「睡眠」
睡眠は一本の地平線
その彼方へ
一日の言葉たち
彼らを連れて
夢が帰ってゆく
朝には
希望であったものたちを
連れて帰ってゆく
空には線路がないだろう
雲の上には星があるだろう
さかなのように言葉たち
たくさんの胸びれが光っている
尾ひれが揺れている
かすかに打楽器である
もう誰も歌わない
夢のオーロラ
年をとり
大方のひとが
母を失う頃になって
ようやく気がつくことがある。
母は夜であった
夜から生まれた私は朝であった
そして一日中精一杯働いて
帰っていくのだ、と。
大きな夜に。
大方のひとが
母を失う頃になって
ようやく気がつくことがある。
母は夜であった
夜から生まれた私は朝であった
そして一日中精一杯働いて
帰っていくのだ、と。
大きな夜に。