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映画「深く静かに潜航せよ」〜宿敵秋風撃破

2018-04-29 | 映画

映画「深く静かに潜航せよ」三日目です。

最初2編で終わるはずが三日に分けざるを得なくなり、
ヒーヒー言いながら三作目の絵を仕上げてエントリ製作したら、
なんと字数オーバーで4回連載にすることを余儀なくされました。

というわけで、まるで締め切りが迫った漫画家のように、
掲載時間に間に合うように絵を製作したのですが、これがね・・・。

こんな時に限って、ソフトの画面が突然落ちるんですよ。
これまで絵をほとんど仕上げた状態でソフトがクラッシュして呆然としたことは
はっきり言ってなんどもあり、そのために少し書いては保存して、
というのを習慣にしていたつもりですが、今日はたまたま保存なしで進んでいて
見事クラッシュ、というのを三回繰り返しました。

後になるほど保存は進んでいるのでダメージは少なかったのですが、
ロゴを入れた直後、一瞬にして消えてしまった時にはもう泣こうかと思いましたよ。

というわけで、本日のタイトルは、コニングタワーで指揮をとる
クラーク・ゲーブルとバート・ランカスターの二人のショットです。

あとで説明しますが、この時には副長の謀反が成立したあとなので、
艦長がランカスター、ゲーブルは元艦長、という立場です。


さて、前回、わざわざ魚雷発射室まで被害を見にいって転倒し、
戦闘終了後、昏睡に陥ったリチャードソン艦長。

目覚めると兵員のバンクに寝かされており、ミューラーと軍医が見守っていました。
兵たちは艦長が倒れたというのに部屋を出ていってしまったようです。

昏睡の原因は転倒の際に後頭部を打ったことで、おそらくは脳震盪というより
脳挫傷らしく、軍医は

「下手すると永遠に昏睡することになる」

とおどかすのですが、艦長はそれを誰にもいうな、と押しとどめます。

っていうかさー、くどいようだけど、戦闘中にわざわざ艦長が
魚雷発射室などに行かなければこんなことになってないよね?


実はそう思ったのはわたしだけではなく、これを演じるクラーク・ゲーブル本人も、
このメインプロットに強い拒否を示し、撮影を実際にボイコットしているのです。

つまり、こんなトンマな理由で(とはどこにも書いてませんが多分)負傷し、
潜水艦の指揮をバート・ランカスターに取って代わられる、という筋書きに対し、

「わたしがこれまでMGMで築き上げてきた20年の名声にそぐわない」

とゲーブルはきっぱりと言い切ったのでした。

このとき、クラーク・ゲーブル57歳、バート・ランカスター45歳。
いずれも中佐と大尉を演じるには歳をとりすぎていたことは確かですが、
この時ランカスターがよせばいいのにゲーブルの歳を揶揄するという事件があり、
ゲーブルはこれですっかりへそを曲げてしまったと言われています。

共演の少し前、『OK牧場の決闘」でワイアット・アープを演じてノリに乗っていた
ランカスターに対し、全盛期を過ぎていた自分の衰えを感じて
軽口が許せなかったということなのかもしれません。知らんけど。


結局どう説得されたのかはわかりませんが、ゲーブルは2日間のストライキののち、
プロットを受け入れてスタジオに復帰するという騒ぎになりました。

さて、そんな訳ありの二人の絡みです。

重賞を隠してリチャードソン艦長はブレッドソー副長を呼びつけ、
二週間で修理を完了したら豊後水道に戻ると宣言します。

まだやる気なのか艦長。

「人命を弄ぶのはもう終わりにしましょう。限界を超えてます」
(We're through playing with lives. It's the end of the line. )

と真っ当なことをいう副長に対し、

「魚雷の事故は百に一つだから今度は大丈夫だ!」

いやー、ゲーブルがこの役を嫌がったわけがよくわかりますわ。
この艦長、全くだめだもん。
戦闘指揮官たるものが、なんの根拠もなく「今度は大丈夫」とは。

案の定副長に、

「どうしてもそうしたいなら泳ぐか救命ボートで行けば?
私たちは艦で帰りますから」

とか冷たく言われちゃうし。
しかもそれに対し、

「その言葉は高くつくぞ。考え直した方がいい。
ちょっとでもこの艦を動かしたら君は絞首刑だぞ!」

とまるで映画のチンケな悪役のようなセリフで副長を脅す艦長。

いやー、ゲーブルがなぜこの役を嫌がったか(略)

