全然

2010年04月29日 | 健康・病気
「なるほどニホンGO!」(NHK総合 09:45 ~ 10:00)を観た。
今日は夜勤なので12時までに出勤すればいい。
これは再放送のようです。
本放送は木曜日の10時からやっている。

「全然」という言葉を取り上げていた。
「全然+否定」というのが、この「全然」の“正しい”使い方で、
これまでは「全然出来ません」「全然駄目です」というふうに使われていた。
ところが最近では、「全然+肯定」で使われていることが多い。
「全然OKです」「全然好きです」「全然いいですよ」などです。
というところから番組は滑り出した。

中高年の女性と男性に「全然」という言葉の使い方について訊いた。
誰も「全然+否定」で使わなければおかしい、といっていた。
ところが、収録を終えてADが、
「喉渇きませんか?何か飲み物持ってきましょうか」と訊くと、
「全然平気です」という応えが返ってくる。
さっきまで番組のための収録をしている中では、
「全然」のあとは「否定」でなければおかしい、
と力説していた人たちが、プライベートでは「全然+肯定」だった。
みんなにこのことを指摘したら恥ていた。

大学のある教授が言っていた。
「全然」と、そのあとの「肯定」の間には、
言葉にしない「否定」があるんだと。
「全然、、(そんなことないですよ)大丈夫ですよ」という感じらしい。

私も「全然+肯定」というこの使い方には違和感があった。
「全然+否定」でなければおかしい、
最近の若い人たちはダメだな、といきどおっていた。

ところがです。
大学の日本語を研究しているある大学の教授が言っていた。
明治時代、夏目漱石も芥川龍之介も「全然+肯定」を小説の中で使っていた、と。
こうなると私の言葉に対する価値観が、足もとから揺らぎます。
私は、かなり強い気持ちで、
「全然OKです」「全然好きです」「全然いいですよ」
という言い方を軽蔑していた。
なんと知性のない使い方なんだ、と。
それが、明治の文豪も同じような使い方をしていたとなると、
たかだか57年間日本語を使ってきた私ですが、
私の言葉に対する知識に自信が持てなくなってしまった。

「おれはこれから、日本語に対して何も言えない」
そういう気持ちになった。
いったい言葉とは、なんなんだ。
コメント (5)
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