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自衛隊観艦式~「ひゅうが」乗艦記

2012-10-20 | 自衛隊

何日かにわたって海上で行われる観艦式の模様をお送りしてきました。

ここでいったん、われわれの乗っている「ひゅうが」艦内をご案内しましょう。



乗艦したらこのエレベータで甲板に上がります。
艦載機用なので、乗員がこのように日頃昇降に使うことは無いと思われます。
これほど巨大なものでありながら、信じられないほど動きはなめらか、しかも速い。
目を閉じていたらおそらく動いていることすら気づかないレベルです。

普通のエレベータと違って手すりも枠もありませんから、
一般客を乗せるこの日一日、15分に一度の稼働の際も、必ず自衛官が周りをチェック、
何人かが乗り込んで安全確保していました。

「ひゅうが」がデビューしたのは4年前。
一般公開の際、このエレベータは見学者を乗せて昇降したのですが、
「当初そのデモンストレーションは予定に無かった」とwikiには書いてあります。

現場の自衛官の
「見学者が8,200人もいるんですから、乗せて甲板に上げましょう」
「う~ん、予定に無かったけど、それいい考えかも」
という判断で行われた結果、非常に機能的に人員を移動させることができ(そりゃそうだ)
何より好評でもあったので、以後恒例化し、今回の観艦式にも大活躍、ということでしょうか。

他の大型艦に乗ったことがないので何とも言えませんが、
狭いフネの階段を上がっていかなくても甲板に出られるのは
「ひゅうが」ならではのお得だったかもしれません。

さて、それではエレベータでなく、階段を下りて艦内に入りましょう。



巨大艦であってもフネの階段はどこのも一緒。
乗ったことのある方はご存じでしょうが、護衛艦の階段というもの、
急なのは当たり前としても、どうしてあんなに段が狭いのでしょう。
普通の階段のように足を下ろすとつま先がはみ出るほど。
ジャイアント馬場ならおそらくカカトしか段にのせることは出来ないでしょう。

この階段を、登りはともかく下るとき、自衛官の皆さんは、特に作業着でない日など、
革靴で駆け下りてどうして転げ落ちないのか、不思議でたまりません。

ほとんどの階段の降り口には自衛官がいて見張りをしていました。
もし誰か転がり落ちたら、下で身体を張って受け止めてくれる気満々です。
一度手を出していただいたのでつかまって降りましたが、後ろにいたO氏(防大卒)には
手を引っ込めたらしく、O氏は後ろで

「僕には手貸してしてくれないの?」

基本的にお歳を召したように見えない男性には手を出さないようです。



格納フロアにはSH-60Jが一機展示用に置いてありました。

 

三菱が製造、とありますが、これはライセンス生産で、
元々シコスルキー社に発注したのだそうです。

♪ 翼の20ミリ雄叫び上げりゃ
墜ちるグラマン シコルスキシコルスキ~(搭乗員節)

のシコルスキーです。
「太平洋の翼」で、加山雄三、佐藤充、夏木陽介が歌っていましたね。

一昨日の項でJとKの違いについて見分け方を勉強したのですが、
Jは従来型で、改良型となったKとの最も大きな違いはどうやらローターのようですね。
冒頭の「ひゅうが」のマークは機の側面にあります。
搭載艦のマークをヘリも付けるものだと初めて知りました。

「さみだれ」はヘリが搭載されるときは「ヘリ基地から出動して艦の指揮下に入る」
ということでしたが、「ひゅうが」は飛行隊が最初から艦の指揮系統に入っています。



どれどれ、K型と見分けるポイント、ブレードの先端は・・・・あれ?
メインローターが、無いっ!



と思ったら、三枚とも羽は後ろにたたんでありました。
羽自体の重力でブレードに歪みが生じないように、(たぶん)赤いポールで羽を支えてあります。
そして、後ろに回ってびっくり、なんとヘリの尻尾も折りたたんでしまえるのですね。
太刀魚の切り身のような部分()は、尻尾の後ろの尾翼のようですが、これもたたんであります。

ヘリはどの機もこのようにたためるのでしょうか?
それとも艦載機だからフォルダーブル仕様?

