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映画・演劇のレビュー

優しい劇団『北極星のがなりマイク』

2025-08-10 20:12:00 | 演劇
尾崎優人の一人芝居。作、演出、主演を一人でこなして、照明、音響も演じながら自分で操作する。装置はパイプ椅子だけ。総勢54人に及ぶキャストをひとりで演じる。当日パンフでキャスト表を数えて見ると35人だったけど、劇中劇の『水戸黄門』(!)の役を加えると54人になるらしい。

この日彼は乗り打ちで名古屋から長距離バスでやって来た。2時間も延着して小屋入りは4時半。公演は5時半開場6時開演。綱渡りだ。しかも、開場時から尾崎さんは舞台にいて、お客に話しかけてくれる。30分、開演までしゃべり続けるから本編の90分と足したら2時間ずっとしゃべり続けることに。

芝居はテンション高いし、さまざまなキャラクターを演じるから大変。たったひとりで三幕劇を走り抜ける。途中2度、簡単な休憩(しかもたった2分!)を挟んで90分。勢いで見せ切る。

お話は今から遥か遠い未来。地球はもうなくなった世界が舞台になる。人工惑星、スペース第七ナゴヤ。ある劇団(演劇集団妄想特急)が2年のブランクを経て再結成、3年振りに芝居を再開するまでの顛末が描かれる。

さらにはここから遠い星、月で公演を行うことになった小劇団である彼らは、2ヶ月間現地に滞在して芝居を作る。たまたまテントを見つけテント公演になり、ロングラン、なんて冗談みたいなお話。

この手のバックステージものはマニアックに陥りがちだが、決してただの小劇場界楽屋落ちにはならない。一応簡単なSF仕立てにはなっている。だけど、設定程度であまり気にならない。そんなことより怒濤の54役。25歳の彼が目指す演劇は他に類はない。シンプルなひとり芝居だけど、この熱気と異常なハイテンションは並じゃない。とても楽しかった。

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