尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

鎌田東二著「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』精読」

2010年03月10日 22時50分42秒 | 時間論として読んでみる「銀河鉄道の夜」
序章。
 宮沢賢治は、鳥の方向感覚を持つ鳥シャーマンである。森羅万象に霊の宿りと働きをみるアニミズムと並んで、もっとも原初的な宗教形態とされるシャーマニズムの核心が、賢治の生涯と作品に見てとれる。原始シャーマンには、鳥シャーマンと蛇シャーマンの二種類があったと私は考える。鳥シャーマンの特徴は、天空・風・飛翔・脱魂・霊界遍歴である。「銀河鉄道」において、鳥シャーマンの孤独と栄光が端的に物語られている。
 ジョバンニの求道的探究の根幹には、彼の深い孤独感があり、それが銀河鉄道の魅力となっている。母の病気、監獄にいるらしい父、姿の見えない姉…これらの陰りのある家族の風景だけでは彼の孤独を説明できない。あえて言えば、菩薩の道を往く者の孤独である。ジョバンニの半身である友のカンパネルラを失って、ジョバンニは独りであることの真の悲しみを引き受ける。

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「銀河鉄道の夜」詩論・のための読書リスト

2010年03月02日 22時36分39秒 | 時間論として読んでみる「銀河鉄道の夜」
宮沢賢治関連
 ※「宮沢賢治『銀河鉄道の夜』精読」 鎌田東二 岩波文庫
 ※「宮沢賢治 存在の祭りの中へ」 見田宗介 岩波現代文庫
  「宮沢賢治 愛の宇宙」 牧野立雄 小学館ライブラリー
 ※「謎がいっぱい ケンジ童話劇場」 清水正 鳥影社
 ※「宮沢賢治 群像日本の作家12」 小学館
  「長野隆著作集(弐)歌論・詩論・物語論」 長野隆 和泉書院

時間論関連
 ※「時間の比較社会学」 真木悠介 岩波現代文庫
 ※「時間はどこで生まれるか」 橋本淳一郎 集英社新書
  「時間はなぜ取り戻せないのか」 橋本淳一郎 PHPサイエンス・ワールド文庫
 ※「相対性理論を楽しむ本」 佐藤勝彦 PHP文庫
  「わかる『時間』 ニュートン別冊 ニュートンプレス 

文明論・近代批判関連
  「自我の起源」 真木悠介 岩波現代文庫
 ※「マックス・ウェーバーと近代」 岩波現代文庫 姜尚中
  「資本主義はニヒリズムか」 三浦雅士 佐伯啓思 新書館
  「近代人の疎外」 F・パッペンハイム 岩波新書
  「資本論入門」 向坂逸郎 岩波新書
  「近代性の構造」今村仁司 講談社選書メチエ
 ※「『欲望』と資本主義」 佐伯啓思 講談社新書
  「近代の超克」 富山房百科文庫
 ※「怯えの時代」 内山節 新潮選書

その他
 「はじめての現象学」竹田青嗣 海鳥社 
 「テオゾフィー 神智学」 ルドルフ・シュタイナー 柏書房
 「欲望の現象学」 ルネ・ジラール 法政大学出版
 「空と夢」ガストン・バシュラール 法政大学出版
 「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」 
               マックス・ヴェーバー  岩波文庫
            
               (※は必読と考えるもの)

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