夜に
海より深い夜に
僕は
くじけったていいだろう
すっかりくじけているのだから
くじけて
役にたたない
愛だけが残ったのだから
深い、深い夜に
眠るがごとく
※
朝に
空より高い朝に
僕は
忘れったっていいだろう
すっかり忘れたのだから
忘れて
役に立たない
愛だけが残ったのだから
高い、高い朝に
息を吸うがごとく
※
昼に
地平より広がる昼に
僕は
笑ったっていいだろう
もう笑っているのだから
くじけて
役に立たない
愛と一緒に
果てしなく広がる昼に
笑うがごとく
海より深い夜に
僕は
くじけったていいだろう
すっかりくじけているのだから
くじけて
役にたたない
愛だけが残ったのだから
深い、深い夜に
眠るがごとく
※
朝に
空より高い朝に
僕は
忘れったっていいだろう
すっかり忘れたのだから
忘れて
役に立たない
愛だけが残ったのだから
高い、高い朝に
息を吸うがごとく
※
昼に
地平より広がる昼に
僕は
笑ったっていいだろう
もう笑っているのだから
くじけて
役に立たない
愛と一緒に
果てしなく広がる昼に
笑うがごとく
彼は来たのである
わたしたちは遅れたのである
そしてわたしたちは今
言い張るのである
彼は来なかったと
あるいはそもそも二人に約束などなかったと
…いや、いや、彼という存在そのものが
始めっからなかったと
これ以上に正確な
世界の説明はあるだろうか?
わたたしたちは
たった一度の約束を
守らなかったことを隠すために
いつも遅れている
だから明日も明後日も
真実から遅れてしまうだろう
わたしだけは正しいと
罵り合いながら
戦争を繰り返しながら
わたしたちは遅れたのである
そしてわたしたちは今
言い張るのである
彼は来なかったと
あるいはそもそも二人に約束などなかったと
…いや、いや、彼という存在そのものが
始めっからなかったと
これ以上に正確な
世界の説明はあるだろうか?
わたたしたちは
たった一度の約束を
守らなかったことを隠すために
いつも遅れている
だから明日も明後日も
真実から遅れてしまうだろう
わたしだけは正しいと
罵り合いながら
戦争を繰り返しながら
「グラス」
ときどき
こういうふうに
固まれないかとおもう
そういうひとも
まれにいるんだけどね
グラスは
息をひそめて
氷を抱いて
―固まっちまいました―
と言っている
もちろん
それは彼のまっ白い嘘
固まれない
だからぼくは
写真で固めている
その
しゅんかん
息をしないで
きみも
ときどき
こういうふうに
固まれないかとおもう
そういうひとも
まれにいるんだけどね
グラスは
息をひそめて
氷を抱いて
―固まっちまいました―
と言っている
もちろん
それは彼のまっ白い嘘
固まれない
だからぼくは
写真で固めている
その
しゅんかん
息をしないで
きみも