その昔、伊潜には折りたたみの飛行機が搭載されており、
海上に浮上するやいなやもの凄い早さで飛行機を組み立て発進したそうですが、
日本人は「小さくすること」は異様に得意だからなあ。

その場所からふと横を見やれば



たくさんの人がここでたばこを吸っていました。
しかし、二枚上の写真を見てください。
「火気厳禁」
これ、「火気厳禁」と大書している真横のスペースにあるんですけど・・・・。

うーん、アマい。日本は喫煙者に対してアマすぎる。

エリス中尉、米軍の艦船に乗ったことは勿論ありませんが(来年乗れる可能性在り
アメリカのフネはどんなに巨大であろうと、「全艦禁煙」であろうと思います。
アメリカ人のたばこ排斥は徹底していて、飲食店の禁煙率は100パーセント。
レンタカーの禁煙率も100パーセント。(これだけは日本でも実地して欲しい)
遊園地、ショッピングモール、空港、デパートの禁煙率も100パーセント。
決してたばこを吸う人がいないわけでは無いのに、公的な場では100パーセント禁煙です。
ただでさえ狭いフネが禁煙で無いわけがありません。

この「喫煙場所」という札はマグネットプレートのように見えるので、
もしかしたらこの日だけの配慮だったのかもしれません。
船に乗っている間くらい我慢させれば?と吸わない人間としては思ってしまいますが、
どうしても我慢できない人間が甲板でたばこ吸って海にポイするかも、と憂慮したのでしょうか。

この階には、自衛隊の活動を説明するパネル展示もありました。



海賊対策でアデン沖に派遣されていたときの様子のようです。
こういうときには写真のようなヘルメットをかぶるのですね。

 

艦内に同じヘルメットとライフジャケット発見。

誰でも手に取れるようになっていました。
こっそりかぶって写真撮れば良かった・・・。



なぜか色の違うヘルメットも見つけました。
さらに探索していると、



自衛官食堂発見。
勿論ここに座っていても何も出てきません。
しかしモニターでは自衛隊の紹介ビデオがエンドレスで流れているので、
ここに陣取って見ている人(と自衛官)もいました。
観艦式の始まる前までは、皆甲板や艦内うろうろしていました。



食堂にあった掲示板。どれどれ・・・。

 モノ好きにもアップしてみる。

ちょっと萌え絵風。
海自、始まって・・・・ない?

 

自衛官から情報が漏れることは大変な国家機密が流出するおそれに繋がります。
そう言えば、イージス艦の情報が、自衛官を通じて中国人女性の手に渡った事件がありました。
冗談抜きで、共産党はそういう人物を日本に送り込み、あらゆるところに潜り込ませているそうです。
中には日本の国家中枢や軍事機密に携わる人物と結婚するために送り込まれているような
「自称留学生女子」もいるとか。
急に自分には不釣り合いなほどの中国美人が近づいてきたら、自衛官の諸君は警戒しましょう。



2005年に横須賀の潜水艦隊を中心に薬物事件が頻発しました。
それ以降、海自では自衛隊員が薬物所持事件に巻き込まれないよう神経をとがらせています。
何十万人もの団体ですから、犯罪に手を染める人間が何年かに一人や二人出ても不思議は無いのですが、
自衛隊の憂鬱は、一人でもこういう事件を起こすと、
「自衛隊は暴力組織!」「犯罪者のいる軍隊など解体せよ!」
などという極論をしたり顔で叫ぶ団体のそれ見たことか調の糾弾を避けられないことでしょう。
一般人なら記事にもならない軽犯罪でも、警察官、自衛官は個人名で報道されてしまいます。



