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お正月京都旅行〜アマン京都編

2022-01-12 | お出かけ

京都旅行ご報告の続きです。



わたしたちは、祇園の料理旅館で一泊した後、アマン京都に向かいました。
わたしの車のナビにまだアマンが登録されていなかったのが災いし、
住所を入れても該当地らしきアバウトな地点しか出てこないうえ、
ナビに、わざわざ裏側から回り込む、狭い山道を指示されて走る羽目になりました。

到着してみると何のことはない、金閣寺方面から来ていれば
舗装された普通の道路で来ることができたのがわかり、ガックリです。

まあ、車検前でナビのアップデートをしてなかったのが悪いんですけどね。



やっとのことでアマン京都玄関に到着。
中から出てきたのはスタッフのようです。



門松の立てられた正門脇には黒いドアマンの待機室らしい小屋があり、
訪問者はここで検温と手の消毒を行い、車を降りて歩いて入場します。


祇園の女将はもちろん、京都の人たちは、アマン京都が開業するまでの
政治的なゴタゴタというか、ややこしい経緯を知っているようで、
なんでもアマンの経営者が日本に作るならここしかない、と
肝煎りで決まった場所だったのに、開業に関しては
市との交渉が難航して計画が宙に浮いた状態が続き、
計画開始から開業までなんと25年、四半世紀が費やされたのだとか。




元々ここは西陣織で財を築いた浅野と言う名家が
織物美術館のようなものを作ろうと、庭園を作っていた場所でした。

とにかく石が好きな当主で、岡山などから石を集め、
広大な敷地はほぼ石で埋め尽くされていると言っても過言ではありません。

玄関口を入ると、構内に続く通路は、世界のどこにもないような
巨大な石を使った石畳が広がり、訪れる人を驚かせます。


チェックイン後、部屋への案内の前に、コンシェルジュが
構内を歩きながらちょっとした説明ツァーをしてくれました。

細道に沿って高さが揃った見事な高杉が目を惹きます。


浅野家の当主は庭園造りが完成しないうちに土地を手放すことになり、
持ち主のないままこの一帯は手付かずで放置されていました。


こういう構築物のうち、どれがオリジナルで、どれがアマンの手が入っているのかは
今となってはもうわかりませんが、少なくともこの美しく生え揃った苔は、
アマンが土地を手に入れてから設えて育てているようです。


庭園の至る所に先ほど井戸状のものや、このような
地下水路の覗き口があります。


基本的にアマンリゾーツのコンセプトは、自然に溶け込むことなので、
開発にあたってはたった一本の木も抜かないようにしています。



木は元々浅野さんが選定したものが残っているのですが、
わたしは庭内を歩きながら、桜の木がないことに気がつきました。

「桜はないみたいですね」

というと、

「ええ、なんだか桜はお嫌いだったようで」

桜が好きではない、ではなく積極的に嫌い、という、
いわゆる通人というのも珍しいといえば珍しいかもしれません。


チェックインは本来3時ですが、昼食を取るために12時には現地到着しました。
二カ所あるレストランのうち和食の「鷹庵」へ。

アマン京都は一歩入るとまるで外界から切り離されたような雰囲気ですが、
レストランは宿泊客でなくても普通に利用できます。

この日は会社単位の団体客がいてかなり賑やかでしたが、
その中の女性一人がテンションかなり高めで声も大きく、
正直ちょっと残念な雰囲気になりました。


テーブルのミニ芝生?にお飾りをつけてお正月風。


「鷹庵」のインテリアは和風寄り。
灯りのシェードはどうやら俵をイメージしているようです。


和食と言っても、ガチガチの古い懐石風というわけではなく、
和風テイストの自然食を和の器にあしらったという感じです。


料理長は吉兆出身で、料理の内容は毎日変わるのだとか。
長期滞在客への配慮でもあります。


鶏肉の団子のすまし汁。
柚子と三つ葉が香り高い一品です。


こちらはもう一つのオールデイダイニングで晩ごはんの前に出てきた
いわゆるアミューズ、ウニのカナッペでございます。


昼ごはんをガッツリ頂いたので、夜はスープ一品だけにしました。


フィッシュ&チップスに全くいい思い出のないわたしには理解できませんが、
MKはこのよくわからない料理が好きらしく、よく注文します。

彼がメニューに三千円のフィッシュ&チップスがあったので、
一つだけ注文したのですが、出てきたものを見てびっくりしました。

この物体を見て何の料理だか当てられる人はいますまい。
いわゆるチップス的なカリカリの部分は、まるでモンブランのような
細いヌードル状のものをフィッシュに巻いて揚げてあるのです。

