尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

日照り

2010年04月30日 23時02分45秒 | 詩の習作
私たちは
夜中じゅう
喋りつづけたのである
天の破れた雨のように

雨があがると
朝日に照らされた
お互いの顔を
まぶしく見つめたあと
さよならさえ言わず
黙って別れたのである

それからは
男の顔はいつも
日照りであった
たとえひび割れても
雨乞はしない



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千年夢見る木「みなさんへ」

2010年04月28日 03時12分07秒 | 詩の習作
この宇宙はほんとうは美しい図書館なのに
大きすぎてその入口が分からないと
もどかしく思ったことはありませんか
あなただって大切で不思議に満ちたその一冊に違いありません。
この小さくて黄色い本がその扉になってくれたら嬉しいです。

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憑依現象Ⅱ

2010年04月28日 00時58分48秒 | 五行歌・自由律俳句
  憑依現象

むかし夜道を歩いておりますと寒気がしまして
狐や狸や蛇なんぞが取りついたと申します
今では位牌のごとく携帯電話を抱く首の上あたり
坂根さんにはサカネサンが秦さんにはハタサンが
つまり私という幽霊が取りついておるのです

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憑依現象

2010年04月27日 20時14分08秒 | 詩の習作
「憑依現象」

昔、畑を歩いていると
狐や狸や梟などが取りついたらしい
今、携帯電話を位牌のごとく胸に掲げると
たちまち取りつく私という獣、あるいは幽霊
そのきつい目はポスト・モダン

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テーブルフォト「碧い瞳の豹」

2010年04月25日 00時08分30秒 | 尾崎まことの「写真館」
この「豹」は三日ほど前、会社の近くの天満橋商店街の「なんでも屋さん」で、500円で買ったブローチです。撮影が終わり、家内に一生で二度めぐらいの?プレゼントしようとしましたが、「怖い」と一言でした。ギャフン!

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戦友

2010年04月21日 23時56分48秒 | 詩の習作
死んだ父の声を
この十年完全に忘れていた
昨日ふと戦友を歌ったら
思いだすことができた
耳の中の洞窟から
聞こえるてくる詩声は
僕よりずっと若い声だった

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かなしい、だ

2010年04月21日 23時31分25秒 | 詩の習作
た、た、たわしではなくて
わ、わ、わたしのせなかの
まるみは
クエッシオンの
まるみ
かなしいだ
おまえは
どんなにつらこったことか
それをいふなら、つらかったことか
なにわ、ではなく
なにが?
ということはすべて
うしなわれてしまって
かなしいだ
だ、だ、だ、だ
そのまるみ

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いりや、あれちのあと

2010年04月21日 22時57分40秒 | 詩の習作
最近、さいきんのことばが
あたし
というものが
ことばであり
ことばのさいきんであり
細菌、つまり、きてれつのぱっぱ
宮沢?、みやざわのいふとおり
にゅーろん、ゆーろん、よーろっぺ
えれきのえれきてる
であることが
わかり
てをあわす
なんまいだ、なんまいだ、きゅうまいだ
おきくさん!
あわすしかないのだ
なんまいだと、おばあちゃん
おばあちゃん!
をおもいだす
ごめんなさい、ごめんなさい
じぶんいがいの
かたのために
いいえ
そこのいしだとか
こおろぎきりぎす
のたぐいのために
いきたいと
じぶんのためならむしろしにたいと
ひったいとは
てつのおおこく
みやざわは
かんがえたにちがいない
これはまちがいようのないことだ
いちねん、ねん、ねん、
ぱっぺんはいむ

げんだいし、あれちのあとは
むであると
それはうそだと

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奇術師

2010年04月21日 00時55分17秒 | 「新詩集準備α」
 「奇術師」


あれもこれも
掴んできたはずの掌を
奇術師のように
ぱっと開くと
ハトも飛ばないので
ついに私には
何もないと分かる
その代わり
空には雀が飛びかい
となりでは花が咲き
遠くの小学校から
歌声が響いてくる
これは誰の掌だろう
何という奇術師だろう

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21世紀化物研究所発表

2010年04月20日 00時24分37秒 | 詩の習作
21世紀化物研究所では
古来より幽霊は男と女の間の
つまりプラスからマイナスへの放電現象であると
されてきた定説は極めて疑わしいという新世紀の見地から
幽霊とはすなわち男と男の、あるいは女と女の
つまりプラスとプラスの、あるいはマイナスとマイナスの
反発現象はないかとの実験研究が尾崎博士指導のもと、
開始だれたとのことである。
ただ、「だからといってナルシズムがニヒリズムの心理学的根拠であるとの証明が覆されたのではない」という言説こそが、博士グループの一致した見解だとも伝えられている。

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ことばがいつも触っているもの

2010年04月19日 23時55分40秒 | 詩の習作
ことばがいつも触っているもの
それを他者といっても自己といってもよいのだが
触れたものが他者だと言えるとき
言葉は自己であり
触れたものが自己だと言える場合
言葉は他者である
触れたものが言葉を規定するのであって
その逆ではありえない
リアルであるということは
そういうことだ
そういうことだとは
リアルということは
表現の問題であり得ない、ということである

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じっと見る

2010年04月19日 23時49分08秒 | 詩の習作
掌をじっと
見すぎると次第に
掌は顔になってくる
目もないくせに

顔をしっと
見すぎると次第に
顔は僕の墓標になってくる
石でもないくせに

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奇術師

2010年04月19日 23時08分18秒 | 詩の習作
運命線に頭脳線
生命線に感情線
掌は
わたしの断層である

地層には幼いころ
わたしの遊んだ
赤い鳥が潜んでいる

地層には幼いころ
わたしの隠した
青い鳥が潜んでいる

かつてそれらの鳥は
わたしの血を楽しく吸った
かつてその鳥を
わたしは美味しく食べてしまった

誰もいないとき
わたし一人の
観客のために
奇術師のように
こぶしを固めたあと
ぱっとひらいて見せることがある

色と形のない鳥が
羽音だけをけたたましくして
飛び立つのである
もうお前には命のほか
失うものは何もないと


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わたしには何もない

2010年04月19日 09時26分04秒 | 詩の習作
さんざん掴んできた
掌をひらき ついに
わたしには何もない
と分かると
わたしには空がある海がある
となりで花が咲いている
むこうで犬が鳴いている

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水遊び

2010年04月19日 01時35分16秒 | 詩の習作
女は夜来て
私の上に舟を浮かべて遊び
明け方には帰っていった

椅子から立ち上がったりすると
女の置いていった舟が
しばらく揺れているのがわかる

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