尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

水族

2007年01月28日 22時04分08秒 | 短詩集
ガラスの向かいがわ
ひんやりと
生きているのは望みではない
興味である

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わたしという名の

2007年01月21日 14時53分23秒 | アバンギャルド集
わたしはわたしのいう名の
やかましい病気です
顔を光る海のように
平らにして
雲の影や鳥を待って
それから
こんなに長い言葉が
症状です

だまります
泣くときは
だまります

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近藤芳美「聖書が…」

2007年01月18日 23時39分46秒 | ことばの玉手箱
聖書が欲しいとふと思ひたるはずみよりとめどなく泪出でて来にけり
       
                          (近藤芳美)

  こういう詩句に出会うと、現代詩という「すれっからし」の、失ったものの大きさがわかる。「短歌的叙情」「奴隷の韻律」として、戦後まもなく現代詩の一部から批判ののろしが上がったが、今となっては恥ずかしい。
余りに大きすぎるその時代の病について、それが書かれてしまった「詩」の責任ではないことは確かであるが、自分達の失ったものについての自己批評性の無さは、今なお書いている「詩人」の責任である。

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ほれ

2007年01月08日 20時00分23秒 | アバンギャルド集
そこにあるものは
そこにあると知っている
見たことは見たと
言ってきた
ほれ
こんなに手が出る
足が出る
赤い舌もでる
自分の鼻先だって
いつも見えている
そこにあるものは
そこにあると言いながら
ほれ
薄ら笑いも浮かべるぞ
そこにあるものは
そこにあるもので
しかし
私がいない

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自由律俳句「肩こりの」

2007年01月07日 10時26分00秒 | 五行歌・自由律俳句
肩こりのこりが私でおはよう

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自由律俳句「失語すると…」

2007年01月07日 10時16分02秒 | 五行歌・自由律俳句
失語すると俺は映画館より暗い箱

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自由律俳句「落ちてきた…」

2007年01月06日 23時36分57秒 | 五行歌・自由律俳句
 
落ちてきた蝉がかきむしる青い空

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裸の王

2007年01月06日 01時45分44秒 | 短詩集
裸で生まれた
裸で暮した
死んではじめて
侍従が
服を着せた
みんなで
笑った

恥ずかしかった
寂しかった
誰が?

生きている間は
王が
死んでからは
神が

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鳩よ

2007年01月04日 07時40分10秒 | アドリアナ選「まことの詩集その1」

「鳩よ」


冬の公園の
日だまりは
知らない鳩でいっぱいだった
名も顔も知らないけれど
ノアの放った鳩の末裔だろう
噴水が高くなると
しぶきを怖れて
噴水の形で
飛び去った

その夜
知らない
一行目が降りてきた
オリーブの葉を
音符のようにくわえている一行は
どこにあるのだろうか
知らない詩のまま
終わりの行を
書き終えた
鳩よ、と

思い出の
日だまりを
首をすくめて
歩いていた鳩ぐらい
遠のいていく
知らない
男の物語

その男を
今日も生き
暗がりに
こうして寝返りをうって
彼の一行を
明日へと
改行する

わずかに
わずかに揺れている
箱船の底が揺れている
朝が来れば
自分をまぶしすぎる空へ
放つだろう

おおい
鳩よ




  鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。
 見よ、鳩はくちばしにオリーブの葉をくわえ
 ていた。ノアは水が地上からひいたことを知
 った。彼は更に七日待って、鳩を放した。鳩
  はもはやノアのもとに帰って来なかった。
               (創世記8章11~12節)      
   
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はさむもの

2007年01月02日 12時46分25秒 | 少年詩集
ゆっくり
やさしく閉じるとき
上目蓋と下目蓋の
はさむもの
ゆっくり
やさしく閉じるとき
上唇と下唇の
はさむもの
それは
とても小さなわたし

目蓋と唇を
ぱっと開くとき
シャボン玉のように
破裂するもの
とても小さなわたし
コメント (2)
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五行歌「正月…」

2007年01月01日 11時37分03秒 | 五行歌・自由律俳句
正月、どうのこうの
ということではない
目が合えば
ウインクして
他人の子どもを驚かす
今日の形見に

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自由律俳句「あっ凧が…」

2007年01月01日 00時50分15秒 | 五行歌・自由律俳句

あっ凧が地球を揚げている
コメント (2)
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