MKによると、味はフィッシュ&チップスの上位変換だったということです。


オールデイダイニングの前には暖炉を設えたウッドテラスが広がり、
そこでは電気膝掛けを貸してもらって飲み物をいただくことができます。


そこに座って空の星を眺め、家族でいろんな話をしました。
話題は主にMKの今後についてでした。

MKも早いもので、今年卒業すれば大学院進学が待っています。
一応在学している大学の院には合格しているのですが、
西や東の大学にいくつか願書を出している上、インターンがどこになるかも
向こうが決めることなので、来年の今頃彼がどこにいるかは全くわかりません。


おっと、忘れていました。こちらアマン京都の客室でございます。
三人で泊まるので、テーブルのこちら側にあるソファがベッドになっています。

お湯を張るのに30分かかる大きな木のバスタブ、洗面台が
寝室と全く同じ大きさに広々と配置されていて、
水回りがゆったりしているというのは実に居心地の良いものだと感じました。



ウェルカムフルーツはりんごが二個、お正月だからか、
大吟醸の小さな酒樽がサービスで置かれており、
願い事を書いておくとホテルの人が近所の神社に奉納してくれる絵馬まであります。


チェックインした日は祇園の旅館女将のお薦め通り、部屋を堪能し、
温泉に入り、スパを楽しみ、次の朝、ゆっくり歩けば
1時間かかるという敷地内を探検してみることにしました。

敷石は巨大で歩きやすいのですが、うっかり石の端を踏むと
傾斜で躓いてしまうので、気をつけなければいけません。
慣れているはずのホテルのスタッフも、転ぶことが多々あるそうです。


古い石仏の足下に何かの実が備えられていますが、
これは庭内に常駐する「お庭番」が「映え」を意識して置いているようです。


このあたりを鷹峰地区と言いますが、この庭園は高峰山の裾に
抱かれるように存在しています。
各客室となっている建物のある平地から、ソーラーによる常夜灯が設置された
石段を登っていくと、平地を見下ろす高さに苔むした通路が伸びています。


鷹峰山に続くゆっくりした坂道を登っていくと、急に広い石段が現れました。
前の所有者が作ったのかどうかはわかりませんが、
単なる散歩コースとしてはえらく大掛かりな工事をしたものです。


とはいえ、金刀比羅神社の境内のような脚力体力を試される石段ではなく、
すぐに広場のような終着点に辿り着きます。

一体何にするために作ったのか、真ん中に石舞台のようなものがあり、
奥には山から湧き出す水が貯まる小さな貯水池があるだけ。
宿泊客の散歩以外の目的でこの場所が使われたことはないのでは、と思われました。

