尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

「神々の犬、そして、待てと」

2016年03月30日 16時08分51秒 | 2016.4より新作

埃の舞う
明るい玄関
わたしは犬ではあるが
神々の留守を預かっている

彼はおっしゃったのである
人を信じるよりは
神を信じる方が
はるかに容易だろうと
人とともに
そして待て、と
千年

人の気配に鼻を鳴らし
首をかきながら
祈りの言葉はとうに失われたけれど
かわりに
無駄吠えなどを楽しみながら
そして待て、と
万年

何を待っていたのか
忘れたころ
わたしは
寄ってくる
人々に言った
そして待て、と

百万年

かつて
私は神の犬であったが
いまは犬の神である

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