今年の冬合宿は鹿島槍ヶ岳に行ってきました。期間は12月26~30日。結果からいうと赤岩尾根上部の危険箇所で撤退することになりました。
連日の胸の高さのラッセル、ザイルを使った懸垂下降と登高等‥…。私は3年ですが、今までで一番つらい合宿となりました。しかし、ラッセルやザイルを出しての冬山は近年の山岳部では初のことだったので良い経験になったのではないでしょうか。冬合宿報告書で詳しいことは報告しますが、ブログでも簡易的に報告しておきます。
26日
15:10 大谷原
18:00 西俣出合
18:30 ダム横の幕営地
25日博多を発ち、夜行バスと鈍行とタクシーを乗り継ぎ、大谷原へ向かう。大谷原からは林道を歩いていく。スキーバイクが通った後があり、それについていくことに。しかし、登山客の踏み跡はない。早速ワカンを履き、道を作っていく。西俣出合までは1時間のはずが、トレース無しだったため3時間以上かかってしまった。これは赤岩尾根も怪しいぞと思いつつ、テントに入る。テントは6人用のステラリッジ。合宿メンバーは6人だったため、テント内はすごく狭かったが、暖かかった。
27日
6:15 出発
8:00 幕営地
8:30 尾根への取り付き捜索
13:40 ダム横の幕営地
赤岩尾根末端から取り付かず、地形図通りに夏道の遊歩道のルートを行くことにする。しかし、どこから尾根に向かってトラバースすれば良いかわからない。幕営地付近をうろつき、やっとのことで赤岩尾根への方向を示す、西俣出合の標識を発見。そこから尾根に向かって、トラバース。しかし、トラバースしようにも雪が深くなり、ラッセルすることすらできない。とりあえず、谷を上がっていき、尾根への取り付きを探すことに。しかし、トレースが一切なく、雪が深くなかなか進まない。6人で交替しながらラッセルしていく。初めてトレースがない雪面をラッセルしたので、かなりきつい。途中、尾根へ上がれそうなポイントを発見するも、そこは岩壁。ザイルをだし、挑戦するもミックスを登る実力はない。引き返すことを決め、幕営地に戻り、テントを再度設営する。
その後、14時から私、中山の両名で赤岩尾根への取り付きを捜索することに。西俣出合の標識と夏道に惑わされずに、純粋に赤岩尾根の末端を探してみることに。川を下っていき、赤岩尾根の末端付近へ行くと、吹雪く景色の向こう側になびく赤テープを発見。ここだ!と確信し。トレースを作ることもかね、赤岩尾根の急斜面をラッセルしていく。赤岩尾根はトレースはないが、赤テープがたくさん付けてあり、道は分かりやすい。暗くなってきたので、途中で引き返し、取り付きに赤旗をさしておいた。取り付き地点には渡渉箇所があるが、雪が定着しており、安全だった。今回は赤旗と赤布が大活躍だった。
28日
6:25 出発
6:50 西俣出合
16:10 高千穂平下の平地で幕営
早速、赤岩尾根の末端から登っていく。しかし、昨日付けたトレースも雪ですっかり消えており、再度胸上のラッセル。急斜面+かなりの雪の深さでラッセルが半端なくきつい。雪を漕いでも漕いでも、下の川が遠くならない。これは上へ進んでるんだろうかと思いつつ、進む。途中荷物を背負っているままでは埒が明かないということで、先頭のものは荷物をデポし、ラッセルし、5分交替で進んでいく。休憩もとらず、いつか高千穂平へ着くと信じてラッセルする。しかし、着かない。山行記録によると4時間くらいで着くらしいが着かない。ラッセルがつらい。16時を過ぎた頃、辺りも暗くなってきたので、平らな所で幕営。その晩、1日で高千穂平に着くことができなかったため、高千穂平からアタックしても絶対間に合わないだろうという結論に至り、アタックは高千穂平からではなく稜線上の冷地山荘からにすることに決定した。なので、明日は冷池山荘まで荷揚げすることに。
急斜面をラッセル
29日
7:00 出発
10:50 高千穂平
16:50 撤退決定
17:40 少し下った所の尾根に幕営
朝っぱらからラッセル
今日も、地獄のラッセルが始まる。この日は天気はよいが風がかなり強い。標高が上がってきた証拠だろうか。深い雪の急斜面をラッセルし、高千穂平に到着。結局、高千穂平まで13時間くらいかかった。ラッセルのあるなしで行動時間がこうも変わることを思い知った。高千穂平を過ぎると森林限界に近づき、そのせいか風も強くなる。気温も低く寒い。途中、岩が突き出した危険箇所があり、ザイルを出すことに。私がトップで行き、みんなを引っ張り上げた。ここはそこまで危なくなく、ザイルはいらなかっただろう。
爺が岳?
