「鳩よ」
人影が去ったあと
冬の公園の日だまりを
見知らぬ鳩が埋めていた
彼等はノアの放った鳩の末裔に
違いないのだろう
その証拠に噴水が高くなると水を怖れ
噴水の形で飛び去った
その夜 見知らぬ一行目が降りてきた
音符のように咥えられている
オリーブの葉を探したが
見出し得ないまま
終わりの行が着地した
灯りを消すと
思い出の日だまりを
首をすくめリズムをとって
昼間の鳩が歩いている
糧を求める一日の終わり
同じ大きさに縮んでしまう
名前のない男の物語を
今日も生きた
寝返りをうって
デジャビュを追い払い
彼の一行を明日へと改行すると
ここはまだ箱船の底
お前こそノアの末裔だ
とばかりに闇が揺れた
朝が来れば
自分をまぶしい空へ
放つだろう
おおい
鳩よ