こんなポスターもありましたよ。
小缶を二本飲むなら最初から大缶一本。
これはぜひ板倉光馬少佐にお教えしたい方法ですね。
しかし、大缶を飲んだ後ついもう一本、と手を出せば、かえって逆効果に。

さきほどの階段を下りたところには神棚がありました。
日本の軍艦には伝統的に神棚が装備されているようですね。
ちゃんと榊が備えてあるし(造花かな)、お掃除用の刷毛も完備。

後ろに立っていた自衛官(水兵さん)に
「こういうの手を合わせたりすることってあるんですか?」と聴くと、きっぱり
「ありません!」

そうなの?
出撃前にヘリ搭乗員がここでお辞儀をしていくんじゃないのね。

 

ハットラック。
写真を撮ろうとしたら、彼が写らないように立ち止まったので、
「入ってくれた方が嬉しいから歩いてきて下さい」
と注文を付けてパチリ。ちょっと照れ笑いしてます。
この日の自衛官の皆さんは公務なので、基本的に顔隠しはしませんでした。
ご了承ください。

先任海曹は、分隊長、分隊士の手助けをする、旧軍で言う先任下士です。
各分隊に一人配置されます。
「ひゅうが」は飛行機を搭載していますから、

第一分隊 砲雷科
第二分隊 船務科 航海科
第三分隊 機関科
第四分隊 補給科 衛生科
第五分隊 飛行科

計五人の先任海曹がいることになります。

この日、多数の見学者を乗せる「ひゅうが」は、至る所を見学者の休憩用に解放していました。

士官室。

O氏と艦内探検していたときに見つけ、入ってみました。
このときはもう観艦式も訓練展示も終わった後で、甲板はもの凄い強風。
暖かい室内でお茶を飲みつつビデオを見ている人でいっぱいです。



なぜか皆遠慮して座ろうとしない白いカバーの掛かったソファに
当然のように座るO氏(防大卒)とエリス中尉(自称尉官)。
すぐさま自衛官が飲み物の注文を取りに来て、お茶が出されました。
彼らの物腰も実にフレンドリーで、あたかも「自衛官カフェ ひゅうが」と言った雰囲気です。

我々の向かいには陸自士官OBの方が座っておられました。
やはり、白いカバーのソファに堂々と座る勇者は「その筋」だからなのか?
この方が話しかけてこられたのでそれなりに返事をしていたら、

「女の人で珍しいですね。どうしてですか」
「えー・・・・・」

・・・・もうそろそろ、こういう質問に対する簡潔な答えを用意しておくべきだ、と
エリス中尉、今日という今日は心の底から思いました。



あまりの風の強さに、人気のいなくなった(ように見える)甲板。



この写真を見て気づいたのですが、真後ろに「ちょうかい」と「あたご」が見えています。
艦尾から「ちょうかい」の写真を撮れば良かったなあ。
(次回の教訓にしようっと)



後甲板右舷から艦橋を望む。



空から識別できるように甲板に書いてある艦番号。
「ひゅうが」のナンバーは181です。



旗流信号。おそらく「ひゅうが」の認識旗?



調べても分からなかったてるてる坊主。
これなんだろう?ソナーシステムかなあ。



何だろうと言えばこの画面の右に見えている丸いものも。
実際にそこにいると全く目に入らないのに、写真を見ると不思議なモノがいっぱい写っている・・。



ところで艦内のパネルにあったこの写真。
射撃訓練は12.7ミリ単装機関銃で行っていると思われます。
機関銃の前に弾よけだか照準用だかわからないものがありますが、



艦首で同じものを見つけました。


あと、艦内を歩いていて感じたのは、さすがは海軍、
どこもかしこもぴかぴかに磨き上げられ、ちり一つ無かったこと。
比較的新しい艦であるせいもありますが、それは清潔でしたよ。
フェリーなどで感じる「狭い空間にこもった臭い」みたいなものはいっさいありませんでした。



次回は受閲航空部隊とその訓練展示をお送りします。

速度の遅いフネでさえ、あまりのまぶしさにカメラにどう写っているか分からなかったのに、
あっという間に行ってしまう飛行機が、モニターに全く確認できないため、めく、じゃなくて
視覚障害者撃ちでシャッターを取りあえず押した、エリス中尉。
はたしてその結果とは?

