・・・九月一日付の朝日新聞のオピニオン欄の「よみがえれ日本の経営」を読んで、経済学者でも役に立つことを云う人もいるもんだと思いました。
その学者の名前は「野中郁次郎」という人です。
ただ学者だけに文章はやたら、抽象的な造語で表現してあるので、分かりにくいところはありました。
その云わんとするところは、日本がおかしくなった時の経営者は霞が関と交渉がうまいとか、論理的に正しい経営計画を立てれるとか、総務企画能力にたけて人が会社の中で出世していった人が多かった、としています。
こうした人はルール化やマニュアル化できる仕事のやり方で仕事をする、出来れば、それに更に経験などで得られる知識があってこそ、初めて新しい分野の仕事ができると云っておられる。
日本がおかしくなったのはアメリカ式の理詰めの経営に極端に傾いて行ったからといっている。
結果として、この仕事のやり方は、アメリカには向いていても、日本人には向いていなかったのは、アメリカ人はおおざっぱだけれども、日本人は完璧に科学的経営を実践したことにあるらしい。
そして最後に云っているのは「今一番必要なのはイノベーションはトップダウンだけでは生まれない。トップは壮大なビジョンを掲げ、現場には現実があり、両者をうまく組み合わせることで新しい価値の仕事や品物が生まれます。
人材と現場を熟知して、それらを上手く仲介する中間管理者こそ推進役である。そして成功体験した彼らが会社トップになっていった時、日本はよみがえっていく時である。 大事なのはトップがミドル管理者に人事権を与え優秀な人材を集めてプロジェクトチームを組ませ、後は、退路を断って目標に突き進ませる」事である。
私の経験と考えからくる、経営論と良く一致していているが、実際はそうはうまくしかない。
その理由の一つは、日本の社会が受験勉強が上手だが想像力に欠ける人が指導者に選ばれていくという仲良し意識に問題があるというところ、もう一つはまだまだ日本の会社には余裕があって、指導者を選ぶ評価が甘く指導者に真の実力者を選べていない、一番、無難な人が選ばれるところ。
今回の論議にはそれらに触れていないのは、実務経験のない学者らしいところではあるが。