尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

2007年09月30日 22時57分36秒 | 尾崎まことの「写真館」
「烏」

時間があれば
ベストショットを求めて
もっと撮りたかったです。
烏がまん中過ぎる。
水平がとれてないですね。

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海岸

2007年09月30日 22時47分09秒 | 尾崎まことの「写真館」
「海岸」

昨日撮影したばかりの鳥取の海岸です。
日没前の逆光です。
晴れているのに海が荒れていて、
しぶきのために霞む、不思議な風景でした。

地平線が二分の一近くで、
空を撮りたいのか、海岸を撮りたいのか
中途半端でした。
水平がどうもとれていません。
右肩あがりのくせがあるみたいです。

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向こうがわ

2007年09月26日 21時49分00秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「向こうがわ」


シーッ!

この
瑠璃色の
磨かれた空の
向こうがわ

いま
だれか
ノックしなかった?

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ポスト

2007年09月24日 23時50分37秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「ポスト」


この秋の
深い空のどこかに
赤い切り傷のような
ポストの入り口は
隠されていないか

カポン!

ふいに
明るい音がして
あなたからの
なつかしい便りが
僕のこころに
降りてくるのだ

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傘をどうぞ

2007年09月24日 22時12分31秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「傘をどうぞ」


雨に濡れています
などと囁いてみても
だれも
雨に濡れてはいなくて
ただ確かなことは
雨に濡れています
という言葉に
いま
あなたの耳は
濡れはじめています

降っているのは
雨ではなくて
むかし
僕のまいた言葉が
遅れて届いているのです

この傘をどうぞ

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と、の場所

2007年09月24日 21時05分07秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「と、の場所」



さようなら、と
背中と背中が離れてゆく

こんにちは、と
顔と顔が近づいていく

もしこのお弁当が
夢ならば僕らは

飢えて死んでしまうね
など、と

そんな話を
顔と顔がして

さようなら、と
また背中と背中が離れてゆく

ひととひとのあいだ
と、の場所には

人の使わない両面の
鏡が一枚置かれている

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約束

2007年09月24日 14時11分00秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
あの日は
どんな花が
咲いていたのだろうか
あの日は
どんな風が
吹いていたのだろうか

ついに一度も
あなたを
探さなかったように
きっとあなたは
一生僕を
探さなかった

髪の毛が
ほとんど白くなったころ
僕は思いだした
ふたたび会えなかったのは
運命ではなくて
あの日の
二人の約束だったと

あの日は
どんな花が
咲いていたのだろうか
あの日は
どんな風が
吹いていたのだろうか

世界でもっとも
優しい
花と風のなかで
二人は
どんなふうに
笑ったのだろうか

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帯文(案)「薔薇と犬」

2007年09月19日 05時27分40秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
小説より 面白い 
メルヘンより 哀しい
哲学より 深い
恋愛より 激しい   詩

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みなさんへ(決定版)

2007年09月19日 04時55分12秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「みなさんへ」
 


 人間にもし言葉がなければ、ただの暗い箱にすぎないかもしれません。
つまり、わたしもあなたも永遠に知られることのないブラックボックスです。

 もの心がついた頃、すでにわたしという身体は、言葉という穴の開けられた「カメラオブスキュラ」でした。この装置に射し込んできた、生きるということの四つの季節の風景を、四角い白いページに閉じこめてみました。
捕まらず逃げ出してしまったものも、また愛しいです。
 これらが再び美しい光のスペクトルとなって、あなたの体や心の表面をやさしく突き抜け、どうか魂と呼ばれる、わたしたちのもっとも柔らかなところまで届きますように。

          2007年 晩秋
                   尾崎まこと

 

*カメラオブスキュラ=暗い部屋の意味。
小孔またはレン ズのついた暗箱。
写真発明以前、画家などが写生に用いた。

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豆の木(決定版)

2007年09月19日 04時33分09秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「豆の木」



自分が死ぬということを
納得できかねて
豆の木のように
ベッドから空に
するする伸びてきた
あなたの腕を
ジャックは雲の上で
巨人のように抱いた

  その日のために
  あなたの名前があったのだろうか

ジャックは
あなたの名前を呼んだ
二度まで瞳で答えてくれた
三度目 
答えはあなたを連れて
帰ってこなかった

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「笑うんか?」(決定版)

2007年09月17日 14時24分04秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「笑うんか?」



花曇りの空の
ピンク色した
用事のなさに
君だって電話を
かけたことがあるだろう
誰でもない
君の携帯番号に

そんな怖いことして
自分が
出たらどうするんだ

馬のように笑うんか
キスするんか
それとも
泣いてしまうんか?




