尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

口笛

2007年10月30日 00時17分48秒 | 詩の習作
ぼくの唇は
ぼくより
いつも8センチ
早すぎて
どんなにとんがらせても
小鳥のさえずり
のように
明るく唄えないのだ

ぼくの背中は
ぼくより
いつも8センチ
遅れてしまっていて
もう羽もないのに
筋肉を
ぴくぴくさせて
しまうのだ

夜中に口笛吹くと
わかるよ
たった8センチだよ
自分と自分の距離は

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間だ

2007年10月28日 02時15分34秒 | 詩の習作
息を吐くことから
息を吸うことへ移る
間だ
が考えている
収縮から
拡張へ向かう
手前の
心臓が
考えるのだ

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告白(決定稿)

2007年10月19日 00時05分40秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
信じる


近鉄南大阪線
阿部野橋駅の公衆便所

おじいちゃんと
兄ちゃんの間で

肩を揺すぶられ
夢から
覚めたばかりの
子供のように
きょろっと見回して
今を信じる

三つの放物線を
飛ばしている
つかの間の連帯を
虹のように
信じる

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詩は…

2007年10月18日 23時28分40秒 | 詩の習作
詩は 
何か
ではなく
誰か 
である

あなたを
必要としている
誰か
であり
あなたが
必要としている
誰か
である

わたしが
いま
このように
誰か
であるように

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廊下

2007年10月18日 01時22分11秒 | 詩の習作
パソコンの前で仕事していて
胸をひんやりさせながら
僕を小学校の板の廊下のようにして
青空や
羊の形をした雲が通っていくことがある

それらは昭和○年×月△日
確かに見上げた空にちがいない
しかし
昭和○年×月△日に
格別嬉しいことも悲しいことも
あったわけではない

かくして
特別嬉しいことも悲しいこともない
今日のお昼休み
また痛いように青い空を
見上げてしまう

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第一詩集「カメラオブスキュラ」、編集開始

2007年10月12日 01時10分31秒 | みなさんへ・その他
あなたへ。

全編で52編の詩が出そろいました。
詩集としては普通の詩集の倍ほどですが
もし今死ぬとして、残したい詩の数からそうなりました。
おおよその順番は左子真由美さんの指導によって決めました。

今日、まず読まれることも売れることもないだろう詩集を出すことは
勇気のいることだな、と我が身を通して思います。
出しただけで自己満足している詩人は一人もいないでしょう。
詩を書くことを、投瓶通信(沈没する船から手紙を瓶につめて海に放つ)
にたとえた詩人がいましたが、
誰か一人に届くことを切に信じているわけです。
その誰かというのは、あなた、そう究極の「あなた」です。

どれほど僕が臆病であることか…

では、お休みなさい。
コメント (2)
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告白

2007年10月09日 23時56分00秒 | 決定稿集(カメラオブスキュラ)
「告白」



近鉄南大阪線
阿部野橋駅の公衆便所

おっさんと
兄ちゃんの間で

肩を揺すぶられ
夢から覚めてゆく
子供のように
きょろっとして 
今を信じる

三つの放物線を
飛ばしている
つかの間の連帯を
虹のように
信じる
コメント (2)
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