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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

少し早い来年の予測・・・米景気の回復の度合い次第

2015-12-08 06:17:00 | 時事/金融危機
 
■ FRBの利上げによって何が変わるのか? ■
 
現在世界の注目は12月に行われるであろうFRBの利上げに集中しています。利上げ幅は0.25%程度と小さなものなので、これをして世界経済が急減速するものでは有りませんが、低金利に慣れてしまった市場の温度感が変化する事は確実です。

先のECBの追加緩和の内容がショボかった事に失望して先週末には株価が下がりましたが、現在の金融市場は量的緩和にのみ依存する異常な状況となっています。

FRBの利上げにいよる資金の逆転は必ず起こりますが、ECBと日銀がそれを補完する事で来年以降の世界経済は維持されます。


■ ECBや日銀の追加緩和にも限度が有る ■


尤も、日銀の異次元緩和も既に新発国債の9割に相当する額を買い込む状況で、これ以上の国債購入は日本国債の流通量からも難しくなっています。黒田総裁が追加緩和に踏み切れない原因はここに有ります。

ECBには根本的に「財政規律を守る」という足かせがあるので、日銀程大胆な緩和には踏み切れません。

ECBや日銀の資金供給が市場の「希望的観測」を下回った場合、量的緩和バブルに浮かれる市場も徐々に冷静になり始めます。

ジャンク債市場を始め、国債市場までもがリスクに見合わない金利になっている事に気付いた時、金融市場で大きな資金の逆転が発生します。

■ 荒い値動きになるであろう米株 ■

本来はFRBの利上げ時には米実態経済の各指標がもっと回復しているハズでしたが、米経済も2010年頃からの回復循環がピークアウトしている様で各指標が弱い。

アメリカとしては利上げによる米国への資金還流を利用して一気に景気回復という勝利の方程式を想定していると思われますが、新興国経済が減速している中で、アメリカに還流した資金の行き場が有りません。

多分狭い米国市場内で過剰流動性が暴れ回る事になり、ダウを始めとしてかなり荒い値動きが発生し、世界の市場もそれに巻き込まれるでしょう。

■ アメリカの動向に翻弄される日本 ■

2016年の日本は、新興国経済の不振と、米国発の市場の不安定の拡大という外部要因に翻弄されるかと思います。

ここで米景気の先行きに不安が持たれると、一気に円高に振れて日本の輸出企業の業績を悪化させます。

「税収が予想以上の伸び」と報じられていますが、GDPが二期連続でマイナス(7-9月期はゼロと強引に上方修正されそうですが・・・)と、日本の実体経済もピークアウト気味です。輸出企業の業績次第ではリセッションが確実となるでしょう。


■ 良くも悪くも、利上げ後のアメリカに依存する世界 ■

市場は気分に支配されていますから、利上げを前にした現在は「不安」が支配しています。
一方、利上げ直後に混乱さえ発生しなければ「楽観」が拡大します。

2016年前半は「楽観」が基調になりそうですが、これこそが世界の経営者達の「利確」の時期なのかもしれません。

2016年夏頃から、「様子がおかしい」と市場が気付き始めるかも知れません。



今回はFRBの利上げ直後に混乱が発生しないケースを予測してみました。実際には、利上げに絡めて色々とチョッカイを出す輩が居るのでしょうが、シリア情勢、南沙諸島情勢を片目で睨みながら、「世界の経営者」の計画を妄想する楽しみが続きます。