◎奥の深い魔法
(2012-04-15)
記憶術は、古代ローマの昔から、単なる思い出以上の利用価値あるものと展望されていた。
事実我々は日常生活の中で、様々な家電、PC、自動車、携帯電話などで、ロム上のメモリーをフル活用して生活している。
ジョルダーノ・ブルーノは、まず頭の中に大きなリングを作り、その上に5つの同心円のリングを置く。この6つのリングには、様々な記憶の一つ一つを置く。これによって、リングを回転させれば置かれている記憶を取り出すことができる。そして6つのリングがそれぞれ回転すれば、バラバラだった記憶が結びついて新しい知識が得られると考えた。
もともとのこの着想は、スペインの錬金術師ライムンドゥス・ルルスに由来すると言われる。また、それから100年後のライプニッツは、これをヒントにいくつもの同心円盤から成る初期の計算機を作った。
更にブルーノは、『「奥の深い魔法は、結合点を発見したあとに正反対のものを引きはなす」。ふたつの正反対のものは「結合点」で一致し、そこを出ると正反対に分かれて「反対」となるというのだ。』
(メンデレーエフ 元素の謎を解く/ポール・ストラーザン/バベル・プレス社P125から引用)
この奥の深い魔法のことは、世界の始まりと終わりを見た者しか言えないことを言っている。ジョルダーノ・ブルーノは、世俗的には決して恵まれなかったが、相当のところまで行っていたように思う。