あの頃チャンネル(2010年07月25日~2010年07月31日)
「少年たちの夏」
それは
失われやすい
季節ではない
決して
失われない
季節である
だから
男たちは
毎年のように
悲しむだろう
警笛よりも激しい
蝉の鳴き声を聞いては
水平線を裂いていく
ヨットの帆の影を見ては
ほんとうに
失ったのは
なんだったのだろうか、と
それは
失われやすい
季節ではない
決して
失われない
季節である
だから
男たちは
毎年のように
悲しむだろう
警笛よりも激しい
蝉の鳴き声を聞いては
水平線を裂いていく
ヨットの帆の影を見ては
ほんとうに
失ったのは
なんだったのだろうか、と
「竜宮城」
この世は
竜宮城です
写真を撮ってるときは
自分だけは年を撮らないって
信じていますね
実感としては
ほんとうにそんなんだからね
その間だけは
ほんとうに年を
とらないのだと
思いますよ
でもね
撮り終えるとね
僕は浦島太郎です
周りを見ると
誰もいないんです
魚やタコやクラゲばっかり
僕はすっかりお爺さんです
いつも途方に暮れてます
この世は
竜宮城の廃墟です
それには間違いがありません
乙姫といいことしたんだから
まあいいっか
「遠い海」
夜、夢で見る海はもちろん
目覚め想う海も
遠いのであった
そして
まじかに見る
まぶしい海もまた
暗い海と同じように
遠いのであった
僕は目で
そのことを
つまり体が
ひとつの海だというのに
この海が
遠くに感じるということを
あなたに知らせた
あなたの目には
海と僕が
映っていた
あなただけだ
僕のことを
不幸だと言ったのは
リンゴをかじるように
海に体を沈めては
お互いの性器を
触ったり
浮かんでは
子供のように
甲高い声をだしたり
一日
あっという間に
年をとった
僕もあなたも
海なのに
この海も
あの海も
海は
いつも遠い
夜、夢で見る海はもちろん
目覚め想う海も
遠いのであった
そして
まじかに見る
まぶしい海もまた
暗い海と同じように
遠いのであった
僕は目で
そのことを
つまり体が
ひとつの海だというのに
この海が
遠くに感じるということを
あなたに知らせた
あなたの目には
海と僕が
映っていた
あなただけだ
僕のことを
不幸だと言ったのは
リンゴをかじるように
海に体を沈めては
お互いの性器を
触ったり
浮かんでは
子供のように
甲高い声をだしたり
一日
あっという間に
年をとった
僕もあなたも
海なのに
この海も
あの海も
海は
いつも遠い