神林長平の新作長編書き下ろし「ぼくらは都市を愛していた」(朝日新聞出版)、読了。
久々の神長の新作です。
アンブロークンアロー以来だから、3年ぶりか。
初っ端から、うぐっ?という内容である。
男が基本、一人しか出てこず、あとは女3人が主要登場人物という、
摩訶不思議、過去にこんなのあったかな?と思う変化だ。
弟視点と姉視点が今後にストーリーは進む。
著者の携帯電話に対する回答みたいなものがある。
それは言葉世界による逆襲というより、穏やかな宣言といったところではないかと。
まあ、だれがなにを言おうと、我は我である、といういつもながらの宣言ではあるのですが。
分裂していく意識に世界はどう答えるのか、現実とはいったいどこまで希薄になるのか、
強い意志を持ち、なにとどう戦うべきなのか?
相変わらず意識を強く持て、というメッセージが残る一冊である。
データがどう変容しようが、変わらないものがここに。
言葉使い師、を読み返したくなった。
倉橋由美子祭りのあとは、数年ぶりの夏のSF崩しです。
未読本を片づけたいが、読まず嫌い本の方からかな。