尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

カメラオブスキュラ

2008年12月31日 01時56分47秒 | 詩の習作
わたしをカメラだと思う
それから
写っている風景がわたしだと思う
しかし
なんという静けさなのだろう
この外も内も

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2008年12月30日 02時18分01秒 | 尾崎まことの「写真館」
「歌」


花には
口がありませんので
声ではなく
光で歌うのです





2007.7/22撮影 万博公園日本庭園:富士フイルムS5Pro ISO100 露出優先 
f5.6 1/286秒

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昆虫少年

2008年12月30日 00時40分55秒 | 詩の習作
犬も蝶も説明はしない
説明が必要なのは
人間だけだ

説明はめんどうだ
おそるおそる
棺桶のような弁当箱を開けると
たくさんの蝶が飛び立ったのだ

一人っ子であったし
近所に友達もいなく
昆虫と二匹の野良犬が友達であった
突然、見つめるうちに
昆虫の異形に気付き
彼等を投げ出すことがあった
また二匹の野良犬は夫婦だったので
説明はめんどうで
俺は嫉妬した
雌はシロといってべっぴんさんだった
シロがまず飼い犬になって
いつのまにかクロをつれこんで
自分の餌をわけてやっていたのだ

人間の異形に気づくことは多いが
彼等を投げ出すことはしないかわりに
たくさんの蝶が飛び出すので
俺は棺桶か?

棺桶ついでに
シロは近所の畑に撒いてあった
毒団子を食べて
たいへん苦しんで死んだ
父が庭に埋めてやったが
それを不思議そうに見ていたクロは
翌る日からいなくなった

とにかく
井戸の上に置いてあった
棺桶のような弁当箱を開けると
たくさんの蝶が
白と黒と黄色の蝶達が
飛び立ったのだ

父が注射を打ったあとすぐ
ジョンが死ぬとき
父はションが「ありがとう」と
言ったと言った
確かに塀のむこうから
僕はジョンがワンと言ったのを聞いた



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蛍を放そう

2008年12月29日 15時53分19秒 | 詩の習作
あなた

わたし
と、の闇

蛍を放そう

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「中之島夜景」

2008年12月29日 01時38分40秒 | 尾崎まことの「写真館」
「中之島夜景」

自分よりも風景の実在が信じられる夜、というものがあります。
それは忘れられない夢に似ていて、白い伝書鳩のように、かならず私という場所にもどってきます。

(f8、1/2秒:フジフィルムS5プロ、三脚なかったので橋の手すりに押いて 撮影しました)

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饒舌

2008年12月29日 01時14分54秒 | 詩の習作

誰しも
黙りこんで生きているくせに
黙って死ぬことは
できないでいるね

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天使が鈴を振る

2008年12月29日 00時12分30秒 | 詩の習作
この愛が
一生に一度きりってことを
証明するために
人は
何度でも愛してしまうんだよ
みごとに証明が終われば
たくさんの天使たちが降りてきて
金と銀の鈴を振るんだ
それから


それから?

うん、ひとりぼっちさ

いいかい
たとえ
ひとりぼっちでも
毎日愛して
毎晩死ぬんだよ
こんなふうにね
鈴の音を聞いてしまったら
それだけが
人の仕事だよ

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人間の証明

2008年12月28日 23時45分00秒 | 詩の習作
今日だって
何度でも死んで
何度でも生きなおしてやるさ
マンガのように

人生は
たった一度ってことを
証明するためにね
アニメのように

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人間、その○■×

2008年12月28日 13時07分38秒 | 詩の習作
あるひとは
「人間」だと聞くと
人間を○だと思い浮かべる人がいるし
■だと思い浮かべている人もいるし
×だと思い浮かべる人がいる
しかし人間とは
人間の形そのままのものではなかろうか
いや人間の形そのままのなかに
入っている○や■や×という
記号ではなかろうか

最近○やら■やら×やら△まで
僕のなかでうるさい

このうるさいもの達が
僕を越えると狂気であり
この者達を手なずけると
悟りという境地だな

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くるくるまわる

2008年12月27日 00時05分41秒 | 詩の習作
くるくるまわる
犬のもどかしさというものがある
昔しゃべれていたのに
今しゃべれなくなっているもどかしさである
だから
声をかけられるのがなにより
嬉しくてたまらない
彼等はことばを知っている
ことばはパンである

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M(モノとヒト)

2008年12月26日 23時48分13秒 | 尾崎まことの「写真館」


「M」

写真に撮ると、マネキンが人間化され、人間がマネキン化されるのです。
饒舌なのはいつも人形で、人間は寡黙です。
モノが「商品」という形態でヒトに復讐を開始したのかもしれません。

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首根っこ

2008年12月24日 22時16分53秒 | ☆決定稿集2


ジャワ原人も
北京原人も
こんなことしとったんやで
と言って
首根っこを押さえる
ネアンデルタール人も
クロマニヨン人もやで
と言って
首根っ子を押さえる
縄文人も
弥生人もやで
と言って
首根っこを押さえる
君のお父さんも
お母さんもやで
と言って
首根っこを押さえる
恐竜の声ききながら
人間はずっと
こんなことしとったんやで
こんなことしとったから
今こんなことできるんやで
と言って
首根っこ押さえたら
ビルの間に響く
恐竜の声を聞いた気がした

首根っこを押さえられる

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12月24日

2008年12月24日 20時33分56秒 | 詩の習作
クリスマスツリーも
クリスマスソングも
たくさんの過ちのなかで
いつのまにか
自分の心にはかなわないものとなった
それでも今夜
幸せになろうとおもう
それは可能だとおもう
それが幸せの意味だとおもう

たくさんの過ちを繰り返したが
そこまでは歩いてきた
それがたくさんの過ちの意味だと思う
すべての
クリスマスツリーの電飾が消えても
すべての
クリスマスソングが終わっても
今夜
幸せになろうとおもう
それは可能だとおもう

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雄鳥

2008年12月24日 03時59分46秒 | 詩の習作
彼は
彼と言うよりも
彼の結果
痕跡である

翼と
手と
歌と
恋人を
一挙に
失ったのである

しきりに
瞬き
しきりに
うなずいている
雄鳥を始めてしまった
運命に

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感受性

2008年12月24日 03時48分27秒 | 詩の習作
わたしの感受性は
四角い部屋である
電灯をを点けると
誰もいない
消すとまたざわめく
点けると誰もいない
わたしもいない
すべて
逃げた後である

ばっと灯して
逃げていく彼等の影を
残像として見ることである

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