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ツミ重なるモノ―歴史

2012-01-22 | 読書【未カテゴライズ】

木山捷平「井伏鱒二・弥次郎兵衛・ななかまど」(講談社文芸文庫)の太宰治のところを読む。

そこに、太宰の「津軽」に関するおもしろい記述があった。

故郷の津軽をどう書くべきか悩む太宰に鱒二が

「もしぼくが書くんだったら、ぼくが津軽を旅行するように書くがね」

と言ったとか。

その言葉を受けてか、そのような内容に仕上がっているとのこと。

 

「津軽」は小山書店の新風土記叢書の第7編で、戦前(戦中といった方が適切か)の一冊。

調べてみるとココに色々と詳しく書いてありました。

 

第1編は宇野浩二の『大阪』(昭和11年4月)

第2編は佐藤春夫の『熊野路』(同前)

第3編は青野季吉の『佐渡』(昭和17年11月)

第4編は田畑修一郎『出雲・石見』(昭和18年8月)

第5編は中村地平の『日向』(昭和19年6月)

第6編は稲垣足穂の『明石』(昭和23年4月)

第7編は太宰治の『津軽』(昭和19年11月)

第8編は伊藤永之介『秋田』(昭和19年11月)

第9編・田中英光の『土佐』、第10編・中山義秀の『白河』が続刊予定だった。

 

稲垣足穂が「明石」を第6編として書いているところも興味深いのです。

また、第5編の「日向」に中村地平という名前が。

これも、木山のこのエッセイの中で取り上げられている人物で、小説「南方郵信」の名前もある。

とは言え、需要が無く、どうせ全集ぐらいでしか読めないのだろうと思っていたら、

ポプラ社の百年文庫の91巻の朴(木山捷平、新美南吉、中村地平)に収録されているとのこと。

このシリーズ、全くノーマークだっただけにびっくりしました。

タイミング良く、昨年の11月刊行でした。

ちなみに角川文庫に「日向」が収録されていますが、1957年刊(復刊ぜったいにありえない、とほほ)。

第9編予定だった、田中英光もどっかで聞いたことのある人だと思ったら、講談社文芸文庫に収録されていた。

第10編予定だった、中山義秀もテニヤンの末日の人だし、この頃の作品というか、

人から人への流れにものすごく興味が湧きます。

その根底には、もちろん井伏鱒二の「荻窪風土記」(新潮文庫)があるのですが、

まあ、その話は別の機会で。

 

 

 

 

 

 


木山捷平リスト作成から思うこと

2012-01-15 | 読書【未カテゴライズ】

年明けから、木山捷平にはまっています。

年末にちくま日本文学全集で見つけてから、一気読みです。

井伏鱒二、太宰治関連のことを書いているので前から気にはなっていたのです。

短編「うけとり」を読んで一目惚れ、おもしろいです。

『講談社文芸文庫』は相変わらず古書価格が高く、品切れものが多く困ったものですが、

何とか図書館で借りることができたものから読んでます。

ちなみにリストを挙げておきます。

木山捷平文庫著作リスト(講談社文芸文庫12冊、旺文社文庫4冊、ちくま日本文学全集1冊) *2013年8月現在の情報です。

  • 大陸の細道【海の細道、雪の原、白兎、草枕】品切れ
  • 氏神さま・春雨・耳学問【初恋、子におくる手紙、一昔、出石城崎、尋三の春、山ぐみ、氏神さま、春雨、耳学問、竹の花筒、歳月、修身の時間、帰る所、浜松の茶瓶、点滴日記】品切れ *追記2012年12月特別復刊
  • 白兎・苦いお茶・無門庵【白兎、苦いお茶、市外、豆と女房、茶の木、葉鶏頭、無門庵、軽石、雨、大安の日】2011年夏の復刊、在庫あり
  • 井伏鱒二・弥次郎兵衛・ななかまど【骨さがし、枕頭台、鼠ケ関、赤い提灯、弁当、朱い実、山陰、弥次郎兵衛、釘、ななかまど、太宰治、井伏鱒二】在庫あり
  • 木山捷平全詩集【】20周年のアンコール復刊、在庫あり
  • おじいさんの綴方・河骨・立冬【おじいさんの綴方、掌痕、父危篤、抑制の日、歯痛の日、河骨、ねんねこ、幸福、立冬、枯木の花】2013年7月夏の名著復刊
  • 下駄に降る雨・月桂樹・赤い靴下【貸間さがし、お守り礼、下駄に降る雨、裏の山、かなかな、清流、七月の情熱、還暦の旅、月桂樹、去年今年、赤い靴下、斜里の白雪】品切れ
  • 角帯兵児帯・わが半生記【エッセイ集】品切れ
  • 鳴るは風鈴 木山捷平ユーモア小説選【玉川上水、耳かき抄、逢びき、鳴るは風鈴、コレラ船、下駄の腰掛、山つつじ、川風、柚子、最低、御水取】在庫あり
  • 長春五馬路【】在庫あり *2013年1月在庫なし
  • 大陸の細道【講談社文芸文庫スタンダード】在庫あり
  • 落葉・回転窓 木山捷平純情小説選【村の挿話、猫柳、空閨、増富鉱泉、男の約束、落葉、回転窓、留守の間、口婚、好敵手、七人の乙女】2012/12月刊
  • ちくま日本文学全集【詩、俳句、うけとり、おじいさんの綴方、長春五馬路、春雨、軽石、下駄の腰掛】品切れ
  • 耳学問・尋三の春旺文社文庫106-1 休刊
  • 茶の木・去年今年旺文社文庫106-2  休刊
  • 大陸の細道旺文社文庫106-3  休刊
  • 長春五馬路旺文社文庫106-4  休刊

