何とか今日まで生き延びてきたとの感慨から言えば
この尊大な連中の存在は梅雨の湿り気どころではない

新緑滴る丘が雨に煙っている
ホトトギスがしきりに鳴いている

もちろんネットから拝借した写真だ
テッペンカケタカ!


卯の花が濃い香りを漂わせている

「夏は来ぬ」の情景そのままである
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卯(う)の花の、匂う垣根に
時鳥(ほととぎす)、早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす、夏は来ぬ

さみだれの、そそぐ山田に
早乙女(さおとめ)が、裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる、夏は来ぬ

橘(たちばな)の、薫るのきばの
窓近く、蛍飛びかい
おこたり諌(いさ)むる、夏は来ぬ

楝(おうち)ちる、川べの宿の
門(かど)遠く、水鶏(くいな)声して
夕月すずしき、夏は来ぬ

五月(さつき)やみ、蛍飛びかい
水鶏(くいな)鳴き、卯の花咲きて
早苗(さなえ)植えわたす、夏は来ぬ
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白川静さんの御本を読み続けている
「漢字」の成り立ちから学んでいる
漢字の世界から、古代の社会を見ることを学んでいる
面白い!
楽しい!