人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

月面の柔着陸は大変難しい・・・一発勝負って失敗のリスク

2015-12-28 09:11:00 | 分類なし
 

goblin さんのコメントに返信しようとしましたが、長くなったので記事にします。


■ 技術的には100%不可能では無いが、失敗のリスクが大きすぎる ■


問題のキューブリックのインタビュー記事ですが、早くも「FOAX=やらせ映像」だとの指摘が各所から出ている様です。真偽の程は分かりません。陰謀脳の私などは、偽映像をわざと流出させて疑惑を打ち消したのでは・・・なんて勘ぐってしまいますが・・・。



アポロの月面軟着陸が当時可能であったか、以前私なりに検証してみました。陰謀論的遊びの一つですが・・・。

http://green.ap.teacup.com/pekepon/1133.html

キーポイントは電卓すら実用化されていない技術レベルの時代に、ロケット噴射の非線形の挙動をどう制御して月面に柔着陸出来たかという一点突破で良いかと。火星は大気が有るのでパラシュートで降下・減速出来ますが、大気の無い月面ではそれが出来ません。

1)着陸船は進行方向に噴射口を向けて噴射で減速して対地速度を徐々に落とす
2)減速しながら徐々に噴射口を下向きにして行く
3)対地速度が十分に落ちたら、ロケット噴射口を地面に垂直にして落下速度を落とす
4)最後は月面4m位いからドスンと落下させ、衝撃は脚部のダンパーで吸収させる

こんな手順をほぼオートマクックで行う予定でした。

5) エンジンの噴射口は一つなので、噴射口の角度を調整して姿勢制御
   (小型の姿勢制御スラスターも確か付いていたと思います)
6) 当時既にジャイロ技術か確立しており、姿勢制御は自動でコントロール出来た

7) 11号の着陸時、姿勢制御にトラブルが発生し、手動で姿勢制御をした!!

8)月の表面はレゴリスと呼ばれる微細な砂に覆われていますが、逆噴射はそれを巻き上げ
  視界を奪います。
9)実際の11号の乗組員はインタビューで砂煙で視界が奪われて何も見えなかったと語っ
  ています。
10)無視界ですから、着陸の最終段階はドップラーレーダーや対地レーダーなど計測機器
  に頼って行われたと思われます。


こう書くと、「可能」と思われるアポロ11号の月面軟着陸ですが、一つ一つのプロセスが非常に難しい技術の集積で、さらに姿勢制御装置の不調も重なっていました。当時これを、世界が生中継で見守る中で、ぶっつけ本本で行ったとすれば、ニクソン政権が負ったリスクは限りなく大きなものだたことになります。

万が一、失敗して乗組員が死んだりする様な事になれば、アメリカの威信は地に落ちたかも知れないのです。


■ 米ソの宇宙開発で発展したもの ■

アポロ計画の発端は、宇宙開発でしのぎを削っていた当時のケネディー大統領が、「1960年代中に人間を月に到達させる」と発言した事です。

ソ連が先に月に到達するなど、宇宙開発でソ連の後塵を仰いでいたアメリカは、焦ります。約束の60年代の終わりが近づいて来たからです。ニクソン大統領は莫大な予算を確保して、NASAに月到達を厳命します。

こうして1969年7月20日に人類は月に降り立たのです。


ところで、アポロ11号の月面着率が真実であったとしても、或いは真実で無かったとしても、アポロ計画はアメリカに大きな技術的貢献をします。それはICBMの技術の向上です。

ICBM(大陸間弾道弾)の元祖をドイツ軍のV2ロケットで、ドイツから正確にロンドンに着弾させる技術を確立していましいた。この技術者をごっそり連れ去ったのがソ連です。初期の宇宙開発においてソ連が有利に立っていたのはV2ロケットの技術者の貢献が限りなく大きい。

その後米ソは宇宙開発で凌ぎを削る一方で、ICBMの技術競争、配備競争も加速させます。この時役だったのがロケット開発で培った技術です。

冷戦の当時と言えども、アメリカ国民はICBMの開発配備にあまり巨額な資金がつぎ込まれる事には抵抗を感じたでしょう。そこで、「人類を月に送り込む」という「夢」を人々に見させる事で、ICBMの開発に掛る莫大なコストを「宇宙開発」にすり替えます。

日本の小惑星探査衛星「はやぶさ」の大気圏突入に際しては、着陸地点のオーストラリアに各国の情報機関が集まったとされていますが、彼らの興味は、はやぶさが燃え尽きずに地上の落下出来るかを確認する事でした。この技術は核弾頭の大気圏再突入に欠かせない技術だからです。

