詠里庵ぶろぐ

詠里庵

「電話は出んわ」

2006-06-16 06:42:07 | 日々のこと(一般)
って知ってますか? いかにもレトロなギャグですが、私が電電公社に入ったかれこれン十年前、訓話などで耳にタコができるほど聞いた話です。
「少し前までは電話をかけてもなかなか繋がらなかったので『電話は出んわ』とバカにされていた。しかし先輩達の頑張りもあって、最近はそんなことはなくなって来た」
「電話を申し込んでもすぐに付かないという『積滞』も、解消は間近い。積滞解消を一刻も早く達成するのが我々の務めである」
ン十年前はそんな時代だったのです。

その後ほどなくして、電話は申し込んだらすぐ付くし、かけたらすぐ相手が出るようになり、「電話は出んわ」は昔話になりました。最も確実で便利な通信手段として電話が君臨する時代が少し続きました。

しかしです。最近は電話といえば「携帯にかけてください」という人がほとんどです。固定電話を持っていない人もざら。で、用があって携帯にかけても、まず出ません。「ただいま電話に出ることができません。ピーと鳴ったら・・・」とか「電源が入っていないか電波の届かないところに・・・」と流れます。留守録に電話するよう伝言しても、すぐ返事くれたためしがありません。念のためメールも出しておくことになります。実は今週も仕事でそんなんばっかりだったので、こんなブログを書いているわけです。ま、自分もこの二日間携帯を充電器に着けたまま忘れて出張に出てしまったのですが。

今や電話は「すぐ通じるわけはない」ものになっています。「電話は出んわ」の時代に逆戻りです。ただし技術的要因でなく社会的慣習として。

昔、テレビドラマで、夜中に何回もかかって来る電話に怯えて「もうイヤっ」と枕を投げつけたり布団をかぶせたりして、結局ワナワナと受話器を取ってしまうようなシーンがありましたが、私は「電話コード外しておけばいいのに」と思ったものです。しかし今やそれが当たり前。携帯は電源切っておいたりマナーモードにしておくのが「マナー」の時代。上記のシーンはドラマとして成り立たなくなってしまいました。最近のシーンは「携帯メールが来た。見ると、例の不吉なメールが・・・恐怖に目を見開く」といった感じでしょうか。

メールにも似たようなことが起こりつつあるかもしれません。スパムメールは開けずに即スパムボックスに捨てればいいのであまりイライラしませんが、仕事やまじめな用事のメールに限っても、その数のあまりの多さに、処理するスピードより溜まるスピードの方が速くなっています。間違ってマトモメールがスパムボックスに入ってしまい、あとで発見する場合もたまにあります。だんだんメールも「すぐ返事が来るわけはない」ものになって行くような(あるいはそのことに加担してしまっているような)気がします。大事な用事はメールと電話と場合によってはファクスの複合攻勢でないとちゃんと返事がもらえないようになってしまうのでしょうか?
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