goo blog サービス終了のお知らせ 

『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

月がとっても青いから

2005年11月14日 02時10分12秒 | 歌と私と私の祭り
「まだ起きてこないの?」
私がわかめと格闘している時、突然かぁちゃんはそう言って逝ってしまった彼女の名を呼んだ。・・・私はハッと息を呑んで
「うん、起きてこないね。」と応えて胸の奥の塊を無理矢理に飲み込む。

出入り口に椅子でバリケードを築き、下駄箱の扉の取っ手を紐でぐるぐる巻きにして彼女に会いに病院へ出かけた時、さすがに可哀相になってしまって
「彼女入院しちゃったから、会いに行ってきたよ。」と言うと、かぁちゃんは
「私も行きたいわ。」と壁に貼ってある花のカップのカードをじっと見つめた。
彼女からこの春、母宛に届けられたお見舞いのカードだ。

・・・解ってるんだ。理解できてるんだ。正直驚いたが、少し嬉しかった。
翌日、旅立ったのを聞いた時は、かぁちゃんに伝えるべきかかなり悩んだ。
泣き顔を見せないように、ずっと大きなマスクをつけていたくらいだ。
しかし、少しでも解るなら伝えておくべきなのかもしれないと、通夜の日に
「彼女行っちゃったんだ。」と言うと、「どこへ?」と聞き返す。
「天国へ。」と言うと、「天国にいっちゃったの?」と確認する。
「お別れに行こうか?」と聞くと「行く。」と応える。
・・・あの時、私達は確実に会話が出来ていた。今考えると不思議なくらい。
通夜式から少し遅れて静かにお別れした時、かぁちゃんはじっと見ていた。
棺の側に立って随分長い間じっと彼女の顔を泣きもせず、ただ見つめていた。
けれど、それからずっと、その事については一言も語らなかったので
やはり、解ってなかった。一瞬の夢物語だったのかと思っていたのに・・・。

かぁちゃんの時の流れは、もう私達とは随分速さが違ってしまってるんだね。
でも確実に時の流れは存在していて、理解の方法が少し違ってるだけなんだね。
彼女はかぁちゃんの中では眠り姫のように静かに眠ったまま生き続けてる。
否定なんてするつもりは勿論ない。少し幸せな夢を見れたと思ってる。


かぁちゃんの天疱瘡が再発。またステロイドの投薬が始まった。
やっとこさ以前の浮腫みが消えかかって来てたのに、残念だけど仕方ないね。
また、まんまる顔になるのかな。ムーンフェイスとは良く言ったものだ。

家を出る時は霞がかって淡い光を放っていた月が嘘のように光り輝く帰り道。
「月光」「おぼろ月夜」「シニカルムーン」等々、月の曲や歌は色々あるけど
やっぱり私は今日も♪月がとっても青いから~♪できるだけ長く見ていたくて
やっぱり少し遠回りして帰ってきた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする