◎自分自身を演技する
人間そのもの自分そのものになること、自分そのものを演じきることが人生であり、そこで自分が主人公として生きることこそが、神仏に至る道である。
自分が主人公を演ずるという見方は、禅にもある。禅の公案集である無門関に主人公の話がある。
『瑞巌の彦和尚は、毎日自分に向かって、「おい主人公」と喚びかけ、自分で「はい、はい」と応えた。
「しっかり醒めていなさい」
「はい」
「どんな時も他人に騙されてはいけませんよ。」
「はい、はい。」と自問自答するのが常であった。』
無門関第十二則 巌喚主人。
無門禅師は、修行者は彼の真似をしてはいけないとする。認識する者と認識される者が別々のままだから。だが、そこで行き詰り切って先に行くこともある。