おまけにこんなことまで言われちゃうし。

「それなら一緒に絞首刑になりましょうや。
あなたの作戦行動が命令違反なのは明白だ」

そして、有無を言わせず航海長を呼び、「ナーカ」は真珠湾に戻ること、
そしてこれからの指揮は自分が執ることを宣言しました。

グッバーイボンゴ(豊後)、ハローパール(真珠湾)」

乗員たちは皆大喜びですが、そのうちの一人が不機嫌に、

「42年からこっち5回哨戒に出たが、十五発の魚雷と一緒に真珠湾に帰るのは初めてだ」

そう、リチャードソン艦長が、真珠湾に戻ると宣言する副長に対し、

「潜水艦が無傷で母港にもどるのか」

と詰ったように、戦争しに来たのに戦わずして帰還するのを良しとしない者もいます。
はしゃいでいたみんなは、これを聞いて恥ずかしげにしゅんとしてしまいました。

そこに士官カートライトがやってきて、艦長のことを

「どうせならもっと早く倒れてりゃよかったのに」

と揶揄したため、彼を天敵とみなすミューラーは彼を殴りつけます。

早速「自称新艦長」ブレッドソーが飛んできて

「俺に優しく扱ってもらえると思ったら大間違いだぞ!」

こちら、新艦長が皆の前で士官を叱りつけたことで最悪の雰囲気の士官室。
ラジオからは

「It's been a long long time」

というスタンダードナンバーが流れていますが、おっと残念、この曲が発表されたのは
1945年のことで43年という設定のこの頃には存在していません。

それはともかく曲に乗せておなじみ東京ローズの放送が始まるのですが、

「この世にいないナーカの皆さんにお悔やみを」

といいつつ、艦長以下兵員の名前までをずらずらと読み上げ始めます。
え?なんで兵の名前まで知ってるの?

豊後水道で捨てたゴミを拾われていたことを突き止めたブレッドソー、
なぜかピコーン!とあることを決心し、リチャードソンに

「豊後水道に戻ります」

日本軍が拾ったゴミからこちらの動向を特定していたのであれば
その情報を逆手に取って戦えると判断したのでした。

この理屈も実はよくわからないんですが、どなたかわかる方説明お願いします。

「君はいずれにせよ撤退などしないと思っていたよ。軍人ならな」

「グッドラック、ジム」

わかりやすく豊後水道に向かうことを表すためにUターン。

ちなみにこの時、水平線には明らかに大型の艦影が見えていますが、
これは米海軍の空母(もちろん1968年当時の)であるといわれています。

戦いに戻ることと、艦の指揮をとることを改めてブレッドソーが宣言すると、
乗員はどうぞどうぞ、と新艦長にお守りをタッチさせてあげます。

ああやっぱり彼が艦長になると皆嬉しいんだ。
同じ命令をしても、受け入れられる人と反発される人がいるという・・・・(涙)

これはやっぱりゲーブルにとっては面白くない脚本だったと思われます。

そして豊後水道に戻った「ナーカ」は船団と護衛の「アキカゼ」についに遭遇しました。

作戦は輸送艦を攻撃し「アキカゼ」を引き寄せて、近づいたら艦首を狙う、
というリチャードソン艦長が立てたそのままです。


ところでこのシーン、あまりに不思議なので何回もリピートしてしまいました。
「ナーカ」の艦体が鋭角に浮上しているのにも関わらず、潜望鏡は
海面に対して90度の角度をキープしたままなのです。

潜水艦の潜望鏡がこんな動き方をするのも不思議だし、万が一それができたとしても
浮上の時にそんなことをするものだろうか、と疑問です。

「ナーカ」の放った魚雷に輸送船を撃沈され、見張りの水兵が

「〇〇ノセンビ、アカリアカリ」

と全く意味不明の報告をすると、「豊後ピート」艦長、(小説によるとこの艦長は
ナカメ・タテオという名前らしい)またもや

「取舵一杯、水中爆弾準備せよ」

 というか、いつも命令が水中爆弾準備せよだけなんですけど、
よくよく聞くとなんかこの人の日本語も少し怪しい。

魚雷を受けた輸送船の横をこちらにやってくる「アキカゼ」。
艦橋のてっぺんに大きな探照灯をくっつけて主砲はどう見てもMk12、5インチ砲。
うーん、どう見てもこれは日本の駆逐艦には見えませんがな。

それどころかマストもないし、ギアリング型でもなければフレッチャー型でもない・・・。

「ナーカ」の艦橋からは、「アキカゼ」のコースに合わせ、進路を決定、
いよいよ正面衝突です。
甲板まで浸水した位置で直進してくる「アキカゼ」に魚雷を打ち込むのです。

「艦を水平にしろ」(Rig out bow planes.)

「1500ヤード接近で魚雷発射」(Commence firing at 1,500.)

魚雷を放った次の瞬間、艦橋から降りて潜航です。
そして・・・・、

正面から放った二本の魚雷が「アキカゼ」を艦首から爆破しました。
リチャードソン艦長の作戦通りに、ついに宿敵「アキカゼ」を沈めたのです。

寝ながら首だけ起こしてアナウンスに聞き入っていたリチャードソン、
「アキカゼ」撃沈に湧く艦内の声に、安堵の表情を浮かべるのでした。


ところで、リチャードソンが昏睡状態の時に、彼がベッドで幻聴のようになんども聞く

「What is it, Sir?」

「I can't make that out.」

 「これはなんですか?」「私にはわかりません」という会話の意味が全くわかりません。
何か過去の任務で起こったことを思い出しているようなのですが・・・。

これも原作を読めば理解できるのでしょうか。





続く。


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1 Comments

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バート・ランカスター (鉄火お嬢)
2018-04-30 09:47:24
懐かしいですね。まず見ないジャンルですがランカスターといえば西部劇かミリタリー、私は昔ルキノ・ヴィスコンティやフェリーニを名画座によく観に通いましたが、ヴィスコンティの「山猫」は全てのシーンを鮮明に覚えています。やはりウェスタンイメージが強すぎるランカスターを、よりによって公爵役、ヴィスコンティともあろうに何故と言われたようですが、カラヤンのオペラキャスティングのように、意外にみえて大成功だったのでしたね。
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