amazonでチェックしたところ手に入るのは現在6冊のみ、ほとんど読めないではないか。

 

さて、ここからは苦言であります。

朝日新聞の西村賢太による講談社文芸文庫への苦言を読んで、というわけではないのですが、まあ殿様商売としか言いようがないですし、

堀辰雄の「風立ちぬ」を表題作とした文庫を1400円で買う人間が世の中にどこまでいるのか?、不思議です。

今、藤澤清造「根津権現裏」(新潮文庫)も併読しているのですが、出版社と書店の行く末が不憫でなりません。

amazon と itunes store の成功によるレコード屋の壊滅は言うまでもなく、

amazon (と 電子書籍はまだ無理だろう)による本屋の壊滅は現実問題あと数年ではないかと思う。

足を運んだ本屋に欲しい新刊本が全くない状態では、どうにもこうにもならない。

ごくごく一部の売れる本が、その他大勢の売れない本を支えている現状を打開しないと、

いつまでたっても袋小路から抜け出せない気がする。

とはいえ、マニアが欲しがる本ばっかり復刊しても潰れるし、

売れないと分かってはいても、ヒット作を探し続けるしかないのが出版業界の苦しい所なのか。

いつの間にやら品切れや版切れになる前に、『毎月の新刊』ならぬ『毎月の品切れ』としてどこかに載せて欲しいと思う今日この頃。

 

 

 

 

 

 

 


small world was beautiful

2011-12-30 | 読書【未カテゴライズ】

故郷が二つあるというわけではないのだけれど、

何だか今回の年末の小旅行で感じたのは距離感の違いでした。

記憶が美しく改変されていさ久しく、

空間的な感覚も変わってしまったようです。

それは、徐々に起こったので、すぐには分からないのですが、

想い出とは別に、圧倒的な感覚として、この20年間の変化を感じました。

家や店、町並み、ヒトの変化。

一言で歳をとったな、と思ってしまったのでした。

来年は最後の20代。

いろいろ考えていることはあるのですが、

さてさて実行できるかどうか、悩んでいる時間はもうないのです。

 

旅行中の読書はドフトエフスキーの「悪霊」(光文社古典新訳文庫)。

いやー、車中で読むような内容の本ではなかったですね。

「罪と罰」は救済が残されていただけに、この一冊は拷問でした。

2巻以降、漸く話が回り始めるので、1巻は正直なところ字を読んだだけでした。

登場人物が多過ぎて、分かりにくい。(10人以上いますので…)

結末を受けて、もう一回、第一部を読んでみるといいかもしれません。

 

 

 

 

 

 


立原道造全集

2011-12-15 | 読書【未カテゴライズ】

ついに買ってしまったぜ、立原道造全集!!(amazonで20%OFFで41000円)

角川書店版ではなく、筑摩書房版。

2006~2010に出版されたヤツです。

 

石柱の歌が好きです。

 

ついでに調べていたら、立原道造記念館が閉館してた…。

それも今年の2月に。

ときのながれを感じるとともに、

人生の岐路に立っているのかもと、思う今日この頃なのでした。

 

 

 

 


OP648話を読んで思うこと

2011-12-03 | 読書【未カテゴライズ】

one piece の予想を少し。

 

one piece が白ひげの発言から具体的な何かであることは分かっていますが、

物かどうかは今のところ分かりません。

ただ、古代兵器やラフテル、レイリーの「世界」に関する発言から、

6つの海を一つにする何か、もしくは海を失くす何かかと思っていたのですが、

「ノア」の出現から、海が干上がるのではなく、島が沈み、海のみになるのではないかという気がしてきました。

 

空島編からの疑問ですが、空島の人々が「青海人」と呼ぶのはなぜか? 

