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アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

東方朔の物語

2025-06-29 03:44:54 | 人と神の「実際のところ」

◎西王母の友人にして天下御免のトリック・スター

 

『東方朔

東方朔は字を曼倩といい、平原類次じ)の人である。永らく家を出て帰らなかったので、その兄が彼の無情を責めて、「お前は永らく家を留守にして今帰ってきたが、何一つ自分を慰めるような土産物も持っていないとは、あまりにひどいではないか」と恨み言を言うと、東方朔はさもいぶかしそうに兄の顔を眺め、「自分はしばらく紫泥に行っていたのだが、そこの海中に紫の水があって自分の衣を汚したから、ちょっと虞淵へ立ち寄って洗濯してきたのだ」と答えた。彼は今日の朝出発して帰ってきたのだから、少しも家を長く留守にしたわけでも何でもないと答えていたが、しかし仙界の一日は即ち俗界の三年に当たると昔から言い伝えられている 。

彼が漢の武帝へ上奏した文は、実に自らを高く称賛して少しも忌憚するところがなく、いかに彼が自信に堅かったか分かる 。その文の大要は以下のようである。「私は幼少の時父母に別れ、兄に養われて漸く成長することができた 。年十二の時書を学び、三年で広く経史に通じ、十五の時剣術を習い、十六の時詩書を学んで、二十二万言を暗誦し、十九の時孫呉の兵法及び戦陣に用いる鉦鼓等の名を学んで、二十万言を悉く暗誦することができた 。

臣今年二十二歳、身長九尺三寸、口は珠を連ねたように美しく、歯は貝を編んだように綺麗で、勇気は昔の孟賁を凌ぎ、戦いに臨んで敵を破ること慶忌にも劣らない 。そして清廉は鮑叔に等しく、信義は尾生にも優れている 。このようにして自分は天子の臣となるだけの資格は充分備えていると思う」云々 。帝はこれを見て大いに喜び、早速彼を召し抱えて侍中という役に任じた 。

彼が天子の御前において陪食を仰せ付けられた時に、彼は食いついてから残った肉を全て懐中へしまい込んだので、その汁が流れて全て衣服を汚したことがある 。時々皇帝から彼に練帛(ねりぎぬ)が下されることがあったが、すると彼はその品を携えて家へ帰り、前回に贈られた古い練帛を長安の商家に売って、その金で容貌のよい少女を買い入れては家に連れ込んでいたが、それも一年経つと追い出して更に新しい者を連れ込み、天子から下された贈物は皆女のために費やしていたので、当時の人々は皆彼を嘲り罵っていた 。

しかし彼は自分は「いわば朝廷の間に世を避けている隠者のようなものである」と言って、世間で何と言っても平気で通していた 。彼は酒を飲んで気も大分高ぶる頃になると、常に声高らかに歌い、そして自分は今俗間に埋もれて朝廷の内に世を避けているが、この立派な宮殿は自分の一生を託するに全く不足がない、それならば何も苦しんで深山の奥や蓬蒿(雑草の生い茂った場所)の下に身を置く必要があろうかと言っていた 。

その後、彼がまさに瞑目しようとした時、同名の者たちに向かい、「天下の人々誰一人として自分を知っている者はいない、ただ自分を知っている者は大伍公一人だけだ」と言われたので、その後武帝は右の大伍公を召してこの事を問われると、彼はただ知らない旨を答えた 。しかし帝は彼が歳星の精であると聞かれたので、彼を天文台に連れて行き、天を仰いで今諸々の星がそれぞれ皆その位置にあって一つも欠けているものがないか如何かと問われると、彼は熱心に星座を眺めて、「諸々の星はそれぞれその地位に備わっていて一つとして欠けているものはない 。ただこの間、一つ不思議なのは、四十年ばかり以来見えていなかった太白星が、只今再び現れていることである」と答えた 。

帝はこの時、東方朔が前後十八年の長い間自分の側にいたにも関わらず、自分は今まで彼が歳星の精であることを知らなかったのは、何と愚かなことであろうと言われて、ひどく気落ちされたということだ 。』

さらに、
『東方朔は、武帝の近臣でありながら、西王母の蟠桃園から桃を3回も盗んで食べた』という逸話があります。

東方朔は、西王母の蟠桃園から桃を3回も盗むように、天下御免のトリックスターだが、女性の扱いは、冷淡である。

他方、自分は「いわば朝廷の間に世を避けている隠者のようなものである」と、社会的に大活躍するタイプの聖者でなく、居ながらにして霊で働くタイプの聖者であることがわかる。

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