アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

エメラルド・タブレットの秘儀

2022-12-13 11:34:13 | 錬金術neo
◎ヘルメスのつぼ

12世紀頃西欧に現れたとされるエメラルド・タブレットについては、過去2種の訳文を引用したが、これは3種目。
錬金術書のごちゃごちゃのジャングルや荒海の如き内容を見ていくのにエメラルド・タブレットの「灯台」は欠かせない。

エメラルド・タブレットは心理学でもなく、哲学でもなく、物質変成の化学でもなく、クンダリーニ・ヨーギの見る現実そのものである。とりあえずヘルメス・トリスメギストスはこの世は夢だとは言わない。この世の展開と収斂の説明だからである。

『一、こは真実にして偽りなく、確実にしてきわめて神聖なり。

二、唯一者の奇跡の成就に当たりては、下なるものは上なるものの如く、上なるものは下なるものの如し。

三、万物が一者より来たり存するが如く、万物はこの唯一者より変容によりて生ぜしなり。

四、太陽はその父にして、月はその母、風はそを己が胎内に宿し、大地は乳母なり。

五、そは万象における完全なる父(テレスマ=原理)なり。

六、その力は大地の上に限りなし。

七、汝は、火と大地を、精と粗を、静かに巧みに分離すべし。

八、そは大地より天に昇り、たちまち降りて、優と劣の力を取り集む。かくて汝は全世界の栄光を己がものとして、闇はすべて汝より離れ去らん。

九、そは万物のうちの最強者なり。すべての精に勝ち、全物体に浸透するが故に。

一○、かく、世界は創造せられたり

一一、かくの如きが、示されし驚異の変容の源なり。

一二、かくて我は世界霊魂(アニマ・ムンディ=叡知)の三部分を備うるが故に、
ヘルメス・トリスメギストス(三倍も偉大なるヘルメスの意)と呼ばれたり。

一三、太陽の働きにかけて、我は述べしことに欠く所なし。』
(魔術師たちのルネサンス/澤井繁男/青土社P135から引用)

澤井繁男氏の説明では、四項はアリストテレスの四元素だとするが、そのとおりで、太陽が火、月が水、我は風で、地がある。また父は硫黄、母は水銀。

七項の「分離」は、七つの身体の精粗を意識したものだろうか。それを四元素の分離と言えばそういう説明もあるかなと思う。

澤井繁男氏は、八項は、賢者の石を産出する『ヘルメスのつぼ』の中の動きを描いているかの如しとの説明。八項は、今見れば、ダンテス・ダイジのいうところの中心太陽突入と帰還、そしてエネルギーシャワーによる肉体とチャクラの復活調整と見れないこともない。

そういうことなら、ヘルメスのつぼの説明を探してみよう。

八項、九項の「そは」のそは、賢者の石と見るが、上昇と下降ということならば、賢者の石とは、クンダリーニのエネルギー・コードだろう。

一一項。洋の東西を問わず、全世界の発生と変容と展開と収斂という世界の構造を見た者は、なぜかそれをひとくさり説明したがるものなのだろう。
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