尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

2006年02月28日 23時55分12秒 | 詩の習作
鳥の翼に似ているけれど
飛べなくていいんだよ
本になりたいんだよ
白いテーブルの上に
風がふいて
ぱらぱらと僕のページが
めくられていたいんだよ
人間はいなくていいんだよ

へたな詩がそういいました

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日記は書けない

2006年02月24日 23時09分43秒 | ライトバース集
ワタシ
といったら
嘘になる
ボク
といっても
同じだ
一人称は
すべて
恥ずかしい
つまり
アナタを
失ってから

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フランケン

2006年02月19日 23時47分52秒 | 詩の習作
詩の一行は包帯やった
三年詩を書いて
おれは立派な
フランケンシュタインや

包帯と包帯の
斜めの隙間から
新大阪駅の裏手にある
暗い自転車置き場を
ながめていた

こんなこともよう
書けへんのか…
おれはたくさん
息をしてきた

と、思ったら
出会うことのない
ひとりひとりの
人間の尻を乗せている
沢山の自転車が
ひっそり光っていて
泣けてきた

ほんとうに
おれはたくさん
息をしてきた

おっさんの包帯は
白いか赤いか
コメント (2)
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「杉山平一全集(上)」

2006年02月14日 12時31分12秒 | 読書記録
厚さ5センチ以上もある辞書のような氏の詩業を
一週間かけて丁寧に読ませていただいた。
あまりの本の大きさに、駅のベンチで読んでいるとき、
何の本ですか、と美しい女性に声をかけられ、
久しぶりに鼻の下をのばしたこともあった。

僕たちがほとんど失ってしまった日本とその時代が
杉山さんが歩まれた人生と共に、そこにあった。
確かにこの本に、缶詰のように閉じこめてあった。

ほんの、さわりだけを…

辞書の中に迷いこんで
行きつけないで
よその家へ上がりこんで
紅茶をのんで帰ってきた
  
   (「辞書」より)

あなたも、この辞書のような詩集を読んで
美人のお家で、紅茶をのんで帰りましょう。

コメント (2)
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千葉一幹著「賢治を探せ」

2006年02月14日 11時26分46秒 | 読書記録
これまでの宮沢賢治の作品にに関する研究や紹介は、背景にある彼の宗教や思想と彼の実人生の歩みから解読するものがほとんどであった。
千葉さんはこの著書で、そうではなくて作品を作品として読むことから、新たに賢治を探そうとした。
キイワードは「春と修羅」における「まことのことば」である。
ラカン派の精神分析理論を援用し、言葉を人が獲得する経緯から、「修羅」の解明は圧巻である。
詩人による「私だけがわかる私の賢治」に閉口された方は、ぜひ一読を。
オンリイテキストに限定しようとされたせいで、新しい賢治像の提示とともに、ある種の不自由さや平べったさが少し残る賢治論でもあった。
著者の後書きにもあるように、それは次回の賢治論に期待したい。

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たんぽぽ

2006年02月13日 20時24分18秒 | 少年詩集
「たんぽぽ」


花のあとにも
綿帽子が咲きます
そよ風がトランプを飛ばすように
丸いドームを
崩してゆきました

綿毛はときに国境を越え
木枯らしのやまない
こんな夜にも
白い夢のように
広がっていきます

春になれば
一もとの可憐な草花が
大きな花火であったと
私たちの目に
知らされるのです
コメント (4)
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仲本有花著「五行歌・書いてみようか」

2006年02月12日 10時23分59秒 | 読書記録
2006.2月1日読了
「五行歌・書いてみようか」仲本有花 文芸企画 476円
はじめて詩を書いてみようかと思った若い人や、詩をはじめて何年かたったけど、なにか自分がでていないな、もうやめようか、などと悩んでいる人に、お勧め。
20行を越える詩ばかりのいわゆる現代詩の、ウサンクササ、に気付いた人は必読です。

詩、歌、以前に老若男女、生活の各場面で、ちゃんと声がでていない、ちゃんとお話できていない、という日々の現状があります。
テレビのタレント同士の会話に代表されるように、
早口で声高で、ロボット的で気持ちがありません。
楽しそうに見せかけていますが、何かに怯えているようです。
表情は死んでいて、口先ばかり動かすものですから、ほ乳類というより、顔は昆虫になってきました。
僕は「変身」のカブトムシみたいです。笑

ほとんど呼吸の問題で、いくつくところ近代・日本の文化の問題になりますが、
まずは自分の息を整えるところから、各自はじめるしかないです。
五行歌がこれらの万能薬になるとまで思いませんが、
入り口にはなると思います。

最後に著者の仲本さんの五行歌を一つ、紹介させていただきます。

桜に
濯(すす)がれて
太陽の
右目
月の左目

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星は花は

2006年02月11日 13時53分15秒 | 少年詩集
星はまばたきながら知っている
花は咲きながら知っている
木は立って立って知っている
象は糞をしながら知っている
蛇はのたうちまわって知っている
貝は海の底で知っている
踏まれる石も砂も知っている
うつろう雲さえ知っている
人だけが知らない

嘘をつくから
誰もおしえない

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パンジイ

2006年02月11日 13時35分47秒 | 少年詩集
「パンジイ」

風がそよぐとね
子犬が笑うような花です
一匹じゃないんだよ


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顔の川

2006年02月09日 13時55分33秒 | 詩の習作
アリガトウ
と言った
ワスレナイデ
と言われた
ワスレルモンカ
と言った

それから
言葉ではないものを
両足の先に履いた
後ろに言葉では
ないものの
視線を感じながら
石だとか砂だとか
言葉ではない
確かなものの上を
歩いて帰った

夜の空には
言葉ではない
たくさんのもの達が
むやみに美しく
光っていた
この世にあるものは
すべて言葉ではないと
はっきりわかった

言葉でないものたちに
圧倒的に囲まれながら
ただひとつ
もう言葉でしかない
アナタ

悲しんだ

この完璧な
夜に
空いた
ただひとつの

その
言葉のために
言葉ではないものが
僕を
顔の川のように
流れた
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有明

2006年02月08日 08時45分12秒 | 詩の習作
夜明け前
僕の家の
雨戸をたたく
ものがいる
布団をかぶった
夢の中から
有明湾のシジミのように
薄目をあけて
聞いている

彼は
夜明けとともに
去っていく
もう一人の
僕だ

僕は急に
駆け出し
つまり自分を
揺すぶることがある
硬くなってしまった
貝殻の中に
永遠に眠ってしまう
僕を飼っているからだ
そいつは
舌のように柔らかで
一言でいうと
水の底で
悲しい

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手紙

2006年02月06日 21時58分46秒 | 詩の習作
「手紙」

いつもの
明るい並木道
空から
小さな稲妻が
僕に投げこまれた
あっ

体が筒になって
立ちどまる

配達は
いつも突然だ
ポストの暗がりを
帯電した
蒼い手紙が一通
くるくる
落ちている

差出人は
判らない
けれど
痛かったんだろう
驚いたんだろう

思う
だって
文面
あっ
と、だけ
聞こえた

足音が
音楽みたいに
鳴りはじめるのだ
いつもの
あてのない
並木道が
あてのないままで
輝きはじめるのだ

もう痛くは
ないさ


  (ポスト」を改題、改稿しました)


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2006年02月03日 21時44分55秒 | 詩の習作
夜は地球の影です
昼は太陽の影です
あの太陽より
輝く光源があります
コメント (2)
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