 (9/6の冬の詩を、春の詩にしました。
  ちょっと色づいたかな?)



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第16回日本歌曲コンクール・声楽部門本選

2007年09月16日 11時42分33秒 | みなさんへ・その他
2007年9月8日に東京文化会館で「第16回日本歌曲コンクール・声楽部門本選」と各部門の表彰式が行われ、行ってきました。
すでに作曲部門では尾崎の詩「雪の音」に作曲された、栗原邦子さん、大橋美智子さん、渡辺なつ実さんの3名が入賞され、課題曲の一つとなっておりました。関西・関東予選を通過され声楽部門の本選にエントリーされた方々のうち次の13名の方々が、彼女たちの作曲した「雪の音」を選んで歌われました。みなさんに感謝いたします。

有山美恵子さん、石岡美典子さん、大畑理博さん、加藤千春さん、神野英世さん、
金城真希さん、坂絵梨奈さん、小山操さん、島田祐子さん、諏訪部崇世さん、仙藤恵子さん、長江希代子さん、中谷淑子さん、
(声楽部門通過者、五十音順)

声楽部門本選の結果は次のとおりでした。
(1は課題曲、2は自由曲:敬称略)


     演奏曲     作詩者    作曲者    入賞者氏名

第1位 1.雪の音    尾崎まこと  栗原邦子   仙藤恵子 

    2.つるぎの歌  鶴岡千代子  小林秀雄

第2位 1.雪の音    尾崎まこと  栗原邦子   坂絵梨奈

    2.蕎麦の花   堀内幸枝   小林秀雄
 
第3位  1.雪の音   尾崎まこと  渡辺なつ実  諏訪部崇世

     2.雪燃え   鶴岡千代子  玉井 明
 
第3位  1.雪の音   尾崎まこと  栗原邦子   神野英世

     2.蕎麦の花  堀内幸枝   小林秀雄


詩を一生の仕事として選んだときから、
こんな晴れがましい舞台とは無縁だと思っていました。
屈曲した詩も書く自分ですが、みなさんから頂いたご褒美のような、
素直に感動していた一日でした。
 



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二丁目の!(決定稿です)

2007年09月14日 00時42分57秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)


「二丁目の!」
    


朝日が注ぐ
二丁目のバス停

人々の列は
そよ風にそよぐ
麦の穂のように
逆光の中で
いくぶん黄金色に透きとおり
揺らめいている

めいめいの頭頂からは
マンガの吹き出しみたいな
空白が出たり入ったり
そこには
○×□●☆△?‥‥
解読できない暗号が
ランダムに書き込まれては
また消えていく

しかし
一丁目の丘に
バスが光ると
一斉に


みんな無口だ
けれど
ちょっぴり不安な
今日 という日に
挨拶しているのだろう
一度頭を垂れて
ステップを駆け上がる


 

  (9/3のものをさらに改作しました)
コメント (2)
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雑踏

2007年09月07日 00時25分51秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「雑踏」



嫌いになることは
一生かけても
できないことでした
ただ
鏡の向こう側に
入っていったあなたを
求めてさまようことに
疲れたのです

あなたも
あっという間に
おじいさんになった
わたしを探さないでください
夜ごと
夢の中の
雑踏で

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孤独

2007年09月07日 00時01分48秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)


「孤独」



裸の王様は
公務が終わると
たった一人の
部屋に鍵をかけ
窓を閉ざした

王冠を脱いで
そそくさと
パンツをはいた

誰にも見せない
性器のような
日記を書いた

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