らじかのよかん

ふっ急になんかわかんないんですけど↑

御大の軌跡 幻のラプソディ

2010年05月19日 | 切削工具等大藪関係・大藪春彦GUN研究・倶楽部
以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が本当に明かされています。


・『戦士の挽歌』(初出不明'83年一刷)は、特異な作品だ。
主人公はサラリーマンであって、全体の3/4読んでも一人も殺していない。
また、この作品までの主人公が「肉」のみを多量に食うのであって、
次作以降の健康的(近代的かな)食生活とは一線を画す。
殺人のプロではないのに強いから、実は御大作品最強の男かもしれない。
マジにおすすめ。ゼヒ!
「はいはい、のはいです」

・えー、初出'83年2月~'93年2月+書き下ろし'93年11月『アスファルトの虎』だが、
5巻('87年)までリアルタイムで読んで飽きてしまったのね。
(6,8巻と本は買ったが読まなかったらしい。7巻が見つからないので無くしたかも)
今回古書で買って完読。いやー疲れた(七三〇〇余枚!)。
高見沢君の目的は明記されているのに、行動がそぐわないの。
目黒の闇将軍の手先になって、
甲州街道で突撃銃乱射し、たぶん100人以上を殺傷しているのだが、
あっさりと手が切れて、後でばれるのではと悩んでいる様子がない。
今までの主人公であれば、手の者皆殺しだよな。

高見沢 優 三十二、三歳 
一メーター七十八センチ 九十五キロ 圧倒的な筋肉のバルクをもっている。
米国製マルチ・ヴァイタミン錠を飲み、
肉はあまり食わず野菜を食い七分搗きの米を食い、タラコ・スパゲッテイを好む。
更に多数のミミズないし数の子あるいは三段を好み、放つ。

スタート時に舞台は'82年であり、連載より一年前の設定だった。
が徐々に物語の舞台と実際の年数とが離れていき、
ついに'93年2月で連載終了(13巻)、このとき舞台は'84年の秋。
14巻(最終巻)は書き下ろしだ。
で舞台は'84年のF1最終戦でおしまい。
エピローグのように、'93年までF1で戦い引退したいきさつがザックリと書いてある。
(推定で、このとき四十四歳)
数回のワールドチャンピオンになり、ハリウッド女優の妻と、二人の子があり、
目黒の闇将軍時代の仕事で得たカネも合わせて莫大な資産を持っている。
数百人の人員を殺傷しているのにまったく無防備だが司法の手の影も見えん。
いわゆるハッピーエンドだ。
初期のジゴロ業時代の女ともいつの間にか切れている。
(総理の妻ともできていたのに)
ああ、『汚れた英雄』がなつかしいなあ。
なおエンドレスの兆候が後半に見られる。
余計なことだが、'89年一刷の8巻から文字が大きくなっている。

・超問題作初出'93年8月~'94年2月『餓狼の弾痕』ですけど。
とてもではないが、御大マニアでないとおすすめできぬ。
事象のエンドレス繰り返しであって、セリフまで同一。
「マジかよ!! 」つー作品。
不条理感で満たされることうけあい。
カヴァー折り返しの「・作者のことば」によると、
「あと少し早くこの作品が世に出ていれば、この物語はより真実味を帯びたに違いない。」
とのこと。
興味のある方はゼヒ。

・のワリには『蘇る女豹』('95年11月)は、まともに着地している。
試射がないとかの問題はあるものの、作品として破綻していない。
いいすよ。


こーふんして長くなったので、以下次号。
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