尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

有明

2006年02月08日 08時45分12秒 | 詩の習作
夜明け前
僕の家の
雨戸をたたく
ものがいる
布団をかぶった
夢の中から
有明湾のシジミのように
薄目をあけて
聞いている

彼は
夜明けとともに
去っていく
もう一人の
僕だ

僕は急に
駆け出し
つまり自分を
揺すぶることがある
硬くなってしまった
貝殻の中に
永遠に眠ってしまう
僕を飼っているからだ
そいつは
舌のように柔らかで
一言でいうと
水の底で
悲しい

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