
元武士で居酒屋「尾張屋」の店主宗因はじめ、柏屋、角倉会所の面々など周りの援助により、着々と仇討ちの準備が整いつつあったのに、立花師の釣雪と知り合ったことで大炊助のまさかの方向転換。人はどういう出会い方をするか分からないものですね。
「親のなさけ」の段では、石女(うまづめ)として離縁された「おみつ」が、再婚して懐妊したことには溜飲を下げました。しかし、相手の不幸を願う「足引き寺」というのが本当に存在するんですかねー。店先に小さい黒い石を毎朝置くっていうのも執念深いですね。
まっとうな生き方を貫き通す鯉売りの末松、引き売り屋の民蔵の飼ってた元捨て犬の黒の話、盗賊の太市が悔い改める「悔悟の藺行李」、大炊助が助けた千松の父親の冤罪が晴れた話など、それぞれに苦悩する登場人物を救ってくれる部分があってホッとさせられました。十両盗んだら打ち首ということで、九両三分二朱にしたことから「どうして呉両(九両)三分二朱」の川柳ができたことも勉強になりました。