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護衛艦の居住性~護衛艦「さみだれ」乗艦記

2012-07-01 | 自衛隊

護衛艦「さみだれ」、搭載武器を次々に紹介しております。
写真は、これも前回エリス中尉が「さみだれ撃ち」などと口を滑らせて場を気マズくさせたところの
62口径76ミリ速射砲が、一分間に100発の弾丸を「せつなさみだれ撃ち」しているところ。
(ごく一部の人しか分からない『ぎなた言葉』すみません)



この速射砲、弾をご覧のように人が補給します。
水兵さんのイラストがなんだかレトロですね。
この絵だと、甲板で作業しているように見えますが、
実際はこの速射砲のある地下部に作業現場があるのでしょう。
冒頭写真は、撃ち殻薬莢が表示通り外に放出されている様子も映っていますね。

それでももの凄い轟音と震動があると思われます。
これをやっているところ(作業の方)を見てみたいなあ。

ところでこの速射砲の射程距離ですが、

1万6千300メートル。

16キロ先の、敵艦をピンポイントで狙えるということですね。

近代戦では、肉眼で見えない敵を、見えないまま攻撃して、その戦果も目にしない。
こういうことでしょうか。

 

そして、最後にご紹介するのは

垂直式アスロック発射装置(VLS for Anti Sumarine Rocket)

このチョコバー状の蓋があいたら、垂直に(VLS)飛ぶのです。
何が飛ぶのかって?
魚雷ですよ。
魚雷が垂直に、空に向かって飛んで行くのだ!
しかも潜水艦を狙って。

すげー。

英語を見ると分かりやすいのだけど、これは潜水艦を攻撃するシステム。
近距離の潜水艦に対しては、3連装短魚雷発射管から魚雷を撃てばいいのですが、
遠距離の場合は、海中より空中を飛ばした方が精度は上がる、ということだと思います。

魚雷の後部にはブースターロケットが装備され、ここから発射されます。
垂直に撃ちあげられた魚雷には飛翔用のロケットが装備されており、20キロ先の潜水艦を
目がけて滑空、目標手前で海中に落下し、そこから海中の潜水艦に向かっていくのです。

潜水艦にとって恐ろしいのは、ロケットが空中を行く速さのみならず、海中からは
上空で何が起こっているのかレーダー補足できないうちに魚雷が迫ってくるということでしょう。
しかも艦長によるとこれは「百発百中」。

現代でも、やっぱり潜水艦勤務って、怖そうだなあ・・・。


今回、艦船における武器をこうやって見学し、今まで知らなかった世界がそこにあるのに、
ただ驚くばかりでした。
無機的で合理的で、システマティックで「間度」は確実に進化している武器の数々。
こんなものを生身の人間に対して使う戦争だけは、何としても避けるべきだと思います。

しかし、これらの槍を完璧に装備してこそ、それが国の護りの盾にもなるのだということもまた、
あらためて実感できた気がしております。


さて、次は艦橋の操舵室見学です。



操舵室から見た前方の眺め。
白い20mm機関砲の頭が見えていますね。



どんなにコンピュータ制御になっても、舵はこの形。
だって、いまだに「面舵」「取り舵」「ようそろ」ですからね。
舵には滑り止めのマクラメ編みのようなカバーが掛けてあります。
この滑り止めは、狭い館内の階段の手すりなど、全てにかけられており、艦長によると
「各艦工夫をこらしていろいろやっているんです」とのことです。

 艦長の椅子。右舷側にあります。

このツートーンには何か意味があるに違いない。
と思ったらやはり、「赤と青のカバーはこの『さみだれ』の艦長の位が二佐である印」
であることが判明。
もし艦長が一佐であれば赤一色なのだそうです。
ということは、もし三佐なら青一色ですか?

この反対側の左舷側には、白いカバーの椅子がもう一つあります。
艦長より上位の者、司令などが乗艦したときのための「上席」だそうです。
司令であった場合は黄色、一佐であれば赤をかけるのですって。
うーん、いろいろと決まりごとがあるんですね。



艦橋から前方を眺めれば、そこには三隻の掃海艇が。
今回呉を案内して下さった元艦長氏は、こういう掃海艇の艦長でした。



操舵室にこんなファイル発見。
護衛艦には海上救難部署が設けられており、救助用器材も装備しています。
艦上救難員、潜水士、降下救助員も乗艦しているのです。

つまり、船舶火災、溺者救助、航空機救難、曳航などの救難任務にも対応できるのですが、
このあたりの海保との住み分けはどうなっているのか、ふと思いました。

ここで操舵室の横デッキに出て・・・・、



タダものではない倍率の双眼鏡を覗かせてもらいました。



案内のH艦長。
「さみだれ」艦長ともなると、刊行物に名前と顔が載っているくらいなので、
目隠しする必要はないかと思いましたが、一応「肖像権」みたいなことに気を遣ってみました。
実はこの写真、艦長ったら、ばっちりカメラ目線なんですよ~。

ところで、ウィキペディアの「さみだれ」の項で確認してみたのですが、そこに記載されている
現在の艦長の名前が、確かこの方からお聞きしたお名前と違っているのです。
話しかけたときに名札を確認し、少し変わったお名前だったので記憶しているのですが。
これは、単にウィキペディアが情報を書き変えていないというだけのことなのでしょうか。




この見るからに爽やかな自衛官の調整しているのが、距離測定器(だったかな)。
首にストラップを必ずかけて、まん中を覗きこみます。

こうやって、先にフネの装備を外で見てから艦内に入ったのですが、これは艦長の計らい。
お天気が怪しかったので、降りださないうちに外を見てしまう、ということになったようです。
本当は、先に内部を見るのだとか。

というわけで、いよいよ艦内に入っていきますよ。



この急峻な階段を見よ。

ほとんど垂直。ほとんど梯子ではないですか。
運動靴でこういう場合に備えて覚悟をしてきたエリス中尉も、これにはびっくり。

しかも、この護衛艦「さみだれ」のパンフレットには、最初にこのように書いていあるのです。

装備の近代化だけでなく乗員の居住環境も大幅に改善され、
快適な生活をおくれる護衛艦となっております。

うーん。
快適な生活を送れる、ということを護衛艦のウリにするのも、なんだか突っ込みどころだけど、
それほど快適になったといいながら、十分狭い気がするんですが。

それはさておき、この艦長の動きを見よ。
あっという間に階段を駆け下り、さらに画像がブレる目にもとまらぬ素早さ。

 通路。天井も壁もパイプだらけですね。

あまりにもエリス中尉がもたもた階段を下りているので
「あれ?着いてきてないし」とばかり、立ち止まってこちらを振り返る艦長。
だから、あなた方ほどさっさと行動できないんですってば。
艦長、歩くのもやたら速い。
やっぱり鍛えるのが仕事の自衛官だけのことはあります。

 鍛えると言えばこのデッキ。

白いラインで書かれた通路ですが、この部分は滑りにくい材質の床になっており、
航行中、乗組員は皆でここをランニングするのだそうです。
フネの中ではどうしても運動不足になってしまうから、とのことです。
海軍体操みたいなことはやらないんですかね。
しかし、こんな狭い通路や階段を上ったり下りたり、一日身体を張って訓練訓練の艦隊勤務、
月月火水木金金。
これで運動不足なら、たいていの娑婆のひとはどうなる。


先ほどの「快適な生活」という記述ですが、一般向けのパンフレットの冒頭に書かれています。
武器の性能などを差し置いて、居住環境の良さをなぜこんなところで強調しなくてはいけないのか?

と思いつつ、いろいろ調べていると、あるところで、

むらさめ型等の新鋭艦は、従来艦より大型化されたために居住空間が広くなり、
生活環境は改善されている。

という一文を見つけました。
この「さみだれ」、むらさめ型の新鋭艦として、わざわざこのことを自画自賛するほど、
優れた居住性が特徴的であったということらしいです。

何しろこれが初めて内部を見た護衛艦なので、「階段、せまっ!」などと思いこそすれ、
この後案内された会議室が、言われてみればフネの中にしては異様に広いのにも、
これを読むまで全く気づきませんでした


またもや紙幅が尽きました。
次回、最終回(になる予定希望)に続く。






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