尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

ほころぶ

2009年07月29日 00時25分57秒 | 詩の習作
今日のお昼
すし屋で

花が
ほころぶのは
ほろぶに似ていると
書いた詩人に
ほろぶはよろこぶに
似ている
と言ったら
感心していた
ついでに
すけべいな海
蛸の性欲
と言うと
腹を抱えて
ほころんだ

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裏庭

2009年07月28日 23時58分39秒 | 詩の習作
私の顔の裏の裏庭は
白い浜辺で
ひたひたひたひたひたひた、と
静かな海が押し寄せている
海のことを
自分といってよいのか
わからない
死んでいると思えば
生きている温かい水
生きていると思えば
死んだ冷たい水

働いていて
パソコンのモニターを見ていても
顔は海を聞いていることがある
顔の裏が
木彫りの仮面の裏のように
眼の裏で
光る海を見ることがある
その時は指を止めて
トイレへ行き水を流す

誰も走らない海岸を走るのは…
もういいだろう!
と言ってみると
私の? だろうか
誰の顔だろうか
生きろ!と
苦しい顔がしわくちゃになる

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2009年07月28日 23時58分39秒 | 詩の習作

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天王寺夜景

2009年07月28日 00時51分06秒 | 尾崎まことの「写真館」

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パントマイムの花束

2009年07月21日 22時10分05秒 | 「新詩集準備α」
やがて
果てしなく遠く
美しい国の夢を見るために
明かりを消してまぶたを閉じて
さらにひとには
どれほどの深い暗闇が
必要であったのだろうか

ふたたび
まぶたを開き窓を開け
今ここという国に
目覚めるためには
さらにひとには
どれほどのまぶしい忘却が
必要であったのだろうか

海のような暗闇と
空のような忘却と
あとは
汗を撒き散らす激しい
パントマイムの終わりに
そっと咲かせた
バラの花束
40センチの
痛い
希望さえあれば

ひとが
あなたのために
とびきり上手に
歌うためには
ひとが
あなたのために
とびきり上手に
踊るためには

海のような暗闇と
空のような忘却と
ああ
ひとよ
胸に抱える
見えないバラよ

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僕はポストです

2009年07月17日 23時37分56秒 | 詩の習作
僕はポストです

お腹には
破った手紙と
破られた手紙と
出せなかった手紙と
来なかった手紙と

お空が
とても澄んでいるとき
大きなあくびをして
自分でびっくり
することがあります


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矢が一本

2009年07月16日 22時11分45秒 | 詩の習作
お母さんと一緒に
生まれてきた生き物は
必ず心臓という赤い果実を
ひとつ持たされていて
立っている樹
そして
その果実には
矢が一本
必ず突き刺さっている

二人で生まれてきても
ひとりぼっちで死ぬという意味なんだろうか
だから愛さずにはおれないという意味なんだろうか
そもそも誰が放った矢なんだろうか

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赤頭巾ちゃん

2009年07月15日 23時08分41秒 | 詩の習作
おじさんおじさん
とうして金色の眼をして
あたしを見つめるの

二十歳の頃の
あなたの写真をはじめて見た
あなたの微笑む視線は
30数年後の僕の登場を
ちょっぴり不安げに
しかし永遠
待っているのだ

地球という
舞台の上で
耳が伸び
牙が生え
毛むくじゃらになってしまった
狼男
30年前の
金色の林檎に嫉妬して

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初夏・中ノ島公会堂

2009年07月15日 23時01分08秒 | フォト日記
フォトショップエレメンツで加工しました。

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マンション

2009年07月15日 00時41分26秒 | フォト日記

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タイヤ

2009年07月14日 00時22分58秒 | 尾崎まことの「写真館」

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鉾車

2009年07月14日 00時12分30秒 | 尾崎まことの「写真館」

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キリン

2009年07月13日 23時29分45秒 | 詩の習作
幽霊はいるよ
と教えてくれた
大好きなおばあちゃんが死んだ
それから一年ほどたった
小学校四年生のころだった
突然
みんな一緒に生きている
ということに気づき
お通夜のように
神妙に静まり返った教室の中を
キリンのように見回した
それから次第に嬉しくなって
体ががたがたするまでに
笑いをこらえなければならなかった
その時
幽霊がいたのかもしれない

それから五〇回ほど地球は
太陽の周りを回ったが
僕のキリンは戻ってこない
幽霊がいるのかいないのか

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2009年07月13日 01時10分31秒 | フォト日記

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何かに捕まってしまった水溜りのような孤独

2009年07月12日 23時43分55秒 | 詩の習作
人の孤独は
煙のように顔を覆っている
それに対し
犬や猫の家畜でさえ
獣の孤独は
顔そのものである
人間は孤独な顔をするが
彼らにおいて
孤独が顔なのだ

だから
交尾や喧嘩や食事の後など
彼らの疲れた姿が
残された廃墟の
石像に見えるときがある

獣の孤独は
人より深い
病や痛みそして死を
ひとりで背負う孤独である

彼らが突き出た口元を
空に向けるとき
かつて私たち以上に
言葉を持っていたのは
確実だと思える

だから
時折私たちは
私たちの会話に疲れたとき
彼らの沈黙に
耳を澄まし
癒されることだってあるのだ

私たちの一生は
孤独から逃れようとする一生だから
彼らの何かに捕まってしまった
水溜りのような孤独が
私たちを母のように
愛撫することがある

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