ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

菜園ろばた

2008-03-26 00:26:53 | 第1紀 食べる・飲む
月末が近い。
三月は決算月の会社も多いと思い、銀行が混む前にと早めに振込やら支払いに出る。
昼、一時過ぎに出て、「をかしら屋盛岡大通店」近辺の銀行や取引先をまわり、さて昼飯は・・。

通りがかりに気になっていた店に入る。
「菜園ろばた」。
ロイヤルホテルから入る夜の繁華街。日中は裏通りだが。
少し階段を上がった一階にある。
外から見た目には細長く狭い感じなのだが、中に入ると結構広い。
このビルは、入り口左側から迷路のように入る店もあり、不思議な感じがする。
間口狭く、中が広いのは京都の長屋か。
カウンター約6席と、4~6人がけのわりとゆったりしたテーブル席が4だか5だか。
BGMはジャズである。
アコースティックなジャズギターやピアノトリオ、ときおり女性ボーカルが入るから有線かな。
いい感じなのに、入り口の棚の上にとっくつにおかれたブラウン管テレビの音も混ざり、日常と非日常の混じり合う感じがせっかくのいい雰囲気の店内にもったいない。

もりそばの大盛りを頼む。
850円。
店員は一名。
若い経営者の店長なのかな。
厨房にこもり、しばらくして茹でた蕎麦を洗う音がして出てきた。
きれいに巻かれて、岩手山なみに高く盛りつけられている。
お品書きにはそば粉十割の「南部手打ちそば」である故。
黒く太い蕎麦が短めに切られ盛りつけられている。
薬味は細かく切られた白葱。おろし、わさびである。
蕎麦汁は藪系の濃いものではないが、県内によくある甘ったるいものでもなく、程よい。
十割蕎麦で太くかなり腰もあるため、やはりこの短めの切り方と、どっぷりつけてもいい蕎麦汁があうのだと思う。
性格上、汁が蕎麦に絡むこともないのだから、気取って蕎麦の先だけをちょっとつけていただくよりは、しっかり浸してもいいんじゃないかと思う。

蕎麦の香りが際立てて高いとかいうわけでもなく、出汁の味が格別とほめるわけではないが、朴訥とした姿がいい。
まあ、田舎風の十割蕎麦、そのものであり、これはこれで非常に好感がもてるわけである。
量もいい。これが一番いい。

他の客も入り、店主一人では、蕎麦という性格上、会計を済ますタイミングも難しく、しばらくして落ち着いたころを見はからい、帰る。
実は心の中で、「蕎麦湯、蕎麦湯」と言っていたのであるが、出てくる気配なし。
催促するのも悪いような一人健闘ぶりであり、心残りで店を出る。
やはり、黙っていても食べ終わるころにすっと出てくるのがそば屋のいいところだと思うのだが。残念。これだけがすごく残念。
(蕎麦湯だけで店を評価する馬鹿者でした。わ・た・し。)

なかなか一人で店を切り盛りするのはたいへんだなと、我が事のように思う。
一人では、作る事と、客をもてなす事との両方をこなす事が難しいのかもしれない。
我が店も遅い時間はわたし一人。
飲み客が多い中で、客が求める飲み物を出すタイミングにそえないときがあるのは承知している。
常連さんだからほっておいていいという事もない。
三組も入ればもうたいへんなのだ。
不思議と、飲み物のオーダー、網交換、会計などが同じタイミングで重なる。
「はい、ちょっと待ってね。」となるが、いい事ではないなと、他の店にいて我が身の足りなさを実感させられる。

さて、この店。
さらに興味があるのは、昼は「菜園ろばた」。夜は「扉 door」という別の名の店になる事。
店内は所狭しと日本酒や焼酎が並んでいる。
カウンターの横の壁には「焼酎アドバイザイー」なる証明証が。
どれをみてもおいしそうで、夜も楽しそうだなあと興味をひかれる。

しかし・・、昼はそば屋だから、自分で蕎麦を打つんだろうか。
夜も遅くまで営業しているし。
たいへんだなあ、若いけどね。なんて気をまわすわけである。
でも、若いから自分のやりたい事を思いっきりやっているんだろうと、ここも感心してしまうわけです。
こんなにたくさんの種類のお酒。
仕入はどうるのかな。
全部自分で飲んで決めているんだろうけど、幾夜あれば飲み干せるのかな。
焼酎は蒸留酒だからいいとして、日本酒は開けてからの管理をどうするんだろう。
この湯飲み、手にしっくりくるけど、調度品もなかなか選んでいるね。
内装も若向けでおしゃれだね。
などと、また細かく見てしまう。

面白そうな店。
ネットで探ると、郊外にある「ろばた」と同じ系列みたい。
なるほど、とうなずく何者もないのだが。

(再訪予定、大いにあり)