しばらくすると我々が目指す、縦走路が見え始めた。もうすぐ、尾根から稜線に上がれると、少し希望がわいてきた。しかし、昼過ぎから天気が悪くなってきた。雲行きが悪くなってくる。しばらくすると山行記録でみた危険箇所にぶちあたった。とりあえず、中山と私がトップでやせ尾根を進むことに。しかし、かなり悪い。やせ尾根の両サイドはすぱっと切れ落ち、足下が崩れれば、20~30メートルは滑落しそうだ。しかも、吹雪で全容がわからない。尾根の頂点はムリと判断し、切れ落ちたサイドをトラバースする。突然、私の目の前の雪の表層が崩れてなくなった。連日雪が降っていたため、雪崩れやすくなっているようだ。今から足を置こうとしていたところが崩れたのを見てびびり、撤退を決定。帰ろうとするも中山が沈んでしまい、スリングをつかませ引っ張り上げる。そんなこんなありながらやっとのことで帰還。
しかし、時間は遅く、辺りは暗い。ヘッドラをつけ、吹雪の中テント地を探し下る。登りはなんとか登れたが、下りはザイル無しではきつい箇所もあり、50mを二本つなぎ懸垂下降する。少し下った狭い尾根で無理矢理テントをはる。風が強く、凍える夜となった。
30日
8:30 出発
10:00 高千穂平
12:30 西俣出合
13:55 大谷原
下山を始める。シリセードでドンドン滑っていく。一カ所危険箇所でザイルをだし、懸垂下降。みんな結構慣れてきたようだ。作業が早い。
西俣出合に着くと、今合宿で初めて人と出会った。彼らも大谷原から西俣出合までのラッセルで苦しみ、4時間かかったようだった。せっかく、我々が下りで赤岩尾根にはトレースを付けたので、行けば良いじゃないですかと進めるも、我々の話を聞いて彼らも撤退することにしていた。大谷原までは彼らのトレースが着いていたので比較的楽に下山できた。
懸垂下降
連日の胸の高さのラッセル、ザイルを使った懸垂下降と登高等‥…。私は3年ですが、今までで一番つらい合宿となりました。しかし、ラッセルやザイルを出しての冬山は近年の山岳部では初のことだったので良い経験になったのではないでしょうか。冬合宿報告書で詳しいことは報告しますが、ブログでも簡易的に報告しておきます。
26日
15:10 大谷原
18:00 西俣出合
18:30 ダム横の幕営地
25日博多を発ち、夜行バスと鈍行とタクシーを乗り継ぎ、大谷原へ向かう。大谷原からは林道を歩いていく。スキーバイクが通った後があり、それについていくことに。しかし、登山客の踏み跡はない。早速ワカンを履き、道を作っていく。西俣出合までは1時間のはずが、トレース無しだったため3時間以上かかってしまった。これは赤岩尾根も怪しいぞと思いつつ、テントに入る。テントは6人用のステラリッジ。合宿メンバーは6人だったため、テント内はすごく狭かったが、暖かかった。
27日
6:15 出発
8:00 幕営地
8:30 尾根への取り付き捜索
13:40 ダム横の幕営地
赤岩尾根末端から取り付かず、地形図通りに夏道の遊歩道のルートを行くことにする。しかし、どこから尾根に向かってトラバースすれば良いかわからない。幕営地付近をうろつき、やっとのことで赤岩尾根への方向を示す、西俣出合の標識を発見。そこから尾根に向かって、トラバース。しかし、トラバースしようにも雪が深くなり、ラッセルすることすらできない。とりあえず、谷を上がっていき、尾根への取り付きを探すことに。しかし、トレースが一切なく、雪が深くなかなか進まない。6人で交替しながらラッセルしていく。初めてトレースがない雪面をラッセルしたので、かなりきつい。途中、尾根へ上がれそうなポイントを発見するも、そこは岩壁。ザイルをだし、挑戦するもミックスを登る実力はない。引き返すことを決め、幕営地に戻り、テントを再度設営する。
