◎棒のたたき加減
(2009-05-22)
徳山も会昌の破仏に遭遇して一時身をひそめていた。徳山は、もともと金剛経のスペシャリストとして自任していた。
ところが、餅売りの婆さんに問答をしかけられ、一言も返すことができなかったので、虎の子としていた金剛経の注釈書を焼き払うことになる。
徳山は弟子達に棒を振うことを得意技としていた。
ある日、欽山は徳山に禅問答をしかけた。
欽山「天皇和尚もこのように言い、龍潭和尚もこのように言っていますが、あなたはどのようにいいますか」
徳山「まず天皇和尚と龍潭和尚の言ったものを挙げてみなさい。」
欽山が更に話そうとすると、 徳山は、思い切り棒で欽山をなぐりつけた。
欽山は、そのまま病院に担ぎ込まれた。
後で欽山曰く、「それはそのとおりに相違ないが、打ち方があまりにもひどい」
こういう禅問答を変に知っているから、警策で頭や顔や耳を殴ることまでやる手合いが出てきたのだろう。
禅ではこういうのも老婆親切と言い習わすが、最近の人なら棒で打たれた途端にやる気をなくすだけだろう。デリカシーのかけらもない。でもそれはそれで、そんな性質もあることは間違いない。だから世間的には受けない。
受けないことを自覚した宣伝のやり方がなければ、本来の自己などという回りくどいのに関心を示す人も少ないだろう。