ここから、空白の100年は、6つの海にある島、レッドラインもすべて海の下だったのではないか、という予想ができます。

それぐらいでないと歴史が陸上から100年も消えるということはないのでは。

レッドラインがどうみても、隆起した海底山脈のようにしか見えないし…。

サンジの夢であるオールブルーもその名の通り、“一つの海”ということを意味しているのでは。

ロビンの“巨大な橋”もあの高さまで海水の高さ上がるとも言えるし。

「ノア」が水没した陸上に住んでいた人間のために作られた箱舟であるのであれば、

海王類が引く、深海を進む巨大な難民船ではないのでしょうか?

 

扉絵シリーズの月の宇宙人や「天竜人」というネーミングからも「空白の100年」での敵の存在を感じさせます。

Dの一族とは残された海の上で海賊船に乗り、天竜人と最後まで勇敢に戦う戦士のようなものではないのでしょうか?

そう考えると、ラフテルはたぶん、ドラゴンボールのカリン塔みたいな所じゃないかなと思います。

衛星軌道までは行かなくても、天竜人との決着がそこで付くのではないかな。

 

 

と勝手に妄想でした。

 

 

 

 

 


空はいつも

2011-10-23 | 読書【未カテゴライズ】

何だか忙しくて、読書が頓挫しています…。

何か勉強したいなと思うのですが、ノートは白いまま。

タイミングを計ると言いながら、動かないのはできないことと同じ。

埋めるべきものはたぶんあるのですが、進まないのです。

 


新刊メモ

2011-10-16 | 読書【未カテゴライズ】

たまには新刊チェックメモを。

 

10月

ガブリエル・ウォーカー「スノーボール・アース」(ハヤカワNF文庫)

ロダーリ「羊飼いの指輪」(光文社古典新訳文庫)

バルガス・リョサ「密林の語り部」(岩波文庫)

山野浩一「鳥はいまどこを飛ぶのか」「殺人者の空」(創元SF文庫)

 

11月

ドフトエフスキー「悪霊3」(光文社古典新訳文庫)

柳田國男「雪国の春」(角川ソフィア文庫)

小野不由美「ゴーストハント7」(メディアワークス)

 

悪霊の3巻は、たぶん出るはず。年末に1~3巻を一気読みしたい。

雪国の春は、まさかの復刊。東北日本大震災の影響と言うと聞こえは悪いが、このタイミングは何だかな。

 

年内の読書&収集計画はこんな感じです。

 

読書:津島佑子「葦舟、飛んだ」、小野不由美「ゴーストハント6、7」、ドストフスキー「悪霊1、2、3」ほか

収集:安岡章太郎、新潮文庫の復刊シリーズ

 

あと、秋の岩波文庫の一括復刊は、とくにめぼしいものなし、今のところ。

とにかく気分はもう師走。とは言いませんが、たぶん早いだろうなと思う、このあとの2か月は。

 

 

 

 

 

 


夏から秋へ

2011-09-17 | 読書【未カテゴライズ】

ようやく夏が終わると思ったらまだまだ暑い日が続いて困ってます。

 

読書は、いろいろ溜まっていますが、

村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」を読んでます。

羊をめぐる冒険の続き、というか、青春三部作の後日談ということで

読み始めました。

連休にはちょうど良い長さです。

 

他には、大崎梢の書店もののシリーズとか、

途中で止まっている本とかたくさん読み残しが多いので、頑張ります。

 

そういえば、そろそろ勉強を、と思ってはいるのですが、

全然、進んでいません。う~ん、だめです。

 

 

 


山の上の雲を見上げて

2011-08-20 | 読書【未カテゴライズ】

夏の大遠征でまた50冊ほど仕入れてきました。

疲れました。

最近思うのは、未購入リストがないともう分からないということです。

何というか記憶に残らない買い物が多いためなのか、

この本買ったかな?本棚にあったっけ?という思考の連続。

そういう意味でも疲れました。

その中で、何となく小松左京「骨」(集英社文庫)も購入。

 

読書はゴーストハント4,5を無事、読了。

冗長過ぎてだるいな、と読みはじめは思うのですが、

後半クライマックスまで駆け上がるところは流石だと思うのです。

ただキャラ同士の兼ね合いが一向に進まず、

謎(?)も最終巻まで引っ張るということなので、年末までネタバレは禁止でがまんがまん。

(まあ、何となく予想(正体)は付いているのですが…)

 

現在、はまっているのは泉鏡花と安岡章太郎、クロフツ。

と言ってもcollect不能なんだけどね。

あとは村上春樹「羊たちをめぐる冒険」を読みはじめたはいいのですが、

相変わらず、全部同じ話の展開、回りくどい喋り方をする主人公で嫌になります。