その後、14時から私、中山の両名で赤岩尾根への取り付きを捜索することに。西俣出合の標識と夏道に惑わされずに、純粋に赤岩尾根の末端を探してみることに。川を下っていき、赤岩尾根の末端付近へ行くと、吹雪く景色の向こう側になびく赤テープを発見。ここだ!と確信し。トレースを作ることもかね、赤岩尾根の急斜面をラッセルしていく。赤岩尾根はトレースはないが、赤テープがたくさん付けてあり、道は分かりやすい。暗くなってきたので、途中で引き返し、取り付きに赤旗をさしておいた。取り付き地点には渡渉箇所があるが、雪が定着しており、安全だった。今回は赤旗と赤布が大活躍だった。
28日
6:25 出発
6:50 西俣出合
16:10 高千穂平下の平地で幕営
早速、赤岩尾根の末端から登っていく。しかし、昨日付けたトレースも雪ですっかり消えており、再度胸上のラッセル。急斜面+かなりの雪の深さでラッセルが半端なくきつい。雪を漕いでも漕いでも、下の川が遠くならない。これは上へ進んでるんだろうかと思いつつ、進む。途中荷物を背負っているままでは埒が明かないということで、先頭のものは荷物をデポし、ラッセルし、5分交替で進んでいく。休憩もとらず、いつか高千穂平へ着くと信じてラッセルする。しかし、着かない。山行記録によると4時間くらいで着くらしいが着かない。ラッセルがつらい。16時を過ぎた頃、辺りも暗くなってきたので、平らな所で幕営。その晩、1日で高千穂平に着くことができなかったため、高千穂平からアタックしても絶対間に合わないだろうという結論に至り、アタックは高千穂平からではなく稜線上の冷地山荘からにすることに決定した。なので、明日は冷池山荘まで荷揚げすることに。
急斜面をラッセル
29日
7:00 出発
10:50 高千穂平
16:50 撤退決定
17:40 少し下った所の尾根に幕営
朝っぱらからラッセル
今日も、地獄のラッセルが始まる。この日は天気はよいが風がかなり強い。標高が上がってきた証拠だろうか。深い雪の急斜面をラッセルし、高千穂平に到着。結局、高千穂平まで13時間くらいかかった。ラッセルのあるなしで行動時間がこうも変わることを思い知った。高千穂平を過ぎると森林限界に近づき、そのせいか風も強くなる。気温も低く寒い。途中、岩が突き出した危険箇所があり、ザイルを出すことに。私がトップで行き、みんなを引っ張り上げた。ここはそこまで危なくなく、ザイルはいらなかっただろう。
爺が岳?
しばらくすると我々が目指す、縦走路が見え始めた。もうすぐ、尾根から稜線に上がれると、少し希望がわいてきた。しかし、昼過ぎから天気が悪くなってきた。雲行きが悪くなってくる。しばらくすると山行記録でみた危険箇所にぶちあたった。とりあえず、中山と私がトップでやせ尾根を進むことに。しかし、かなり悪い。やせ尾根の両サイドはすぱっと切れ落ち、足下が崩れれば、20~30メートルは滑落しそうだ。しかも、吹雪で全容がわからない。尾根の頂点はムリと判断し、切れ落ちたサイドをトラバースする。突然、私の目の前の雪の表層が崩れてなくなった。連日雪が降っていたため、雪崩れやすくなっているようだ。今から足を置こうとしていたところが崩れたのを見てびびり、撤退を決定。帰ろうとするも中山が沈んでしまい、スリングをつかませ引っ張り上げる。そんなこんなありながらやっとのことで帰還。
しかし、時間は遅く、辺りは暗い。ヘッドラをつけ、吹雪の中テント地を探し下る。登りはなんとか登れたが、下りはザイル無しではきつい箇所もあり、50mを二本つなぎ懸垂下降する。少し下った狭い尾根で無理矢理テントをはる。風が強く、凍える夜となった。
30日
8:30 出発
10:00 高千穂平
12:30 西俣出合
13:55 大谷原
下山を始める。シリセードでドンドン滑っていく。一カ所危険箇所でザイルをだし、懸垂下降。みんな結構慣れてきたようだ。作業が早い。
西俣出合に着くと、今合宿で初めて人と出会った。彼らも大谷原から西俣出合までのラッセルで苦しみ、4時間かかったようだった。せっかく、我々が下りで赤岩尾根にはトレースを付けたので、行けば良いじゃないですかと進めるも、我々の話を聞いて彼らも撤退することにしていた。大谷原までは彼らのトレースが着いていたので比較的楽に下山できた。
懸垂下降
更新者:青木