この様に科学の夢の結晶の様に語られる宇宙開発の裏には、弾道弾やスパイ衛星など軍事的なドロドロした世界が隠れているのです。


■ NASAが紛失したアポロ11号の月面着陸の映像が発見された ■


NASAはウッカリさんなので、アポロ11号の月面着陸のマスターテープに他の映像を上書きしてしまったと発表していました。

しかし、その貴重なマスターテープの一部が発見され、現在のデジタル技術でリマスターされ公開された様です。



この他に着陸直前の映像の切れ端なども公開されています。


当時、4歳だった私にもアポロ月面着陸のマナ放送の記憶が薄らと残っています。申し越し上の世代の方々は、興奮してTV映像を凝視されていた事でしょう。


「アポロ11号の月面着陸ってウソだったんだって」と今の若い人達は簡単に言いますが、リアルを体験した方々にとっては「冗談じゃないよ」と思われている事でしょう。


はたして、アポロ11号は月面に到達していたのか・・・中国当りが無人でも良いので月面着陸にチャレンジすると面白いのですが・・・。尤も、こちらも失敗してもCG映像で誤魔化しそうではありますが・・・。


<追記>

以前こんな記事も書いていました。
こちらの方が専門的で面白いかも知れません。

火星探査技術がスゴスギ・・CURIOSITYの着陸は神技

ところで、ちょっと調べてみたらアポロ11号の制御の情報が色々とありました。

1)航行制御装置は初期的なコンピューターによって行われていた。

2)集積率は高くは無いがICが使われていた様だ

3)演算能力に限界が有るので、NASAで計算した数値を飛行士がパラメーター入力していた

4)ジャイロは誤差が集積するので、天体観測で乗組員が誤差を修正していた

5)プログラムが公開されている

6)月着陸船の姿勢制御は対地レーダーの情報を元に基本は自動制御だった

7)16個の姿勢制御スラスターとメインロケット1基をコンピューターが制御した

8)着陸船は第一段階で噴射ノズルを進行方向に向けて減速する

9)第二段階は7000フィートまで降下後40度から60度の角度で減速しながら降下を
  始める(IP63) (この間は船内から月は見えない)

10)地上15Kmから着陸態勢に入り垂直に姿勢制御される

11)着陸時は制御系が切り替わり、マニュアルで着陸ポイントを変更が可能
  (ジョイスティック)

12)マニュアル制御中の姿勢制御スラスターやメインロケットの制御はコンピューターが行う

13)マニュアル操作の理由は着陸地点の岩などの障害物を避ける為


ここまで12分間で行われます。


ここまで書いて来ると、当時の技術でも着陸は可能だった様に思われます。ところで、「コンピューター」の性能は・・・

CPUのNORゲート  5600個
クロック     1.024MHz
ROM        72KB
RAM        4KB

これで様々なインターフェースの入力と、16個の姿勢制御スラスターとメインロケトの水力を1/100(秒)のタイミングせ制御していたとされます。余程、効率的なプログラムを書かないと処理しきれなかったでしょう。


実際にアポロ11号に着陸フェーズでシステム異常が発生しアラート音が鳴り響きます。これはコンピュターに「対地レーダとコンピュータの計算高度の差を表示させる1668というコード」を入力した時に発生しました。コンピュータの処理の「限界と解釈された様で、すが、実際には対地レーダの制御周波数800Hzと制御用信号の800Hzがシンクロしていなかった為に起きた制御系のエラーだった事が後に判明します。プログラムは優先順位が決まっていた為、優先度の低いコード1668はキャンセルされて事無きを得た様です。

・・・・このコードの処理だけにリソースの10%を食われた様です。レーダの高度数値を読み出して、コンピューターが計算した高度数値との差を表示する・・・昔のシャープのポケコンみたいなプログラムです。

こんな処理能力のコンピューターが対地レーダーの情報を元に16個の姿勢制御スラスターとメインロケットのスロットルをリアルタイムでコントロールしていた・・・・尤も1668で対地レーダーの情報が読み出せなくてエラーが出るシステムで、どうして対地レーダーのデータを元にコントロールしていたのか全く分かりません。「マニュアル制御に切り替えた」という話が流布していますが、このマニュアル制御は、操作はマニュアルですが、それをスラスターやメインロケットの制御に置き換える事はコンピューターが担当していました。

・・・・ここまで書いて来て・・・・やはりモヤモは消えません・・・・。出来過ぎなんです・・・当時としては。1969年ですから・・・。そしてコンピュータの処理能力は極めて貧弱です。


アクシデントを乗り越えて月面着陸を達成していたならば、アポロ11号が奇跡を起こしたもかも知れません。尤も、その後のアポロ計画は、コンピュータの進化によって11号に比べれば難易度は下がっていたのかも知れませんが・・・。


ところで、真空中でロケットを噴射すると、船体に回転が発生します。ロケット噴射は制御が難しく、「共振」を起こしたり不均一な燃焼を発生したと思われます。この極めて不安定な噴射によって着陸船は絶えず3軸方向に回転が生じますが、これを16個のスラスター制御でリアルタイムで補正していたとしたら・・・当時の技術は侮れません。

指の上に立てた鉛筆を垂直に保つ事が出来る技術が存在したという事です。16個のスラスターと非線形な挙動を発生するメインロケットをリアルタイムで制御するという事は、そういう技術なのです。現代は「ムラタコウサク君」が得意とする所ですが・・・。