尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

再会

2006年01月11日 08時57分45秒 | 第一自選詩集「鳩よ」
 「再会」

夜更け
白い肋骨の
アーチの上で
僕の右手と
左手が
出会っている

この痛ましさは
なんだろう 



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青猫

2006年01月11日 08時54分36秒 | 第一自選詩集「鳩よ」
 「青猫」

青猫が縁側で
昼寝をしていた
暖かい日向の空気を吸って
体がふくれてきた
それでも呼吸していると
青猫はふんわり浮かんだ
浮かんで大きくなって
とうとう空になった

春の空の
お腹をよく見ると
透きとおった皮が
呼吸してる
まん中あたりに
出べそだって見つかる

あなたが縁側で
うとうとしたら
細長い雲の影が来て
そよ風が吹くだらう
それは青猫のしっぽ

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夢の庭

2006年01月11日 08時23分51秒 | 第一自選詩集「鳩よ」
「夢の庭」

笑いたい

いつも帰ってゆく
夢の庭で
人を見つけた
犬のように
笑いたい

コメント (2)
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明るい暗室箱 【CAMERA OBSCURA】

2006年01月06日 11時54分52秒 | 第一自選詩集「鳩よ」
小さな穴から
一筋の光りがもれていました
気がつくと 
僕は
暗室箱の中にいたのだね

穴の外はね
美しい
光りの粒子の海だったよ
そこにある
無限にひろがる
しかし
手の届かない
つかめない

そして僕は笑ったよ
笑いつづけているよ
さびしいけれど
不幸じゃない 

僕の
からだ
には小さな穴が
一つあいていて
虹色の光り
さしこんでいる
 

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鳩よ

2006年01月05日 13時02分33秒 | 第一自選詩集「鳩よ」
鳩よ
 

冬の公園では
日だまりの中
知らない鳩がいっぱいだった
噴水が高くなると一斉に
噴水のかたちをして
飛び立った

その夜
知らない言葉が降りてきた
知らない詩のまま
終わりの行を
書いた
鳩よ


書き終えた男は
思い出の日だまりの中で
歩く度に
首をすくめる鳩ぐらい
遠ざかってゆく

いわれのない
男の一生を
今日も
とにかく生きた
こうして
男の一行を
まぶたを閉じて
明日へと
改行する

おおい
鳩よ

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詩集「鳩よ」について

2006年01月05日 12時14分18秒 | 第一自選詩集「鳩よ」
この三年間、書きなぐってきた詩のようなものも、このプログにあるものだけで400を越えるようになりました。
僕の人生に似てその詩行もなりふり構わず後ろを振り返らないので、
失われた詩篇もたくさんあります。
まれに尾崎さんは詩集を出さないのか、と聞かれることがあります。
お金がないから出さられへん、と答えています。
これには負け惜しみもありますが、一生本にならなくてよい、という気持ちが本当にあります。
たぶん僕はインターネット出身の「詩人のようなもの」だからでしょう。
わずかに光って、消えていくのが気持ちよい。

詩と思想、現代詩手帖などの詩誌に、ときにいわゆる「ウエッブ詩はクズ」という
ちょっと失礼な論調の詩評が見受けられます。
僕はネットをほとんどしませんので、他の方の詩を云々資格はありませんが、僕の詩に関しては本当のそうだと思うのです。
靴下のはき方から、歯磨きの仕方、大小の便の仕方と同じく、僕の言葉は誰かから教えてもらい真似たものまかりです。
僕の詩はもちろん物まねですし、だからクズだと言われても仕方ありません。
しかし、流れ星はクズでできているのです。
最期に問われるのは
そのクズと呼ばれたものが、
本物とぶつかっているかどうか、と云うことだけです。

わずかに光ってみたくて、
このブログから選んで「鳩よ」と題する詩集をウエッブ上に編んでみます。
コンセプトは、「クールでかつ暖かいもの、明快なもの」
僕は校正魔なので、期限は三月一日にします。
おーい、鳩よ。

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