こういう壮大な「無駄」が時間に追われる日常から心を解き放ってくれます。


坂を降りてくると、ここにも湧き出る水の貯水池が。

チェックアウトは何やらよくわからない特典によって、
通常12時のところ、4時まで伸ばしてもらえました。



ホテルのコンシェルジュに相談したところ、
近隣のリゾートホテルのレストランや鳥料理の店を紹介してくれたので、
この鳥料理屋で親子丼を頂いてみました。


中は昔民家だった家の座敷に絨毯を敷いて、そこに土足で上がっていくので、
何かとてもいけないことをしているような気がしました。

肝心のお味ですが、京都にしては味が濃い親子丼でした。


昨日は粉雪がちらついたりして曇りがちな一日でしたが、
この日はきれいに晴れて青空の下の散歩が楽しめました。


昨日火を囲んでしばし語らったテラス。
火は一日中点されていつでも周りで暖を取ることができます。

2年前に泊まった伊勢志摩のアマネムにも、こんなテラスがあって、
食後に火を囲んだりしたものです。



上に見えているのがアマンの中で最もお高い部屋です。
値段を言うのは野暮ですが、一泊90万円台と言う噂です。


チェックアウトギリギリまでホテルを楽しむ魂胆満々で、
アフタヌーンティーを三人で一つ注文することにしました。

三人で順番に好きなものを取っていく方式です。
ここにも京都銘菓「花びらもち」のミニチュアがありますね。


アマン京都のアフタヌーンティなので、メインはみたらし団子。
カートでやってきて、炭火で少し炙った団子に、
味噌、餡、タレの三種類を選んでつけてもらえます。


わたしは赤味噌をつけていただきました。
三個の団子に一種類ずつ違うものを付けるのもありです。


お茶はアフタヌーンティについてくる一人分は飲み放題。
今回はサービスで全員にお抹茶を点ててくれました。

4時にチェックアウトした後、神戸のわたしの実家に向かい、
時節柄短時間の年始訪問を行いました。
母に孫の顔を見せてやれてよかったと思います。

その夜は、たまたまTOが宿泊券を持っていたため、
大阪の帝国ホテルに泊まりました。

ところで、このとき実家を出てからナビで大阪に向かったのですが、
もうすぐ到着というのに、様子がおかしい。

行けども行けども、全く大きなホテルがあるような街並みではないのです。
道は細いし、そもそも建ち並んでいるお店の名前が悉く怪しい。
「熟女なんとかヘルス」とか「聖リッチ女学園」とか。

「到着しました」と言われて横を見ると、確かにありましたよ。
大阪帝国ホテルが。
うーむ、大阪には帝国ホテルとは名のみ似て非なる帝国ホテルがあるのですね。
関西出身なのに知らんかったわ。

周りのいかがわしい?雰囲気から、てっきりこちらは時間制ホテルかと思いきや、
案外まともなビジネスホテルであることが後からわかりましたが、
これって帝国ホテル本家から文句出なかったのかしら。

それとも、大阪の帝国はこちらの方が先だったってこと?

無事本家に到着



来てみて昔泊まったことがあるのを思い出しました。
確か、MKをユニバーサルスタジオに連れて行った時だったかな。
夜頼んだマッサージのおばちゃんが、痛いだけで気持ち良くなくて、おまけに
痛いのは体が悪い証拠、みたいに言い放たれた記憶があります。


長距離ドライブの前に帝国の中華を!と思いつき、
簡単なコースを選んだら、付いてきた麻婆豆腐が激うまでした。

そして、そのまま順調に休憩もとりながら新東名をかっ飛ばしていたのですが、
ちょうど浜松に差し掛かった時、運転手であるわたしが
急に夕飯のことを思い出したため、高速を降りて鰻を食べることになりました。

TOが選んだ鰻屋を目指して山道をうねうねと降りて走っていき、
いつの間にか車は航空自衛隊浜松基地の横を走っていました。

なんと、航空自衛隊員御用達(に違いない)鰻屋だったのです。


鰻屋なのに、家の佇まいはまるで喫茶店のようにファンシー系でしたが、
一歩店に入ると、ちゃんと生簀には鰻がにょろにょろしておりました。

電話で予約したら、今から鰻を3本用意します、との返事。


そしてそれがこうなって出てきたというわけ。

わたしは白焼きの鰻重を選択しました。
あまりにも鰻が大きすぎて、全部食べられず、TOに手伝ってもらったほどです。


というわけで、最後を浜松の鰻で締め、我が家の京都旅行は無事に終わりました。






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2 Comments

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MKさん (お節介船屋)
2022-01-13 09:03:23
はや大学卒業ですか。
大学院進学もおめでとうございます。
コロナ禍に翻弄されたこの2年ですが大学生活謳歌とはいかなかったでしょうから残念でしょうが無事過ごされての事でしょう。
益々のご成長をお祈りします。
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聖リッチ女学園 (ウェップス)
2022-01-13 17:50:38
 ヘル談も海軍士官の嗜みとはいえ、セレブリティな記事にこのような用語が突然出てくるあたり油断がなりません。

 思い出したのが、かつて某国(海上自衛隊との関係は極めて良好)の国名を冠した風俗産業があった時代のエピソードです。
 よりによって「大使館」という店名をつけた輩がいて、本当の某国大使館に間違い電話が来て大問題になったそうです。それやこれやもあってこの業種から国名が消えた次第です。(出典:小沢昭一的こころ)
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