習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』

2014-02-07 23:46:12 | その他
 なんと750ページにも及ぶ大作だ。2冊に分冊してしかるべき分量なのに、わざとこのボリュームのまま1冊にして刊行した。重い。腕がもげるほどに。これは本を読む読者への試練である。重くて持ち運びが難しい本を作ることこそ今回の万城目の策略なのだ。まんまとその策に乗せられてしまったわい。  伊賀の忍者の話だ。でも、山田風太郎ではない。荒唐無稽な忍術合戦なんか描かれないし、ドキドキもない。今回の万城目は今 . . . 本文を読む
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『東京難民』

2014-02-07 23:44:43 | 映画
佐々部清監督がこういう社会派作品に挑むなんて珍しい。しかも、最初はかなりの際物映画のようにも見えた。ハードな内容か、それとも風俗映画か、ドキドキさせられる。 最初チラシを見たとき、なんか暗そうな映画だな、と思った。あまり見る気がしなかった。でも、監督が佐々部清だと知って俄然見たくなった。まず、彼の作品なら絶対につまらない映画ではないことは保証できる。それだけではない。彼がこういう素材に挑む以 . . . 本文を読む
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加藤千恵『卒業するわたしたち』

2014-02-07 23:42:38 | その他
 この歌人の作者が書く短編集は、短歌のような味わいがある。余白がたくさんあるように見えて、俳句のようにはそれが多くはない。どちらかというと、ちゃんと言いたいことが20ページにも満たないほどのコンパクトな分量の中に収まりきれている。上手い。  13篇から成る短編連作だ。お題はいずれも「卒業」。もちろん、学校からの卒業が中心になるけど、13とも一応すべて微妙にシチュエーションは異なるようには設定され . . . 本文を読む
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