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アベノミクスを肯定的に眺めて見る・・・「今」に支えられた政権

2015-12-09 11:10:00 | 時事/金融危機
 
■ アベノミクスは確かに景気回復に貢献した ■

いつも安部政権に批判的な私も、実はアベノミクスの恩恵にあずかっているの身です。民主党政権末期よりも仕事の環境はだいぶん改善しました。ただ、これがいつまでも続くとも考えていません。(既にピークアウトしてうるでしょう)

アベノミクスのスタートの2012年は世界経済の回復期に有り、ユーロ危機が一段落し、米経済の拡大軌道に乗り始めたので円安になり易い状況でした。そこに異次元緩和をぶつけたのは「グット・タイミング」でした。円安のさらなる進行で輸出企業の業績が大きく改善しました。

量的緩和によって資産市場に大量の資金を注入したことも、株価の回復や、マンション建設ブームを生みだし景気回復を後押ししています。

■ 異次元緩和は将来的な日本国債の金利上昇に対する備え? ■

一方で、日銀の日本国債買大量買い入れ(異次元緩和)の結果、GPIFや共済などの年金資金や、ゆうちょ、かんぽの資金運用が日本国債一辺倒から、インフレに強い国内株や、円安に強い外債や外国株に半ば強制的にシフトさせています。これは、将来的に日本国債の金利上昇(価格低下)が発生するであろう事を予想させます。

■ 地方銀行や信用金庫の危機から地方金融の改編が加速するだろう ■


国債金利の上昇は地方銀行や信金など中長国債の保有率の高い金融機関の経営を破綻させます。

実は1980年代のアメリカの不動産バブルの崩壊の際に、アメリカでは中小の金融機関の多くた倒産しています。これらを吸収する形で最終的にはバックオブ・アメリカが急拡大しました。

多分、日本でも国債金利の上昇局面で似た様な事が起こると思われます。中小の金融機関が統廃合されて集約される事により、地方の中小企業を支える細かな金融サービスが衰退します。一方で統合が進んで巨大化した銀行は、資金を海外運用する事で金利を稼ごうとするでしょう。結果として補助金や公共事業で地方にばら撒かれたお金は、地方経済で循環出来ずに、海外に流出してしまうでしょう。

■ 「今」はある程度評価出来るが、「将来的」には評価を失うアベノミクス ■


「今」だけを見ればアベノミクスはそこそこの結果を生んでいますが、「劇薬」の服用による将来的な副作用は覚悟する必要があるかと。

12月にはFRBが利上を発表すると予想されていますが、これで2007年以降の世界的量的緩和に変化が生まれます。「利上げショック」が起こらなければ、世界の表面はあまり変化しませんが、資金循環の根底の変化は、1年後、2年後に大きな危機となって顕在化する事が多い。

官僚達は何となくそれを想定して色々な政策を政府に実行させている様にも思えます。