詠里庵ぶろぐ

詠里庵

たまにはCD評

2006-04-22 08:43:07 | コンサート・CD案内
を一つ。1月の青柳いづみこリサイタルのロビーで買ったものです。彼女のCDは少なからず持っているので、普段自分が買わなそうな「やさしい訴え ~ラモー作品集~」というCDを買ってみました。バッハと同世代のフランスの作曲家といえばラモー、クープラン、ダカンですが、バッハの陰にかくれて目立ちません。バッハの器楽曲は「トッカータとフーガニ短調」「無伴奏バイオリンソナタ」など標題を持たない絶対音楽ばかりですが、フランスの作曲家達は下の曲目を見てもわかるように標題音楽が多く、それもサティーばりの奇想天外な標題をつけています。私もいくつかの曲を知っていますが、どれがラモーでどれがクープランかなといった程度の浅い入れ込みでした。いくらドビュッシーの「ラモー讃」やラベルの「クープランの墓」があっても、やはり大バッハの存在が大きすぎますからね。

今回もたまには普段聴かない軽いものでも聴いてみようかというノリでカーステレオで聴いてみたのですが、これがけっこういけるのです。それも繰り返し聴いていると段々味が出て来ます。軽い音楽というわけではありませんね。集中して聴くとよく考えられた鋭い演奏でありながら、あっさりBGM的に聴いても引っかかりが何もない、自然な演奏です。クラブサンで聴くことも多い曲ですが、このCDでは1887年スタインウェイが使われています。古さは全く感じなく、美しい音です。思いがけなく愛聴盤になってしまいました。

作曲する立場から曲についても書きたいことがいろいろありますが、ここではひとことだけ。「異名同音」は非常に進歩的な、面白い曲です。

曲目:
「クラヴサン曲集」(1724)より 鳥のさえずり ロンドー形式のミュゼット タンブーラン 田舎風 やさしい訴え 喜び 気粉れ ミューズたちの対話 ひとつ目巨人たち

「新クラヴサン曲集」(ca1728)より ガヴォット ガヴォットのドゥーブル メヌエット めんどり 異名同音 エジプト女たち

「コンセールによるクラヴサン組曲」より5曲(1741) リヴリ 挑発的 内気 無遠慮

「王太子妃」(1747)

発売元:コジマ録音
レーベル:ALM RECORDS
価格:税込価格¥2,940
CD番号:ALCD-7098
録音:2005年6月7日~9日
使用楽器:1887年製スタンウェイ
コメント
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