待て次号!








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4 Comments

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ヘリコプターのローターブレード ()
2012-10-20 19:12:28
>それとも艦載機だからフォルダーブル仕様?
そのとおりです。
例えば、スマトラ沖の大津波における災害派遣の際、陸上自衛隊のCH-46を積んで行ったのですが、このヘリはローターブレードを外して搭載し、現地で取り付けて飛行していました。

>調べても分からなかったてるてる坊主。
私も艦艇は専門ではないので100%の自信はありませんが、衛星通信用のアンテナだと思いますよ。

因みに2本突き出ているポールは、外洋に出たとき生鮮食品の補給に使う「一本釣り」用の「竿」です!(んな訳ない!!)
正確には、短波帯の通信用アンテナです。

ところで、観閲艦の「くらま」には赤☆元海幕長が乗艦されていたのはご存知でしたか?
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・・・・な、 (エリス中尉)
2012-10-20 23:15:18
なんだって~~~!

Oさんが「赤☆くんはたぶん15日本番当日アテンドで乗ってる」って仰ったのでそうなんだと思っていました。
あの日、目の前におられたんですね・・・・。

うーん、そうと知っていたら、カールツァイスレンズのズーム機能を極限まで使って「くらま」艦上を撮りまくったのになあ。
まあ、したとしてもたぶん誰が誰かなんて分からなかったでしょうけど。

「竿」も何だろうと思ってたんですよ。
結構長いですよね。アンテナだったのか。

陸自のヘリに折りたたみ式はないのですか。
海自のように「船に積む」という前提が無いと、最初から畳めるように作らないってことなんですね。

しかし、物の本によると伊潜の飛行機はいちいち分解して積み込み、出撃の時に浮上して敵に見つかる前に急いで組み立てたという話でした。
「ねじ一本無くしても命取り」と書いていましたが、秒速で組み立てる、そのスキルが凄いです。

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Unknown (さくら)
2012-10-22 21:55:36
艦内散策をされたのですか!
「ぶんご」は至る所にロープがあって通せんぼしていたような気が…

私はずっと甲板で潮風に吹かれっぱなしで
お手洗いに行く時に艦内をちらっと見たのみです。
…とても勿体ないことをしたのでしょうか(涙

「自衛官カフェ」はいいですね。
思わず想像してしまいました(笑
返信する
ええっ? (エリス中尉)
2012-10-22 22:53:09
甲板にしかいられなかったのだとしたらさくらさんが風邪を引いてしまったのも納得です。
さぞ寒かったでしょう・・・。
ひゅうがは結構いろんな場所をオープンにしてましたよ。
また書きますが、操縦室も見学できましたし。
帰りには隊員によるアトラクションも満載、音楽会あり寸劇あり。
階下には売店がありお弁当も売っていましたが、これはぶんごも同じじゃなかったのかしら。

「自衛官カフェ」
注文を受けた自衛官は必ずびしっと敬礼をしてくれ、
メニューには「海軍カレー」「海軍コーヒー」「自衛隊の缶詰ケーキ」、また日替わりで各自衛艦の自慢のレシピによる「本艦のメニュー」があり、BGMは海自音楽隊。
必ず1時間に一回「行進曲軍艦」が演奏されます。
お店のアトラクションは寸劇「CIWSくんとミサイルくん」などのコントを若い自衛官たちが身体を張ってやってくれ、さらにお勘定を済ませると総員が白手袋を付け、帽ふれをして送り出してくれます。

こんなカフェがあったら、絶対行きたい!
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